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転生

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 ふと気づいたら、俺は仰向けの姿勢で寝ていた。背中に柔らかい感触を感じる。物質という質量あっての感触だとすぐに理解する。敷布団の上で寝かされているのだ。
 ということは、俺はあの世からこの世へと呼び戻されたってこと?つい数日前に臨終を迎えたばかりなのに、もう別の人になって、人生一からやり直せってこと?
 やったー!っていうより、正直赤ちゃんの段階から人生をやり直すなんて面倒くさいよな。気の遠くなるような幼少時代を経て、ふと気づけば部活動やら受験やら、考えただけで気が重くなる。
 しかも、またもやオール平均値的な男だったとしたら、これほどつまらないことはないだろう。って、そもそも転生した先が、俺、山田翔太が生きていた20世紀終わりから21世紀初頭の日本とは限らないんだろうけど。

 見上げる天井はアーチ型。開いた傘のような形で、骨組みのように木が湾曲して走っている。そして木からは葉が生い茂っていて、天井が密林のようにさえ見える。葉と葉の間からは薄い水色が覗いている。あれが本来の壁なのだろう。
 木の名前や壁の素材は分からない。ただ木造であったとしても日本の住宅とはあまりにもかけ離れている。どうやらここは日本ではないらしい。では、どこなのかというとまったく分からないけど。
 いや、待てよ、この傘型ジャングル天井、どこかで見たことあるぞ。う~ん。どこだったかな?上手く思い出せないや。地球人類の歴史においてたくさんの国が生まれて消えて行ったのだろうけど、そのいずれとも違うような気がする。
 ってことは、地球外や異世界ということになるのかな……。そんなバナナ!

「Aaahuunn!」
「AAAhunnn!」
「……Unguuun!」
 鳴き声が聞こえる。女性二人と男性が一人。女性二人のうち一人は嗚咽を漏らしていて、残りの一人は号泣というのか慟哭というのか、激しく泣きじゃくっている。そして、男性は泣くことを堪えきれずに泣いてしまっている感じだ。
 これに似た場面を俺は覚えている。忘れられるはずもない。俺自身の葬式の場面。これと瓜二つなのだ。親父とお母さんには、今改めて申し訳ないことをしてしまったと思う。俺自身の努力や注意ではどうにもならなかったこととはいえ。
 俺に何ができるかなんか分からない。そもそも、ここがどこで俺自身が何者なのか、彼らとどんな関係があるのか、何もかもが分からない。ただ、これだけ間近で、おそらく俺を寝かしてくれている人たちが、嘆き悲しんでいるのだ。放っておくわけにはいかないだろう。

 俺は起きあがろうとした。でも、手足に上手く力が入らなかった。というより、ほとんど力を入れることができないのだ。なんといっても違和感がすごい。手も足も全身が短くて小さい気がものすごくするのだ。
 起き上がるのはおろか、寝返ることすら出来ない。そのもどかしさ、イライラ感、やりたいことが出来ない憤り、悔しさ。もう泣きたくなってくる……。
「Ogiyaaayyy!」
 実際、泣いてしまった。意思とは関係なく泣き始めてしまっていたのだ。なんでこんなことぐらいで!確かに泣きたいよ、と軽くは思っていたけどまさかまさかの涙腺大崩壊。
 アニメやマンガを観ていて、ゲームをやっていて、これぐらいで泣くもんか!と思っても、感動して涙を抑えきれないことが、生前の山田翔太としてあったけど、今はそれよりもっと抑えが効かなくなって、涙が溢れ出して嗚咽が止まらなくなってしまっているのだ。

 三人が俺のところへとやって来た。って、三人ともデカ!俺のことを真上から覗き込んでいるのだが、その目線がはるか上なのだ。
 そして、上にある三人の目は一同に大きく見開かれている。まだ嗚咽が治らない中、かなり驚愕しているようだ。
 え?おい、ちょっとコラ!……。男性が俺の方へと腕を伸ばして来たのだ。腕も大きくてすごくすごくゴツい。怖かったけど体格差体力差からまったく何も出来なかった。
 いや、怖さを感じたのは最初の時だけで、あとは不思議な安心感、温かさを感じた。初見の人なのに懐かしさを感じる。何故だろう?

「Uooohoooo!」
「Uaaaaawaaa!」
「Iyakiaaaaa!」
 男性は俺のことを持ち上げると高々と抱え上げて、「おお!」みたいな感じで大声を上げた。続いて二人いる女性のうち、もう一人より大人な体つきに顔をした女性が、俺のことを優しく抱きしめてくれた。温かくて、すごく良い匂いだな……。
 三人とも再び泣き出していた。女性二人はもとより男性さえ、止めどなく号泣している。まるで奇蹟でも起きたかのように、泣きじゃくっている。
 っていうか、俺が何か奇跡でも起こしましたか……?
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