異世界パピーウォーカー〜イケメン獣人預かり〼〜

saito

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マメ柴のシバ

尋問

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帰って来て間も無く、時刻は30日前にみつるが現れたタイミングになろうとしていた。

みつるの出迎えについては、えりかが付いていようかと言ってくれたのを断り、その時をシバと2人で待つ。
えりかに話してしまったことは想定外であったため、それが問題無いことなのか確かめる必要があった。
そうでないと、万一教えてはいけなかった時にえりかたちに迷惑がかかるかもしれない。

その時はあっさりと来た。

30日前、ぽっかりが閉じた時の様子を逆再生するみたいに、壁の表面が歪んでくわりと穴が広がる。
向こうにはみつるがいた。

「お兄ちゃん。」

兄の無事を見て安堵する。
やはり兄は無事だったのだと改めて認識した。
座っていたクッションから腰を上げ、ぽっかりに近づく。

「よ、さゆり。元気にしてたか?」

「二、三発殴って良い?」

安心したら、忘れていた怒りがこみ上げて来た。

「殴らなくても、さゆりが元気なことはお兄ちゃんわかったぞ。」

「じゃあせめて死んで?」

「ミリも譲歩してないどころか要求が上がってるんだけど。まあなんだ。シバの面倒見るの大変だったよな。でもお兄ちゃんがそこまで悪いわけじゃ無いぞ。ちょっと自分に不都合なことを黙ってるだけで……」

「みつる!」

本格的に殴りかかろうとしたさゆりの耳にシバの声が届く。
さゆりの隣から顔を出し、穴のヘリに手をかけてみつるに向かって上体を乗り出した。

「シバ、元気してたか?」

「うん!」

みつるがシバの頭をワシワシと撫でる。
シバの尻尾がブンブン揺れた。

「すごいな。服も着てるし、会話が出来る。さゆりのおかげだな。ありがとう。一時はどうなるかと……まじ助かったよ。」

「ま、まあ、ね。」

みつるの言葉に、吹き飛んでいた違和感をまた感じる。
兄という生き物は、こんなに簡単に妹に感謝するものだっただろうか。

「あのさ。」

さゆりは切り出した。

「やっぱりお父さんとお母さんに話しちゃダメ?」

それは、1ヶ月前に打診して却下されたことだった。
でも、例えどんなに信じがたい状況でも両親は兄が生きていれば会いたいと思うのだ。

「うん。ごめんな。言わないで欲しい。本来互いの世界が関わるのはあまり良いことじゃ無いと思うから。」

「自分から関わらせておいて?」

「それは俺の食い扶持がかかってるから。人命第一ってことで。」

呆れたダブルスタンダードである。
こんな奴に、両親が会う価値はない気がしてきた。
なんにせよ、兄が情報が広がるのを望まない以上、やはりえりかたちを連れてこなくて正解だかもしれない。
なんたって、少なくともみつるは人の脳を多少なりともいじくれるのだ。
勝手にさゆりがシバの言葉を理解できるようにしたように、何をしでかすか分かったもんじゃない。

「いいよもう。それは分かった。あと二つ、聞いて良い?」

「何?」

「お兄ちゃんって、本当に帰ってこれないの?本で調べたんだけど、時間って相対的なものらしいじゃん。お兄ちゃんがこっちに来たら時間が一気に経過するっておかしくない?」

「相対性理論で説明できない事象なんて、そっちの世界だけでも沢山あるぞ。」

いわんや異世界をや、という漢文表現を言い出さんばかりの回答である。
ズブの素人のさゆりがこの議論で自分の兄に太刀打ちできるとは思っていなかった。
さゆりはみつるの反応を見たかったのである。
特に動揺もなく言い切ったみつるに、そういうこともあるのかもしれない、とさゆりは思うしかなかった。

「じゃあ、次の質問。シバ、というか、獣人全般ってそっちの世界ではどういう扱いなの?」

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