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第一花 二人の出会い
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「ははっ!
ここならバレないだろ?
肩の力を抜いて、落ち着くといい。
ココは同盟国会議の時以外使われない神殿だ。
グランディア皇羽國の兵達も追ってこないだろうし、私達を追う者達がまさかここに隠れてるなんて想いもしないだろ…って⁈
なんで泣いてるの⁈」
「だっ、だって·····!
見つかったら怒られちゃう·····!」
レディノーラは白い髪によく映える金と銀の刺繍の施された優美な衣装の袖で思いっきり目をこすっていた。
ソレをオランジェ・クライン・オスマントゥス王女は、レディノーラの両手を掴んでグッ!と下に下ろした。
「泣ーかーなーい!
何歳だよ!」
「ろ、六歳…」
「なんだ!同い年じゃないか!
私はアウランティアクス国第二王女のオランジェ・クライン・オスマントゥス。
オランジュって呼んでくれたら嬉しいな!
君は新しい花護りだよね!
えっと…、名前は確か……」
「レ、レディノーラ・フォン・グランロッテ」
「よろしく!レディノーラ!」
オランジェ・クライン・オスマントゥス王女ことオランジュがニコッと快活そうに笑うと、レディノーラはふと鼻をくすぐる香りに金色の目を瞬いた。
花の香がした。
甘くて、何処か懐かしい優しい香りだった。
「この香り…」
「ん?ああ!金木犀の香り袋だ!
レディノーラにもやるよ!」
オランジュがドレスの上着の内ポケットから金色の刺繍の施された小さな香り袋を出す。
小さいのにそれだけでとても良い香りのするソレに、レディノーラは思わず胸に手を当ててすうっと息を鼻から吸いこんだ。
本当に良い香りだった。
ここならバレないだろ?
肩の力を抜いて、落ち着くといい。
ココは同盟国会議の時以外使われない神殿だ。
グランディア皇羽國の兵達も追ってこないだろうし、私達を追う者達がまさかここに隠れてるなんて想いもしないだろ…って⁈
なんで泣いてるの⁈」
「だっ、だって·····!
見つかったら怒られちゃう·····!」
レディノーラは白い髪によく映える金と銀の刺繍の施された優美な衣装の袖で思いっきり目をこすっていた。
ソレをオランジェ・クライン・オスマントゥス王女は、レディノーラの両手を掴んでグッ!と下に下ろした。
「泣ーかーなーい!
何歳だよ!」
「ろ、六歳…」
「なんだ!同い年じゃないか!
私はアウランティアクス国第二王女のオランジェ・クライン・オスマントゥス。
オランジュって呼んでくれたら嬉しいな!
君は新しい花護りだよね!
えっと…、名前は確か……」
「レ、レディノーラ・フォン・グランロッテ」
「よろしく!レディノーラ!」
オランジェ・クライン・オスマントゥス王女ことオランジュがニコッと快活そうに笑うと、レディノーラはふと鼻をくすぐる香りに金色の目を瞬いた。
花の香がした。
甘くて、何処か懐かしい優しい香りだった。
「この香り…」
「ん?ああ!金木犀の香り袋だ!
レディノーラにもやるよ!」
オランジュがドレスの上着の内ポケットから金色の刺繍の施された小さな香り袋を出す。
小さいのにそれだけでとても良い香りのするソレに、レディノーラは思わず胸に手を当ててすうっと息を鼻から吸いこんだ。
本当に良い香りだった。
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