黒白英雄戦記

1章白の英雄誕生

18

その頃、シホは湖に辿り着いていた。
湖の前に立て看板がしてあり、湖の姿を変えよと記されていた。
「湖の姿を変える？湖を凍らせれば良いの？」
シホはフリーズを唱え、湖の一部を凍らせたがすぐに元に戻った。
「これじゃ、ダメよね？」
「そうじゃの…。全てを変えるのじゃ。その程度の魔法ではとても無理じゃよ。」
「そうね、あのときのゼロの力があれば…。」
「できるぞよ、主の魔力を高めれば…。まずは自身の魔法をもっと感じることじゃ…。」
「魔法を感じる？」
「目を閉じてイメージするのじゃ、氷を…。そして、解き放つ。」
「フリーズ！」
先ほどほとんど変わらなかった。
「主は魔法の素質はあるがゆえにみえていないようじゃの…。魔法とはイメージ、体の内なる力じゃ…。イメージするのじゃ、主の魔法のイメージを！」
(私の魔法…。私は雄牙を守りたい。私は雄牙と平和な世界で一緒にお姫様のようになって楽しく踊りたい…。そうだ、私自身を氷にして、触れたものを凍らせれば…。)
「何か掴んだようじゃの…。」
シホは湖の上を歩き始め、中心に立ち、目を閉じた。次の瞬間、湖が一瞬で凍った。
「なんと、ここまでやるとは…。」


最後にワンは荒野に辿り着いて、野獣達に追われていた。
「どうなってんだ、これは！着いた途端にこうなるとは…。」
ワンは襲い来る野獣の一匹を拳で吹き飛ばしたが、すぐに起き上がった。
「これじゃ、きりがない。なんとかしないと」
「苦戦してるようじゃの。そいつらは簡単に倒れんぞ。さぁ、どうするのじゃ？」
「なら、獣化で倒す！」
「獣化か…。それくらいで倒れるといいがの…。」
「獅子王乱打！」とどんどん獣を打ち払っていくがすぐに起き上がり、向かってきた。
「この野郎！獅子王猛激刃！」と１度に全部を吹っ飛ばしたがそれでも起き上がってきた。
「まだ立ち上がるか、なら完全獣化で…。」
(だが、これを使えば…。理性が消える、抑え込めるのか、自らの力で…。)
「迷うな！理性で抑えるのではなく、自らも野生になるのだ。」
「考えるのは止めるか、完全獣化モードレオ！」
一瞬で野獣を吹き飛ばし、獅子の咆哮で敵を追い払った。
「理性が保ってた…。やった！」
「３人ともキングスナイツと戦えるところまで持ってけたか…。だが、当時のわしたちは持ってなかったものを彼らは持ってる。だが、奴の立ち位置が変わるだけで当時よりひどいことになる…。そうならないことを祈ろう…。」