14 / 53

恐怖のワニ男

しおりを挟む
「剣を失った貴様に何ができるか?地下世界ではわりかし名の知れた拳闘士の俺を相手によ。何もできないんだよ。できる分けないんだよ!いくら五指の一角であり伝説的な存在であり、あのドラゴンAの妻とはいえよ」
「わたしとて生死のやりとりのある世界で、剣を15年以上握り続けて来た剣士、得物を使えなくなった時の状況を考えて格闘技の訓練を十分積んでいるし、何より世界最強の拳闘士ドラゴンAの奥さんなのよ。夫から夜の戯れに、もっと真剣に格闘技を習ってもいるのよ。あなたにドラゴンAから最も格闘技を仕込まれてきたと言っても大袈裟ではない、わたしを倒すことができるかしら?」
「ほざけえ!」

 ワニ男はわたしに向かってきた。そして、キックやパンチの空振りの5コンボ。わたしは元より、夫よりもかなり大きな大男だけど、スキはいくらでも見せてくれるデクノボウ。コンボ後の疲れて息を切らした彼の巨体、その脇腹に情け容赦のない力でのキックを叩き込んであげた。
 っていうより、脇腹に思いっきり食い込んでいた。いや、めり込んでいた、の方が感覚的には合っているのかな?まあ、どちらでも良いや。
「ぐ、げぼっおぼっげろろろ!」
 ワニ男は脇腹を抑えて両膝をついてしゃがみ込んでしまった。そして、ものすごい勢いで嘔吐した。一度目、二度目、三度も。かなり深刻なダメージを与えてしまったようだ。
 夫仕込みのキックということもあるけど、なんといっても剣闘用のブーツだ。軽く丈夫な青光り光沢のあるメタル製の物なんだけど、機動力以外に戦闘中キックを使うことも考慮して、相手の腹の肉にめり込みやすいよう、つま先がすごく尖っているのだ。重装備の相手には無力だけど、今回のワニ男のように肉を露出させている相手には絶大な威力を発揮するのだ。

「もう勝負はついたんだよ。だからこれ以上はやめるんだよ」
「わたしだってゲロを吐いた直後のあんたになんか近づきたくないわ。でも命をかけたやり取りだからね、ケジメはトドメという形でしっかりと取らせてもらうよ」
 わたしはしゃがみ込んでいるワニ男の背後に回る。大量にゲロを吐いた前へは回り込みたくない。背後からのトドメと言ったら、やっぱりスリーパーホールドだろう。
 わたしはメタセコイヤのように太いワニ男の首に、柳のようなわたし自身の腕を巻き付ける。腕部は敵の攻撃からのダメージを少しでも軽減させるために、外側は鎧をつけているが、内側の方は機動性とスタミナを持続させるため、わりかし肌は露出している。
 ちなみに胸の部分はバッチリ鎧を着込んでいる。おっぱいは女にとって一番大事な部分だもん。当然よね。夫と結婚して10年以上、息子も乳離れしてもう長い時間が経ったけど、おっぱいが大事なのは変わらない。
 ちなみにわたしの装備しているアーマー類は、軟金属という特殊でレアな金属で造られている。マテリアル自体がすごく希少性の高い物であり、それゆえこれで武器や飾り物などを造ることのできる職人も世界で数人しかいないのだ。
 もちろん、オーダー品。全部が全部、わたしの身体のサイズ、スタイルに合わせて造られているの。おっぱいもね。ただし乳首までは再現されていないから、あしからず。

「うがああ!悪神ギランさま、お、お助けを~!ドラックロードさまぁ、おは、な、し、がちが……」
 わたしは相手をより苦しめるため、腕の力を全力にしたり緩めたりしながら搾り上げている。腕に感じるぬるく気色の悪い感触から、彼が苦悶のあまりに口から泡を吹いているのが分かる。
 勝負はもうついている。だから、戦闘ではなく拷問。流石に罪悪感を感じるしワニ男に対しても可哀想だと思うけど、しなければならないと分かってもいる。
 ドラックロード。初耳で誰なのかは分からないけど、おそらくブラックモアの一味のものだろう。いや、突き止めていかなければならないのだ。ゲロと泡以外にも彼には吐いてもらわなければならないことがたくさんあるのだ。

 生捕りにする。生かしておくことにより、暗殺者を放ったり、ブラックモアは余計なちょっかいを出して来るだろう。そいつらを捕らえて芋蔓式に敵の大本営まで突き止める。
 その予定であったのだが、ワニ男は死んでしまった。意識が落ちて身体がガクンと重くなったのだが、意識を取り戻すことは二度となかった。激しい射精の後の大量の尿失禁、脱糞もすごい量で、窒息で意識を失うにしても異常な反応だったと思う。
 彼もやはり死にやすいように身体を改造されてしまったのであろうか……。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...