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第7章 後見人
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しおりを挟む僕はジョシュアの手際の良さに舌を巻いたが、だからと言って何かが解決したわけではない。警部は気を取り直してこう切り出した。
「ジョシュア君、今から3カ月ほど前、昨年11月にあった出来事について教えてくれないかな。ロンドンのダウンタウンの裏通り、君は喧嘩に巻き込まれ、マクミラン一味の下っ端に刺された。それで間違いないかな?」
「いえ、違います」
「え?!」
そう声を上げたのはコール警部補だった。僕も危うく声を出しそうになったが、寸でのところで耐えた。ジョシュアと示し合わせたことは何一つない。そもそもスコットランドヤードのことなんてすっかり忘れていたのだから。
「どういうことかな?」
コール警部補が何か言おうとするのを押しとどめ、キャンベル警部が続けて質問した。
「ロンが……俺の友達だけど、喧嘩に巻き込まれたあいつが刺されたのを見て、俺は怖くなって逃げたんです。その途中で転んで怪我をしました。道路に尖った何かが落ちていて、それが刺さったんです」
どう考えても嘘としか思えない。だが、それを確かめるすべは何もない。考えたな。と、僕は単純にそう思った。
「それで……昔先生が、怪我をしたらここに来たらいいと言ったのを思い出して。馬車に乗ってこの街に来ました」
「ふむ……」
難しい顔をして警部が腕を組む。
「でも、君が刺されたのを見た人がいるんだよ?」
警部が黙った隙をついて、コール警部補が口を出した。じろりと警部が睨んだが、知らん顔を決めたようだ。
「人違いです。俺ではありません。俺は怖くなって……ロンを見捨てて逃げたんです。あいつは死んだと思って……あいつ、無事だったんですか?」
コール警部補が答えるより先に、キャンベル警部が咳ばらいし、立ったままのジョシュアにこう言った。
「まあ、君も座ったらどうだ? ロン君は元気にしているよ」
「本当ですか? 良かった」
ジョシュアは言われるまま僕の隣に座ると、そう言って安堵した顔を見せた。それでもその目の端でコール警部補の顔を覗き見る。変わった様子がないのを確かめると、もう一度『良かった』とつぶやいた。
「彼も君のことを気にしているよ。君にもけがをさせたと」
キャンベル警部はロンがジョシュアのことを心配していると言った。ジョシュアは抜かりなくコール警部補の顔を見る。素知らぬ顔をしているが、片方の眉毛がぴくりと動いた。
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