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第7章 後見人
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しおりを挟む翌年、春まだ浅い3月の初め。僕はジョシュアの後見人になった。思いのほか日にちがかかったのは、やはり彼の素性にあった。
年が明けて社会が動き出すとすぐ、僕はウィンブルドンにある小さな裁判所に後見人になるための書類を提出した。だが、ジョシュアの書類が明らかに少ない。
裁判所に言われるまでもなくそれに気づいていた僕は、ロンドンまで出かけ、ジョシュアと出会った思い出の教会へ向かった。ジョシュアは家に置いてきた。やっかいな連中に捕まったら元も子もない。当分彼がロンドンに来ることはないだろう。
「孤児たちの記録はないですね」
司祭は僕の話を丁寧に聞いてはくれたが、結局ジョシュアの出生を示すものは何もなかった。けれど、司祭は僕がこの教会で奉仕活動をしていた医者の卵だったことを知り、彼の力で戸籍を作る約束をしてくれた。英国教会の司祭であれば可能なことだ。僕は感謝してその場を去った。
だが、2月のまだ雪が街に残る頃。待っていた戸籍の連絡よりも早く、僕の診療所にやってきたものがあった。
スコットランドヤードの馬車だ。その中から、例の二人が下りてきた。今度もまた、厚めの外套を着こみ、少し毛羽立った黒い帽子を被っていた。
「ご無沙汰しております」
キャンベル警部は、そう言って帽子を取った。少し寂しい頭髪が中から現れる。
「先生。この間は我々に嘘を吐きましたね」
「なんのことでしょうか」
正直ここでしらばっくれても仕方ないのだが、ペラペラと話すのも違う気がする。僕は平然と彼らを見据え、戸口で出迎えた。
「とにかく。今日も寒いです。中に入れてもらえませんかね。彼にも会いたいですし」
キャンベル警部の後ろでコール警部補も意味ありげに口角を上げている。僕は二人を前回と同じように待合室へと招き入れた。
「初めまして」
僕には何も告げず、そこにはジョシュアがいて僕たちを驚かした。
「ジョシュア……君、どうして」
「君が、あの時の少年か。いや、もう青年かな」
「こんにちは。どうぞ、座ってください」
ジョシュアは僕たちにお茶を淹れてくれていた。言われるままに座った警部たちは出されたお茶に手を伸ばす。寒さに凍えていた彼らはその温かさに安堵の笑みを浮かべた。
「これは……やられましたな」
キャンベル警部は熱い紅茶で温まった体を揺らしながらそう言った。
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