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第38話 佐山青ざめる
しおりを挟むアイスクリーム屋の裏の倉庫に僕は引きずり込まれてしまった。
口をタオルで縛られ(これ衛生上大丈夫なんだろうな)、3人のガタイのいいオッサンに囲まれてる。
危機一髪なんだけど、僕には切り札が。うまく立ち回れるかわからないけど、買ったばかりのスタンガンが右のポケットに入ってるんだ。
「よし、おまえら抑えてろ!」
一人が僕の腕を取ろうとしたその時、僕はポケットに手を突っ込む。
グゥッシャアアッ!!
だが同時に、何かが崩れる破壊音が連中の背後で響いた。一斉に後ろを振り向く連中。一瞬、僕は奴らの背中しか見えなかった。けど……。
「野郎、ふざけんなあっ」
まず黒いのが僕のすぐ横に転がってきた。視界が開けたそこに新たな人影が。
――――佐山っ!?
でも僕が見たそこには。
「ジェフっ!?」
汚いタオルをようやく口から外せ声が出せた。ジェフとマイケルがドアを蹴破って助けに来てくれたんだ。
「リン、大丈夫か!?」
「大丈夫っ」
僕は転がってきた奴にスタンガンをお見舞いしてやった。
「倫っ!」
「佐山!?」
大立ち回りが始まったそこにようやく佐山が姿を現した。ジェフの後塵を拝するとはおまえもヤキが回ったな。
「くっそう! てめえら許さんっ!」
怒りで真っ赤になったランボー状態の佐山が参戦すると、残りはあっという間に床に打ち倒されていく。僕は楽しくなってスタンガンで止めを刺してやった。
「すまん……倫。俺……」
暴漢どもが床に転がると、佐山が僕を抱きしめに来た。店ではいつの間にかいなくなった若い店員をジェフ達が吊るし上げてる。
多分、脅迫されたか買収されたかで、彼らに好き放題させてたんだろうなあ。
「いいんだよ。佐山、無事だったんだから」
骨がぴしぴし言いそうになるくらいきつく抱きしめるあいつ。泣いてるのか?
「倫……」
「あ、待って」
キスしようとするあいつの口を手で覆う。
「え……キスさせてくれないのか?」
さっと顔を青ざめさせる。
「いや、汚い布で縛られてたから、洗ってからに……」
「倫、そんなことされたのかっ。すまん、俺はジェフに言われるまで気付かなくて……」
僕の肩に縋るようにして泣き出す佐山。
「僕が一人で行くって言ったからだよ。でも、そうか。ジェフ、ありがとう」
佐山の後ろで僕らを見ていたジェフに改めてお礼を言う。
「いや、オレももっと早く気が付けば。アイスクリーム屋に変なのがウロウロしてたから、注意しようと思ってたのに……」
ジェフは泣いてる佐山を睨む。その横でマイケルが僕に店にあった紙おしぼりを渡してくれた。
「そうか、あの時言おうとしてたのは」
ピザ屋で話しているとき、何かを言いかけてたジェフ。これは、佐山がかなり落ち込みそうな案件だ。
「色々すまなかったね。ありがとう、ジェフ、マイケルも」
僕らは警察が来ると面倒だということで、その場を後にした。店にあったアイスクリームを例の店員からもらってから。
僕はめそめそしている佐山を車に押し込む。さて、どうしてやろうかな。
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