大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです

古堂すいう

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奮闘

子供達

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「カーティスおじさん、その子はだあれ?」
「お姫様みた~い。かわいい~!」
「違うよ、妖精さんだよ。絵本の妖精さんはこんなかんじだったもん」

案内されたのは教会の中庭だった。

そこそこ広い庭に、小さな白い花の咲く長閑なその中央には女性の神官と、数十人の子ども達。丸々とした目でこちらを見つめる様はとても愛らしい。

カーティスは、そんな子供達にむかってにっこり笑いながら、セレーネの背を柔く押した。

「このお姉さんが、お菓子を持ってきてくれたんじゃよ」
「わあ、お菓子!お菓子だって!」
「どんなお菓子、早く食べたい!」

ぴょんぴょんと飛び回る子供達に、セレーネはどうしていいのか分からず、とにかく上から見つめるのでは怖がらせるのではないかと考えて、その場にしゃがみこんだ。

「うちの料理長が作ったクッキーと、マフィンですわ」

ふわりと、セレーネがドレスの裾を広げて座る様を見て、子供達は頬を染め、何故か呆然とした様子でセレーネを見つめる。

「……?」

何かしてしまったかと思い、バスケットを開ける手を止めて首を傾げるセレーネにカーティスは微笑むばかりで何も答えてくれない。一方で一人のくすんだ金髪の女の子がセレーネのドレスの裾を掴んだ。

「お姉さん、かわいいし、綺麗だねえ」

ほんわりと笑いながら見上げてくる子供の素直さに、セレーネは胸打たれた。

「あなたも可愛いわよ」
 
おずおずと頭を撫でてみると、くすんだ金髪がふわりと揺れる。セレーネが怖くない人間だと分かったからなのか、女の子に続き幾多の子供達がセレーネの元にワラワラと集まる。

セレーネがバスケットを開けると、皆一斉に頬を赤くして、傍に立つ女の神官の方を見上げる。彼女達は笑って「いいわよ。ただし手についた土を洗い流してからね」と許可を出す。

「やったー!!!」

子供達は喜んで、我先にと教会へ戻り、手を濡らしてセレーネの元にお行儀よく腰掛けると、バスケットの中のクッキーとマフィンを頬張った。

「おいしぃー……おねぇさん、これ、何入ってるの?」
「それは、カスタードクリームよ」

教えると「カスタードクリーム!」と感動しながら、子供達はもぐもぐとバスケットの中身を平らげていく。「こっちはチョコレートだ!」「こっちはブルーベリーだ」とワイワイ騒ぐ子供達の様子を、セレーネは静かに見つめた。

(子供って……ちょっと苦手だと思っていたけど、かわいいのね)

ふんわりと花のような笑みを浮かべるセレーネに、子供達はまたポカンと口を開いて、頬を染める。

「あら、皆そんなに上機嫌でどうしたの」

たおやかな声音が、その場の全員を振り向かせた。
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