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新緑のケヤキマスク

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 ベスは家を出て行ってしまった。彼女は15歳になってしまったのだ。新しくメイドにやって来た13歳のライムも魅力的な女の子であった。強くて家事一般を卒なくこなし、そして強い。ベスより強さ的には俺に近く、そういった意味では稽古をする相手としては最適だったといえるかも知れない。なんといっても、ベスとは全く違う顔立ちに身体つき、魅力のあるかわいい子であったし。
 史上初、俺より一つとはいえ年下のメイドはやはり強かった。スパーリングを何度もしたけど、負けてしまう時もかなりあった。一方的に攻め込まれて追い込まれて負けてしまった時、彼女から女の子、あるいは妹みたいなものを感じると、やはり悔しかった。
 それでも、やはり負けてしまって一番悔しかったのはベスであるのだ。ライムも強いけど、互角というより俺の方が少しだけトータルの実力では上であったし、一緒に参加した拳闘士の大会の決勝戦では、俺の方が勝ってもいる。また、その試合ではライムは精神的な弱さ、脆さを俺に曝け出してしまい、俺はやはりライムは妹なんだな、と思ったりももした。
 そんな俺もベスには公式な試合はおろか、スパーリングでも一度も勝てなかった。頑張ってるんだけど、一度も彼女に通じることはなかった。彼女の強さは精神の安定さを含めて、あまりにも安泰でありすぎたのだ。
 悔しい。勝てないのも弟のようにしか思われていないことも。いつの日か、ベスに男として認められたい、強くなって男と認めさせてやる!これが俺の闘うためのモチベションであり、俺もついにこの世界での成人年齢である15歳になり、家を出ることとなった。

 15歳になって俺は家を出た。というより両親により家を出されてしまった。妹のような存在のライムだけは悲しがっていた。世界中から猛者が集まってくるアイアンバトラー家であるが、やはり旅であり冒険をして人間的に成長せい!というのが両親の方針であったのだ。
 どこへ行こうか?本当にアテのなかった俺は、やはりベスを追い求めて旅をすることにしたのだ。なんと言っても元アイアンバトラー家のメイドだし、そんなに大きくない拳闘士による格闘技大会では、15歳を過ぎたばかりの女の子なのに、大人の男たちをも倒して優勝してしまい、俄然その名が世界中に知れ渡るようになっていたのだ。それと、その美少女ぶりもね。
 俺の方はもっと有名であった。まあ、両親が二人ともスクエアジャングル中のヒーロー、ヒロインであるので当然といえば当然であったが。なので、プレッシャーも強いし、それだけで妙に優遇されたり尊敬までされてしまうのも、俺としては面白くない、何よりドラゴンAと小指のエリカの息子扱いされるのが、すごく腹立たしいのでマスクを被ることにした。
 新緑のケヤキマスク。これが俺の被っているマスクであり、拳闘士としての名前だ。植物を元にしたマスクを被る拳闘士はそんなに多くないが、ケヤキをモチーフにしたマスクを被っている者がいたらしく、俺は新緑の、というフレッシュ感のある形容詞を付けることにより、協会により認められたのだ。

 新緑のケヤキマスクという、先代ドラゴンAの血を引く新星が成人拳闘士としてデビューしたのと同じ頃、ブラックモア家で新しい生命が誕生していた。世界を覆い尽くしてしまうような巨大な毒花、瘴気の光合成を行う暗黒の大樹がついに芽吹いてしまったのである!
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