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村人とのお話し合い
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「へば、のんびりしてへ。なんが飲むか?」
「ああ、ありがとうございます。よかったらこいつのための水とかもらえたら嬉しいんですけど」
警戒心や敵対心の一切ない態度で接してくる村長さんに、俺もなんだか気が抜けてしまった。
そういえばここにくるまでまともに休憩もとってなかったから、飲み物貰えるのはすごく嬉しい。
一応予備の飲み物とかあるけどもらえるものをもらっておけばいい。カーレッジが匂い嗅げば飲めるかどうかわかるだろうし、問題はないだろ。
「だば、グロ茶ばいれてくる。今年はよく育ってたんで飲んでもらいてーんだ。ちょっくら待っててけ」
そういって村長は部屋の奥の方へ入っていった。
見渡せば見渡すほど外観との差が大きい。張りぼてみたいなぼろぼろの建物だったはずなのに中はしっかりとした建物だ。床は土だけど外見よりもはるかにクオリティが高い。しかも壁で部屋を区切れる配慮もある。
何かしら知らない技術が使われているのだろうけれど、広く見せるんじゃなくて広くなっているっていったいどんなトリックがあるんだ?
「まあ、考えても何もできないし、いいか」
理解したとして自分で使えるわけでもないだろうし。
とりあえず隣で寝そべっているカーレッジを撫でて心の安定を図ることにしよう。
「なんかいったかー?」
俺がカーレッジのふわふわの毛並みを堪能していたらゴブ助が声をかけてきた。
まったく、人の人生で一番の楽しみを邪魔するとは何事か。
って、そんな怒るほどでもないからいいんだけどさ。
そういえば、こいつらも不思議だよな。簡単に俺のこと信じたし、警戒心みたいなものも最初こそ向けられたけど今じゃ全然感じない。むしろ心から俺を信じているような対応だ。
嘘を言っている雰囲気もないし……よし、聞いてみるか。
「あのさ」
「ん? なした?」
「この村ってみんなゴブ助みたいな感じなの?」
「らぁみたいな感じ? とんでもねぇ! らぁはこの村じゃ一番の弱虫ってバカにされてんだ!」
そんな力強く言われても。胸を張ることでもないよ……。
「そういうことじゃなくてさ。村長もそうだけど、見ず知らずの他人に皆優しくするのかなって」
「ああ、そっだことか。みんな助け合って生きてかねばだめだっ。話ばしておめがなんも嫌な気持ちもしねぇで襲ってこねなら何か恵んでやれって。そうすればらぁにもそのうちいいことあるからって、じじ様がそう教えてくれんだ」
「そのじじ様って、村長のこと?」
「んだよー。らぁはじじ様の孫だ! かっけえんだぞじじ様は! らぁは、そんなじじ様のこと、好きだはんで。それに尊敬ばしてる!」
ああ、きれいな目だな。本当に村長のこと大好きなんだろうな……。
情けは人の為ならずを体現した村、か。随分とまあ、優しい村じゃないですか。
それを率先してやっているのがこいつのじいちゃんで、村長なわけで。
そんでもって俺はその村の思想に助けられている。
なんか、愛着湧いてくるじゃんか。
それから数分して村長がよろよろとグロ茶なるものと水を持ってきてくれた。
匂いも味も普通に緑茶だった。
水もろ過されてるみたいにきれいだし、見えないところでいろんなものがしっかりしているらしい。
「客人様よ。なぁが来た時から気になってたんだけども、それ、なんだ?」
指をさしてきたのはカーレッジが食べて喋れるようになったゼンマイモドキがはいったビニール袋だ。
元々はゴミ袋のつもりで持ってきたものだけど、ここだと珍しいものだろうから興味を持つのもわからんではないな。
「ああ、化学繊維でできた袋……ってもわからないか。下りてくる途中で山菜があったから非常食になると思って採取しておいたんだよ」
興味深げに見ていた村長に袋の中のゼンマイモドキを一つ取り出して見せた。
「なっ!? マイマイ草でねぇが!? まさかその袋全部か!?」
なんかすごい形相で食いついてきたけど、そんな驚かれるようなものだったのか、これ。
群生してたんだけど。
ゴブ助はぽかんとした顔しているから、一般常識ってほどではないのかな?
「ああ、一応全部同じやつだよ」
「とんでもねぇ……。おめ、それがどんなもんかわかってらのか?」
「すまん。知らない。カーレッジが喋れるようになったけど、それと関係あるのか?」
なんだか急展開すぎて焦りそうなのでカーレッジの頭を撫でて平常心を保つ。
「んだ。マイマイ草ってのは言葉を使えるようになる魔草の一種だ。本来なら人間たちが危険区域に指定してら場所で数本見つかればいいような希少な植物だ!」
それば、こんなに……。といいながらゼンマイモドキ改めマイマイ草を手にもって固まっている村長。
よし、カーレッジのもふもふでだいぶ平常心に戻った。
さらっと言ってたけど人間たちって言ってたよな。
言葉が指す内容に差がなければ俺が思っているような、いわゆる人間でいいんだよな?
「こっだに持ってらとは……」
「あの、貴重なものだってのはわかったけど、なんでそんなに驚いてるの?」
「マイマイ草は人間が高値で取引してらんだ。わの知ってる値段のままだば、この村のもんだち30年は食ってける額のはずだ」
なんか、予想以上にすさまじいものを苦労もなく手に入れていたらしいです。
とりあえず、カーレッジに癒されよう。まずはそれからだ。全力で癒されよう。
心を空っぽにしてカーレッジのお腹のあたりをモフモフして、毛並み最高だなぁやっぱり。
ああ、カーレッジの体温も感じられるしカーレッジも幸せそうにくねくねしてるしなんだもう最高だな。
おなかの毛が少し土に汚れちまってるから早めにお風呂に入れてやらないとなぁ。汚れてこの柔らかさってもう本当に最高だよー。
「ゴブ助、おめとんでもねぇ人連れてきたんだな」
「ん、へへへ。まあじじ様の孫だしな!」
「……ところで、なんでここさいんだ? おめさ仕事任せたはずなんだけどもや」
「……あ」
「まさが、忘れてたわけでねーべな!」
「ま、まさが! こ、これから! これからだよ!」
「んだの?」
「んだ! いまからあの兄ちゃんと一緒に探しに行くんだ! なあ、兄ちゃん!」
「うん……」
やっぱ毎日ブラッシングかけてやってるのがいいんだろう。
洗ってやった時から毛並み良かったけど成長するたびどんどん色つやも手触りもよくなるし、本当、最高ですよカーレッジ。最高の癒しですよ。
「なっ!」
「まあ、マイマイ草こんだけ採れる人だば、大丈夫か。だども、気を付けんだぞ?」
「わがってら!」
「…………ん?」
何も聞いてなかったけど、なんか二人で盛り上がってどうしたんだろう?
「へばゴブ助! さっさと準備せねか!」
「わ、わかっだ!」
「おめさんだちも何が欲しいもんあるんだば貸すはんでろ」
俺の方を見ながらすごくきりっとした顔で村長が言ってきた。
ゴブ助もなんかすごくやる気を感じさせる顔で俺の顔を見ている。
あの、ほんと何も聞いてなかったんですけどなんのことでしょうか?
「ああ、ありがとうございます。よかったらこいつのための水とかもらえたら嬉しいんですけど」
警戒心や敵対心の一切ない態度で接してくる村長さんに、俺もなんだか気が抜けてしまった。
そういえばここにくるまでまともに休憩もとってなかったから、飲み物貰えるのはすごく嬉しい。
一応予備の飲み物とかあるけどもらえるものをもらっておけばいい。カーレッジが匂い嗅げば飲めるかどうかわかるだろうし、問題はないだろ。
「だば、グロ茶ばいれてくる。今年はよく育ってたんで飲んでもらいてーんだ。ちょっくら待っててけ」
そういって村長は部屋の奥の方へ入っていった。
見渡せば見渡すほど外観との差が大きい。張りぼてみたいなぼろぼろの建物だったはずなのに中はしっかりとした建物だ。床は土だけど外見よりもはるかにクオリティが高い。しかも壁で部屋を区切れる配慮もある。
何かしら知らない技術が使われているのだろうけれど、広く見せるんじゃなくて広くなっているっていったいどんなトリックがあるんだ?
「まあ、考えても何もできないし、いいか」
理解したとして自分で使えるわけでもないだろうし。
とりあえず隣で寝そべっているカーレッジを撫でて心の安定を図ることにしよう。
「なんかいったかー?」
俺がカーレッジのふわふわの毛並みを堪能していたらゴブ助が声をかけてきた。
まったく、人の人生で一番の楽しみを邪魔するとは何事か。
って、そんな怒るほどでもないからいいんだけどさ。
そういえば、こいつらも不思議だよな。簡単に俺のこと信じたし、警戒心みたいなものも最初こそ向けられたけど今じゃ全然感じない。むしろ心から俺を信じているような対応だ。
嘘を言っている雰囲気もないし……よし、聞いてみるか。
「あのさ」
「ん? なした?」
「この村ってみんなゴブ助みたいな感じなの?」
「らぁみたいな感じ? とんでもねぇ! らぁはこの村じゃ一番の弱虫ってバカにされてんだ!」
そんな力強く言われても。胸を張ることでもないよ……。
「そういうことじゃなくてさ。村長もそうだけど、見ず知らずの他人に皆優しくするのかなって」
「ああ、そっだことか。みんな助け合って生きてかねばだめだっ。話ばしておめがなんも嫌な気持ちもしねぇで襲ってこねなら何か恵んでやれって。そうすればらぁにもそのうちいいことあるからって、じじ様がそう教えてくれんだ」
「そのじじ様って、村長のこと?」
「んだよー。らぁはじじ様の孫だ! かっけえんだぞじじ様は! らぁは、そんなじじ様のこと、好きだはんで。それに尊敬ばしてる!」
ああ、きれいな目だな。本当に村長のこと大好きなんだろうな……。
情けは人の為ならずを体現した村、か。随分とまあ、優しい村じゃないですか。
それを率先してやっているのがこいつのじいちゃんで、村長なわけで。
そんでもって俺はその村の思想に助けられている。
なんか、愛着湧いてくるじゃんか。
それから数分して村長がよろよろとグロ茶なるものと水を持ってきてくれた。
匂いも味も普通に緑茶だった。
水もろ過されてるみたいにきれいだし、見えないところでいろんなものがしっかりしているらしい。
「客人様よ。なぁが来た時から気になってたんだけども、それ、なんだ?」
指をさしてきたのはカーレッジが食べて喋れるようになったゼンマイモドキがはいったビニール袋だ。
元々はゴミ袋のつもりで持ってきたものだけど、ここだと珍しいものだろうから興味を持つのもわからんではないな。
「ああ、化学繊維でできた袋……ってもわからないか。下りてくる途中で山菜があったから非常食になると思って採取しておいたんだよ」
興味深げに見ていた村長に袋の中のゼンマイモドキを一つ取り出して見せた。
「なっ!? マイマイ草でねぇが!? まさかその袋全部か!?」
なんかすごい形相で食いついてきたけど、そんな驚かれるようなものだったのか、これ。
群生してたんだけど。
ゴブ助はぽかんとした顔しているから、一般常識ってほどではないのかな?
「ああ、一応全部同じやつだよ」
「とんでもねぇ……。おめ、それがどんなもんかわかってらのか?」
「すまん。知らない。カーレッジが喋れるようになったけど、それと関係あるのか?」
なんだか急展開すぎて焦りそうなのでカーレッジの頭を撫でて平常心を保つ。
「んだ。マイマイ草ってのは言葉を使えるようになる魔草の一種だ。本来なら人間たちが危険区域に指定してら場所で数本見つかればいいような希少な植物だ!」
それば、こんなに……。といいながらゼンマイモドキ改めマイマイ草を手にもって固まっている村長。
よし、カーレッジのもふもふでだいぶ平常心に戻った。
さらっと言ってたけど人間たちって言ってたよな。
言葉が指す内容に差がなければ俺が思っているような、いわゆる人間でいいんだよな?
「こっだに持ってらとは……」
「あの、貴重なものだってのはわかったけど、なんでそんなに驚いてるの?」
「マイマイ草は人間が高値で取引してらんだ。わの知ってる値段のままだば、この村のもんだち30年は食ってける額のはずだ」
なんか、予想以上にすさまじいものを苦労もなく手に入れていたらしいです。
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心を空っぽにしてカーレッジのお腹のあたりをモフモフして、毛並み最高だなぁやっぱり。
ああ、カーレッジの体温も感じられるしカーレッジも幸せそうにくねくねしてるしなんだもう最高だな。
おなかの毛が少し土に汚れちまってるから早めにお風呂に入れてやらないとなぁ。汚れてこの柔らかさってもう本当に最高だよー。
「ゴブ助、おめとんでもねぇ人連れてきたんだな」
「ん、へへへ。まあじじ様の孫だしな!」
「……ところで、なんでここさいんだ? おめさ仕事任せたはずなんだけどもや」
「……あ」
「まさが、忘れてたわけでねーべな!」
「ま、まさが! こ、これから! これからだよ!」
「んだの?」
「んだ! いまからあの兄ちゃんと一緒に探しに行くんだ! なあ、兄ちゃん!」
「うん……」
やっぱ毎日ブラッシングかけてやってるのがいいんだろう。
洗ってやった時から毛並み良かったけど成長するたびどんどん色つやも手触りもよくなるし、本当、最高ですよカーレッジ。最高の癒しですよ。
「なっ!」
「まあ、マイマイ草こんだけ採れる人だば、大丈夫か。だども、気を付けんだぞ?」
「わがってら!」
「…………ん?」
何も聞いてなかったけど、なんか二人で盛り上がってどうしたんだろう?
「へばゴブ助! さっさと準備せねか!」
「わ、わかっだ!」
「おめさんだちも何が欲しいもんあるんだば貸すはんでろ」
俺の方を見ながらすごくきりっとした顔で村長が言ってきた。
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