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第35話 嫌な予感
しおりを挟む朝、あいつの腕にアタックされて目を覚ます。寝返りを打った時に腕が僕の顔に当たった。
「重い……んー、今何時だ……」
ベッドサイドに置いてあるスマホを引き寄せ起動させた。
「あれ、澪からだ」
澪は僕の2個下の妹。今でも日本の実家に住んでいる。時差があるのでこちらの夜中にメッセージを入れたんだろう。
――――嫌な予感しかしない……。
こういう時の予感は必ず当たる。案の定、連休こちらに遊びに来るという話だった。
「んん? どうした? ため息ついて」
僕のため息に目を覚ました佐山が、尋ねるとともに後ろから抱きついてきた。ついでとばかりに耳たぶにキスをする。
「澪が遊びに来るって。しかも彼氏と」
「ええっ。それは楽しみだな。いつだよ」
佐山は3度ほど澪と会ったことがある。話が合うのか、精神年齢が近いのかしらんがすぐに仲良くなったんだよね。妹も調子のいい奴だから、心配はしてなかったけど。
「一応社会人だから、5月の連休に引っかけてくるって。飛行機代節約したいからこっちで取ってくれって書いてあるよ。ホントにちゃっかり野郎だ」
どこにも連れて行かなくていいから宿代わりに部屋を提供しろとある。正直あり余ってるから自由に使えばいい。
けどこんなこと書いてても、絶対どっか連れてけってなるのは目に見えてる。
「じゃあ、その頃は俺、休み取るか」
「無理だろ。納期後のスケジュールもびっしりだよ。大丈夫、おまえはいつも通りすればいいから。迷惑はかけないよ」
「迷惑なんて思ってないぞ? 俺も澪ちゃんたちと遊びたい」
「休みの日に付き合えば十分だよ。スタジオ見学とかもさせてやればいいし。澪たちも二人で遊びたいと思う」
彼氏と来るんだから、そういうことだろう。
「ふうん。それなら、ま、それでいいか。ははあ、倫。もしかして澪ちゃんの彼氏にヤキモチ妬いてんのか?」
「はあっ!? あほか、なわけないだろう」
むむ。痛いところを突かれた。妹の彼氏にヤキモチ妬くなど、シスコンってことか。でも、彼氏と来るとあって、ちょっとムッとしたのは否めない。
「馬鹿だなあ。あんたには俺がいるだろ? ほら、飛行機の予約はマイケルにでも頼めばいい」
なんて言って、ぎゅっと抱きしめてくる。ぐいぐいと下半身を擦り付けてくるから色んなところが反応しちゃうよ。
「わかってるよ……そう、押し付けてくるなって」
「なんで? もう俺、臨戦態勢だぞ? あ、倫のも」
「きゃっ……やめ……」
あいつが僕の下腹部をまさぐる。若いんだから、元気なんだよ。後ろから有無も言わせぬキスをして、また僕を蕩けさせる。
――――ああ、でも……こんな朝が僕らを満たしてくれる。
体を反転させ、あいつを受け入れる。ベッドに沈むと、真上から覆ってくるあいつの足に足を絡ませた。
優しい笑みがお互いの目に映る。僕らは今日もまた、甘々の朝を迎えた。
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