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第一花 二人の出会い
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しおりを挟むレディノーラは友達の印と言って貰えて交換した金木犀の香りのする香り袋を、寝台で寝ころびながら眺めていた。
鼻から息を吸えばとても良い香りがして、そのハッキリした感じがオランジュのようだと感じた。
自分はお香の筒を渡したけれど、どうだろう、気に入ってもらえただろうか?
「レディノーラ!」
寝台の上から姉のグラドールが梯子を下りてきてレディノーラに声をかけた。
「今日めちゃくちゃ楽しくなかった⁈
私、議会って大人のつまらない会議だと想ってたわ!
に、しても!
アウランティアクスの王女様はすごく魅力的!
私気に入っちゃったわ!」
そう言って双子の姉のグラドールはレディノーラにウインクをする。
「あのね、グラドール」
「ん?」
「えっと…今日…」
「何?どうしたの」
「バレてないかな、今日ね、抱っこされちゃったんだ、オランジュに」
「…」
「バレてないかな⁈」
そう言ってレディノーラはガバッと起き上がった。
「私の性別‼︎」
レディノーラが目尻に涙を浮かべながらいうとグラドールは自身の胸に両手を当てた。
「…まだ成長期来てないし大丈夫じゃない?
双子で同じの食べて同じ暮らししてる私、まだ胸ないわ。
オランジュのも触っとけばよかった」
「っバカ!」
レディノーラはそう言うと白いシルクの布団に潜り込んだ。
そしてふかふかの羽根の詰まった枕に顔を埋める。
「ごめんごめんて!
お姉ちゃんも真剣だよー?
でも大丈夫だって!ね?」
「…」
「レティー?」
「本当に大丈夫かな、本当にバレてないかな?
本当は私が、男の子だって…。
グランディア皇羽國では男児が皇室に産まれることは禁忌の印だって本にも載って…!」
「ソレで今まで何かこの国に問題起きたことある?
ないでしょ?
大丈夫だよ?
私達の可愛いレディノーラ」
姉のグラドールが安心させるように言う。
レディノーラはもう一度今日オランジュから貰った金木犀の香り袋を嗅いだ。
とても良い香りだった。
グラドールがレディノーラの頭をよしよしと撫でる。
そしていつものように二人で歌っている歌を歌い出した。
レディノーラは不安から目に涙を浮かべていたが、グラドールの優しい歌声とオランジュからの友人の証の金木犀の香りでいつの間にか眠りについていた。
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