大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです

古堂すいう

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聖女

無邪気

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膝のピリピリとした痛みに耐えながらも、時が過ぎるのも忘れて、セレーネは子供達と無邪気に追いかけっこを続けた。

同じ目線で、同じように遊んでくれるお姫様のような女の子。子供達は今日会ったばかりのセレーネと過ごす時間が楽しくて仕方がなかったようで、終始笑顔だった。神官達も、いつになく元気な子供達のはしゃぎ声と、妖精のようなセレーネの笑い声に導かれるように、時折中庭を覗いては「あの美しい人は誰だ」と噂する。

「つかえましたわ!」
「わ!捕まっちゃった!お姉さんすごいや!」

子供達の笑顔が嬉しくて、セレーネも心からの笑みを浮かべる。

(こんなに笑ったのはいつぶりかしら……)

最終的に疲れ果てて、地面にへたり込んだセレーネの元へ子供達は集い、服が汚れることも厭わずに地面へ寝転んだ。

「あー!楽しかった!」
「おねえさん、追いかけっこどうだった?楽しかった?」

目を爛々と輝かせて問いかけてくる子供達に、セレーネは「うんうん」と2回大きく頷いた。すると子供達はよほど嬉しかったのか「じゃあ、またやろうね!」と元気いっぱいに提案する。

「また……来てもよろしいの?」
「うん、もちろん!よろしいよ!」

眩しい笑顔を浮かべる子供達にセレーネは「じゃあ、また来るわ」と頷いた。

そこではたと、セレーネは気づく。

(……私が来たら、駄目じゃないの)

セレーネがしょっちゅう教会に来たら、エルゲンとレーヌがゆっくりとした時間を過ごせないではないか。そう思って、代わりに誰かを雇うのが良いのではないかと考えたのだが……。

「お姉さん?もしかして……もう来られないの?だからそんなに暗いお顔するの?」

見上げてくるくすんだ金髪の女の子──ラミィはセレーネのドレスの裾を握った。

(……もう、1回くらいなら来ても……いいわよね)

セレーネはラミィの小さな手を握って、優しく撫でた。

「違うわ。ちょっと疲れただけ。私だってまた追いかけっこしたいわ。次は絶対に一度も捕まらない自信があるもの」

自信満々に胸を張るセレーネに、ラミィはクスクスと笑う。

「お姉さん、今日はいっぱい捕まっていたものね」

セレーネ自身は気づいていなかったが、彼女の容貌に幼き恋心を募らせた男の子達は、ほんの少しでもセレーネと話がしたくて、触れたくて、彼女を追いかけていたのである。

心当たりのある男の子は、ラミィの言葉に赤面して、手を背後に回してもじもじといじくりまわした。と、その中の1人が、顔を上げて中庭に入ってきた2人を視界に映し、満面の笑みを浮かべて口を開いた。

「──……エルゲン様、レーヌ様!」
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