レモン色の恋

優希ヒロ

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突然の出来事

思いがけない出会い

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朝、電車での一幕
「おはよう、りょうくん。」
「おはよう、ゆう。」
「今日の講義面倒くさいよな。課題やったか?」
「うん、一応…。」
「じゃあ、写させてくれよ。やってないからさ。」
「いいよ、だけど丸写しはダメだからね…。」
「わかってるよ。」
「それにしても、今日は随分混んでるね…。」
「そうだな、次で俺たちは降りるから大丈夫だろ…。」
「そうだね。」
電車が駅に到着し、降りると鞄に見慣れないキーホルダーとパスケースが引っ掛かっていた。
「あれ、これ何だろう?」
「どうした、ゆう?」
「僕のものじゃないパスケースとキーホルダーが付いていたんだ。」
 「これ、駅に届けた方が良いんじゃないか?」
「そうだね、持ち主は困ってるかもしれないからね…。」
「行ってこい、代返しておくからさ。」
「わかった、行ってくるよ。」
駅に着くと綺麗な女性が改札の中でウロウロしていた。
「あの…。すみません。」
「はい、なんでしょうか?」
「もしかして、このパスケースとキーホルダー…。」
「これ、私のです…。どうしてあなたが?」
「僕の鞄に引っ掛かっていたんです…。」
「そうなんですね。ありがとうございます…。改札から出られなくて困っていたんです。助かりました。」
「どういたしまして。」
「お礼がしたいので今晩時間ありますか?」
「いいえ、そういうのは大丈夫ですので、さよなら…。」
「ちょっと待って!」
その頃、りょうは…。
「ゆう、ちゃんと渡せたんだろうな…。」とため息をついて、しばらくして居眠りをしているとゆうが隣に座っていた。
「りょうくん、起きて。」
「講義終わったよ。」
「そうか…。」
「また、居眠りして単位落とすよ。」
「大丈夫だろ。それより渡せた?」
「渡せたよ。」
「で、持ち主の人どうだった?」
「どうだったって?」
「あるだろう、美人だったとか、お金持ちだったとか…。」
「確かに可愛い人だったけど…。」
「そうか、お礼してもらうの?」
「断った…。」
「なんで?」
「なんでってそれくらいのことでお礼をしてもらうなんて図々しいよ。」
「もったいないな…。ちょっと待っててくれ、着信が入ってる。電話してくるから…。」
「はあ…。りょうくんみたいにできないよ…。」

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