彼女に思いを伝えるまで

猫茶漬け

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高校1年目

暗雲(4)

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 あれから二日後に俺は昼休みに山城さんを図書室に呼び出していた。
 理由は彼女の様子が可笑しいことについて、彼女から聞き出そうと思っていた。
 俺は何も用意せずに山城さんに聞き出すのには少し不安があったので、何となくだが彼女が好きな駅前の栗饅頭を買って用意していた。
 阿部に聞けばもっといい方法があったかもしれないが、阿部を頼ることを止めたのは、俺だけでこの問題を解決しなくてはならないと思ったからだ。
 それは客観的に見ればうぬぼれかも知れないが、俺と山城さんの関係は二人で構築して行くべきで、二人の問題は自分たちで解決すべきだと言う思いがあって、山城さんとの仲がぎくしゃくしているのは俺に問題があるかも知れないと言う思いもあったからだ。
 もしも、そうであればしっかりと受け止めてどうすべきか考える必要があるし、阿部に頼る事は根本的な解決にはならないと思ったからだ。
 そんな思いが俺の中で覚悟となって硬く固まっていたのか、気持ちは変に落ち着いていた。
 図書室に入るとすぐに彼女を見つけて、目の前の席に座ると彼女が俺に気付いて手に持っていた本に栞を挿してカバンにしまった。
 山城さんの表情は少し緊張した感じだったので、俺はカバンから用意していた栗饅頭を取り出すと箱を開けて机の上に置いた。

 「その、たまには甘いものでも食べながら話がしたいなと思い、買ってきました。」

 俺はそう言うと、まるで毒見をするように栗饅頭を取り、包装紙を少しだけ開けると一口だけ食べた。
 口の中にはほのかな甘さが広がり、硬くなった気持ちが少しほぐれた気がした。
 山城さんも机の上の栗饅頭を一つ取り、俺に聞こえるぐらいの声で「頂きます」と言うと、包装紙を開けて一口齧った。
 お互い、表情筋が硬く、少しも笑う事もない状況に俺の思っているより状況は良くないことが何となく察していた。
 しかし、今更、引き下がる訳には行かないと胸にある不安を圧し潰し彼女に聞きたいことを出来るだけ簡潔に伝えることにした。

  「最近、山城さんが元気がないなっと思って、もし、俺が出来ることがあれば、その何でも言って欲しいんだ。」
 
 俺は彼女の目をしっかりと見て、俺が思っていることを伝えた。
 山城さんが何に悩んでいて、俺が出来る事があれば何でもしてあげたいと思いをそのまま伝えた。
 言葉で表すなら空を飛べとか飛んでもない事でなければ、何でもやってみせると言う思いはあった。
 その言葉を聞いた山城さんは、何か不安そうに視線を泳がして少し考えていたが、少し間を置いた後、彼女は意を決した俺の目をしっかりと見据えて俺に尋ねてきた。

 「その、登藤君と斑目さんはどういう関係なんですか?」

 その一言に俺は心臓に杭でも刺さったかのように罪悪感で、胸がじんじんと痛み、胸を押さえたくなるのを我慢していた。
 静かな図書室の中、彼女の声が普通より大きくハッキリと、頭に耳鳴りのように響くように聞こえた。
 苦悶を押し殺し、目の前の山城さんに対して、申し訳ないと思いつつも、この場から逃げようとは思わず、逆に最後の最後まで向き合う気持ちをもって臨んていたのは、俺の中に誠意があったからだ。
 山城さんと目が合うと、彼女は視線を落とし、俺は雰囲気で彼女の不安と言うか不満のような感情を何処となく理解した。

 「その、斑目さんとはただ、生徒会の手伝いを御願いされて、手伝っていたんだ。阿部からも御願いされて仕方なしに手伝う事になったんだ。」

 俺は出来るだけ落ち着いた感じでそう言った。
 最低限の事に絞って話をしたのは、俺の中である疑問があり、どうして山城さんが、俺と斑目さんで動画を撮影する為に放課後二人で残っていることを知っているのかだった。
 考えられるのは、目撃されたか、誰かから聞いたかのどちらかになるが、この答え方ならどちらに転んでも、上手く言い訳が出来ると思ったからだ。
 目撃された場合は、これ以上の情報を出す必要が無く根気良く押し通せば良い、逆に第三者から聞いた場合で最悪なパターンの斑目さんに俺が告白している事についても聞いている場合だが、ここで俺は斑目さんに断られた事を出して、それ以上に関りを持っていないと押し通すしかなかった。
 全て事実だが、山城さんから見れば、俺が不自然な行動をしていると思われても仕方がないと思われるのは当然だった。
 常識に考えて十人に聞いたら、大体七人ぐらいは眉をしかめて品性がないとか、節操がないと思うだろう。
 案の定、山城さんはあまり納得していないようで口にはしないが、彼女はジッと俺を責めるように見つめていた。
 気を利かせて持ってきた栗饅頭も、彼女からは謝罪の為に持ってきたのだろうと思えていただろう。
 ただ一つ、言い訳が出来ることがあるなら俺と山城さんは、正式に口から言葉を出して恋人として付き合う事を約束していない事を、思い出して欲しいと思っていた。
 そして、俺は出来る事なら本当に好きなのは山城さんだとこの場で言ってしまうべきなのかという考えもあった。
 そう言う色んな思考から生み出される感情が混ざり、心臓が締め付けられているのか膨らんでいるのか、何とも言えない苦しくも嬉しいような思いに悩まされていた。
 俺も山城さんもお互いに黙ったまま、気不味い雰囲気が流れているのをどうにかしたいと思い、必死で頭の中で言葉を選んで良い文章を考えていた。

 「その、俺が山城さんの気分を悪くしたのは、本当に御免、でも、どうしてそう思ったのか二度と同じ事をしないためにも、わかるように教えて欲しいんだ。」

 咄嗟とは言え、俺はこの問いは卑怯だと思うところがあった。
 俺は山城さんの性格を考えたら、答えるのを躊躇する事を理解していた。
 俺と山城さんはお互いに好意があり、恐らく両想いであるが、表面上の関係としては友達でしかないのだ。
 彼女は俺と斑目さんの関係について、どうこう言って干渉が出来る立場ではないと思っていて、現にそのことを聞く事が出来なかったのが証拠で、消極的な彼女が嫉妬に近い気持ちを言う事が出来ないと、何となくだが予想していた。
 俺は彼女に一言、気持ちを打ち明ければ全てが解決したもしれないが、それを俺の中の不安がそれを止めていた。
 目には見えないが、それは喉元を黒い影が両腕で軽く握られていて、少しでもその言葉が出ようものなら喉元を絞めて、出ないように封じ込まれているようなそんな感じだった。
 山城さんは何か言葉が出かけていたが、それを息を飲むように堪えると頬が紅潮させながら落ち着きなく視線を泳がして俯いたかと思うと急に立ち上がって声を震わせながらこう言った。

 「そ、その、急な用事を思いだしたので、失礼します!」

 そう言って足早にその場から立ち去る彼女を俺は見送るしかなかった。
 完全に彼女が視界から消えた後で、俺は目の前に残った栗饅頭をカバンにしまうと机に突っ伏して、先ほど起こったことに対して後悔と反省を巡らす事になった。
 その後、最悪な気分で放課後の生徒会室で俺は斑目さんと完成した動画の視聴をしていた。
 俺がダンスをしている動画に斑目さんが合わせて背景の変えたり、躍動感を出す為にスピード線などを追加して、テレビのCMで流しても遜色がないものだった。
 彼女は目の下に隈が出来ていて、この数日はこの動画の作成であまり寝れていないようだ。
 彼女は確かにこの数日、大変だったのはわかるが、俺は俺で今日の昼休みで山城さんとの事で頭が一杯で、山城さんに送付するSNSメッセージについて頭を悩ませていた。
 スマホの流れる動画は確かに目に入っているのだが、目から入った情報が耳から出ていくように少しも頭に残らない事もあり、斑目さんから一通り視聴が終わった後に感想を聞かれるも、何も思い浮かばないのでとりあえず、お茶御濁すように「すごく良いと思う」と答えた。
 それに聞いた斑目さんは何か言いたげだったが、不服そうに「あっそう」とぶっきら棒に答えてスマホの動画を止めた。
 確かに数日間、寝る間を惜しんで作ってきたものに対して、もう少し苦労をねぎらう言葉位は欲しいと思うだろうが、それを俺は躊躇していた。
 昼休みの山城さんに、斑目さんとどういう関係なのかと問われた俺には、斑目さんにどう接すれば良いのかわからなくなっていた。
 山城さんに誤解されるような行動は避けるべきで言うのがあり、出来るだけ最低限のコミュニケーションにしたいと思っていた。
 とは言え、斑目さんの疲弊した姿を見て、心苦しく思った俺は、せめて何か少しでも彼女の気持ちが晴れれば良いと思って、カバンから余っていた栗饅頭を取り出すと無言で彼女の前に置いた。
 少し驚いた顔でこちらを見る斑目さんに俺は無言で食べるように頷いて促してた。
 彼女が包装紙を剥がして、一口で栗饅頭を口の中に入れてモグモグと口を動かしながら、少し機嫌は良くなった様子だった。
 
 「動画は完成で良いのか?」

 そう言うと斑目さんの頷くのを見て、俺は胸を撫でおろしていたが、それはほんの数秒のことだった。
 斑目さんはカバンから二枚の紙切れを取り出すと俺の前に出した。

 「コレ、映画のチケット、二枚あるから約束通り見に行くわよ。」

 数秒、何が起こったのかわからなかったが、頭の記憶から急に斑目さんと会話が脳裏に蘇ってきたのだ。

 ”その、やってくれたらデートでも、何でもして良いわ”

 確かに彼女は俺にそう言ったが、数日前にやんわりとデートについて断わっておけば良かったと後悔していた。
 まさか、映画のチケットを用意して誘われると思っていなかった俺はどう反応すれば良いのかわからず、数秒だがその場で呆然としていた。
 なかなか受け取らない彼女は何を思ったのか手首を掴むと、俺の手に半ば強引に握らせた。
 俺はそのチケットを返すと言う事を少し考えたが、それを返された斑目さんの心情を考えると俺は躊躇していた。
 俺は色々な訳があって好きでもないが”付き合って欲しい”と言った事があるので、ここで彼女の誘いを断る事は過去の行動に矛盾が起きてしまう。
 それこそに数カ月前に、一度は断られたとは言え、その後、放課後に二人きりで共同作業とかして、仕舞には告白された相手にデートに誘われたら普通に健全な男子高校生は喜んで誘いに応じるだろう。
 ここでこの誘いを断ると不自然すぎて、何か感づかれるじゃないかと思った俺はそのまま手に握らされたチケットをポケットに入れる事にした。

 「今週の日曜日、11時に○○駅で、予定は空いてる?」

 彼女の予想通り、日曜日は予定が空いていたことや、都合の良い断る理由が思いつかないので、俺はその場は彼女と日曜日に約束することしかなかった。
 ここで無理に断ろうとしても良いことにはならない、そんな気がした事や、今ではなくても後日、断りの連絡を入れることも出来るのだから、ここは自然な流れになる様に行動すべきだと思ったからだ。
 
 「ああ、多分、大丈夫だと思う。」

 それを聞いて彼女は背伸びをしながら立ち上がり、荷物を片付け始めた。 

 「もう今日は疲れてるから、家に帰って寝るわ。」
 
 そう言いながら、机の上のカギを取ると目で生徒会室から出るように促され、俺もカバンを持って生徒会室から出た。
 生徒会室の入り口で、鍵を返しに職員室に向かう斑目さんを姿が見えなくなるのを確認すると素早く、男子トイレに入ると阿部に電話を掛けて一言、今から家に行くことだけ伝えると電話を切った。
 阿部は家に上がると阿部は待っていたようにリビングのテーブルを挟んで腰を下ろすと、阿部は俺に急に家に来た理由について聞いてきた。

 「さて、急にここに来たって事は何かあったんですか?」

 阿部はあの気味の悪い笑い方で、俺の口からどんな話が出てくるのか期待している様だった。
 
 「俺はもう斑目さんと関わるのは止めたい、お前が何を企んでいるのかわからないが、彼女は巻き込むことはしたくない。」

 そう言うと、阿部は唇をベロベロと舐めながら何か考えていたが、素直に俺が言う事に聞き入れた。

 「ああ、彼女はもう別に良いでしょう。ただ、言伝を伝えてからにして欲しいですね。ほら、前に彼女を助けた件。それを伝えてくれれば、あとは好きにして良いですよ。」

 好きにして良いって言うところが俺の中で妙に引っ掛かったが、まるで俺が斑目さんにチケットを渡された事について阿部は何か知っているようだった。
 阿部は無言で立ち上がり、キッチンに向かうと冷蔵庫から飲み物を取り出してコップに注ぎ始めた。
 俺は阿部が何故、斑前さんが俺にデートに誘ったことについて知っているのか気になるが、誰か斑目さんの行動を情報として阿部に知らせている人物がいるのだろう。
 阿部がキッチンからコップを二つ持って戻ってくると、俺の前にコップを置きながら話を続けた。

 「でも、今、彼女との関係を断つのは良くないと思いますよ。大島さんは彼女についてどう思っているか、彼女とどんな話をしたのか、良く思い出した方が良いんじゃないですか。」

 俺は半分忘れかけていたが、斑目さんに嘘の告白をする羽目になったのは大島さんが俺を揺すったことから始まっていた。
 しかし、この話は俺と大島さんが両者で秘密を握り合う事で相殺したことになっているので、既に済んだことと思っていた。

 「考えて見て下さい、大島さんからしたら斑目さんが生徒会に入ったことは面白くないですよね、顧問が武田先生ですからどう思っているか私が言わなくてもわかります。しかし、私は斑目さんを助ける義理はないですから。」
 
 俺は阿部が好きにして良いと言った意味がようやくその意図がわかった。
 俺が斑目さんとの関係を放っておいて、彼女の身に何かあったとしてもそれは関知しないと言う事だった。
 そして、大島さんが斑目さんに何かする恐れがある事を、関係各所に報告しようものならカウンターで握られている秘密をバラされる恐れがあるのだ。
 そうすると大島さんが矛を収めるボーダーラインは嘘でも斑目さんと恋人としての関係が必要になるのだ。

 「そんなに景気の悪い顔をしないで下さい。こうなってしまったら楽しんだ方が良いんじゃないですか?両手に花なんて男だったら泣いて喜びますよ。ああ、登藤が羨ましいですよ。」

 阿部があの気味が悪い笑い方をしているのを見ていると、俺は腸が煮えるような熱が下っ腹の辺りから込みあがってくるのを堪えていた。
 阿部が紹介だったとは言え、その仕事を断らないで受けたことに対して、俺にも非があったんだと思うと、阿部の言い草に腹が立つものの文句を言う気分にはならなかった。

 「どうにかならないのか?お前のことだから何か良い案があるんじゃないか?」

 阿部はそれを聞くと、両手を頭ぐらいの高さまで上げると手を左右にヒラヒラと振って、お手上げだと言いたげだった。

 「大島さんの近くに斑目さんがいるので私が動くと、どうしても彼女が私をしつこく嗅ぎまわるんですよ。もし、登藤が斑目さんの注意を引いてくれれば何とかなるかも知れませんね。」

 もう話の流れから俺は斑目さんとのデートは事ある事は出来ない、大体、阿部が悪いと言う事で俺の中で無理矢理納得することにした。
 それより、俺は山城さんとどうやって関係を回復させるのかそっちを良く考えたかった。
 出来れば阿部は頼りたくないが、阿部を頼れば間違いなく問題が解決すると言う安心と信頼感があり、俺を悩ませるのだ。
 事実、大島さんの件は阿部に頼った事で両方で弱みを握り相殺できたが、斑目さんとのデートをしなくてはならず、山城さんからは斑目さんと関係で現在進行形で揉めているのだから、山城さんとの関係が良好になって問題解決しても、新たな 問題に悩まされても困るのだ。
 とは言え、俺が何も考えずに行動すれば失敗して、関係を悪化させる恐れがあると思えば、阿部を上手く利用して無条件で助言の一つを引き出したいところだ。
 そこで俺は阿部に助言の一つを引き出す為に言葉を選びながら現在の山城さんと関係が良くない事を話すことにした。

 「最近、山城さんが少し様子が変なんだが、何かあったか知っているのか?」

 阿部は顎を触りながら何か考えながら、何かを思い出そうとしている様だったが、黙ったまま沈黙が続いたので、阿部に更に情報を与えてみた。

 「俺と斑目さんが放課後に動画を撮るために残っている事を、山城さんはそのことを知っていたんだ。それで今日、そのことについて詰められた。」

 そう言うと阿部は俺を見て、拍子抜けしたと言うか呆然とした様子でこちらを見ていた。

 「それは当然じゃないですか、この前、廊下で会ってますよ。」

 俺は阿部の一言で、頭が混乱していた。
 いつどこで会ったのか記憶がない、俺と阿部と学校ですれ違うのは結構稀な事で、お互い学科が違うので授業を受けている場所が離れていることもあり、月に二、三回程度しかないのだ。
 しかし、一度は否定した中でおぼろげながら記憶の片隅に俺と阿部と斑目さんが会ったタイミングがあった事を思い出してきた。
 俺は着ぐるみを着ていたので遠目で見てわかる訳がないと思った時、俺と阿部と斑目さん以外にあの場所にいた人物、あの銀河大戦の宇宙服コスプレをした人がもしや山城さんなのではと言う答えが脳裏に浮かんできた。
 
 「登藤は鈍いんですね、私、てっきり山城さんとわかっているから、ツーショット写真を撮ったりしてるものだと思っていましたよ。」

 阿部が俺の思考を予測してニヤニヤ笑いながらそう言ってきたが、俺はそんな事が気にならない程、自身が思った以上に状況は深刻なのかもしれないと、頭が痛くなってきた。
 この絶妙なバランスで保っていた俺の人間関係がついに破綻が見えていて、いつ崩壊してもおかしくなかった。
 斑目さんは異性としての好きとそう言う気持ちはないが、彼女にアルバイトの許可を取る為に、彼女に助けて貰った事を考えると、彼女を見捨てるようなことは出来ないが、山城さんの好きだと言う気持ちを捨てる事は出来ないのだ。
 
 「そんなに難しく考える必要がありますか?登藤が現状に関係に合わせて上手く立ち回ればいいんですよ。大体、山城さんも斑目さんも登藤との関係を口頭で確認するような事をしてないじゃないですか。あやふやな関係はあやふやなりに上手く利用すればいいんですよ。」

 そう言うと阿部は俺にある方法を教えてきたのだ。
 俺は阿部の話を聞いてそんなの上手く良くことないと馬鹿にしていたが、これが俺の悩みを解決するが、精神に多大な負荷をかけることを知る由もなかった。
 数日後、俺は約束した駅の改札出口で斑目さんを待っていた。
 俺は結局、斑目さんと二人で映画を見に行くことを断らずに、阿部が俺に吹き込んだことを半信半疑だが、そのように立ち振る舞うようにしていた。
 阿部は俺に、斑目さんと山城さんとの関係を俺から強く協調して刷り込む事、そして、常に二人が望む最善を尽くす、この二点を鉄の掟として立ち振る舞うように言ってきた。
 この刷り込みは会話の中で友人や友達と言う言葉を、会話の中に出来る限り入れていき、何度もそれを使う事で二人に俺が友人や友達と言う関係認識である事を刷り込んでいくことだ。
 そして、常に二人の望む最善を尽くすのは、二人の気持ちに少しでも陰りが出来ると関係が崩壊する恐れがあるので、着かず離れない様な距離感を維持をする為だと阿部は力説して、この二点で関係を固定させることで問題ないと阿部は言い切った。
 そもそも、俺にそんな器用な立ち回りが出来るのかと言う問題について、阿部は俺に初めから出来る人なんていないと言いつつも、結局、やらなくては関係が破綻するのでやるしかないと言う事を俺に言ってきた。
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