シャワールームは甘い罠(R18)番外編追加しました!

紫紺

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第7話 真剣な恋愛

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 ミストのような柔らかい湯水が僕らの肌を滑り落ちていく。
 半畳程度のシャワー室で大の男二人。特にガタイのいい九条さんがいるだけでも密度は高い。

 それにしても、脱いだ九条さんの肉体は、惚れ惚れするほど美しかった。シックスパックとはよく言った。綺麗に割れた腹筋と張った胸筋、肩も二の腕も贅肉なんてどこにもない。それでいて、ムキムキし過ぎてない。

 ――――僕も人目に晒しても恥ずかしくないような体にならなきゃ。

 細いだけの体に僕は恥ずかしかった。けど、九条さんはそんなこと気にも留めず。

「可愛い。真砂は可愛いよ」

 ずっとそんなふうに言ってくれた。

「あ……はあっ……」

 九条さんの『楽しいこと』は僕にも当然『楽しいこと』だった。九条さんの唇や舌が僕の体を這う。大きな手が僕を天国に導いていく。
 シャワー室の鏡が湯気で見えなくなっても、僕らはまだお互いを貪りあっていた。

 ――――シャワー室が個室なのは、このため? いや、まさかね。

 もしかしたら、九条さんはここで僕以外とも『楽しいこと』してたかも。でも、それでもいいや。これからは、出来れば僕とだけして欲しいけれど。




 前の彼と別れてから(というか、すったもんだの末フラれてから)半年。寂しくなかったと言ったらウソになる。
 でも、その間は仕事に精を出して、惚れっぽい自分を諫めるようにしてたんだ。小泉さんにもしこたま叱られたし。

 ――――だから今度の恋は……遊びじゃなくてただ一人の人を思う真剣な恋愛にしたい。

 そう思ってきた。けど、九条さんはなんとなく遊び慣れてるみたい。展開が早いのも気になるところだ。

「さっぱりしたな。ジムは体の中で溜まった凝りみたいなものを一掃してくれるからやめられない」

 鏡の前、長い髪を乾かしながら、九条さんが言う。『凝り』ねえ。今、汗もそうだけど、色んなもの一掃したもんな。僕ももちろん、スッキリしてます。

「先にロビー行ってていいよ。髪乾かすの時間かかるんだ。すまん」
「あ、じゃあそうします」

 個室はあくまで一人用だ。着替えも済んだ僕がいるのは窮屈なんだろう。僕は汗だくのウエアが入った手提げ袋を持ち、個室を出た。
 スッキリとどこか気だるい感じが幸福度を上げてくれる。今度は正真正銘スキップをしてロビーに向かった。



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