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「ヒイッ!」
と、とう子さんが叫ぶ。
とう子さんの「ヒイッ!」久しぶりに聞いたな・・・。
マンガ見て、俺見て、マンガ見て、俺を見る。
どうごまかそうか、考えてるのかな?
彼女はクッションを抱きしめて土下座スタイルになった。
「・・・そ、それは、よし君には面白くないと思う・・・」
「俺、これ、読んだことある。少年愛でしょ。」
そう言って著名人、文化人にも絶賛された一冊を手に取る。
「え・・・」
彼女は顔をあげた。
「読んだの?」
「伯母さんと従姉妹がマンガ好きで、マンガ屋敷だったから、子どものころ遊びに行くと読んでた」
これ本当。
「俺、ほかのも読んでみたい」
ちょっと落ち着いてきたかな?
「オタク、嫌じゃない?」
「いや、うちの従姉妹と比べたら大した量じゃないよ・・・」
「・・・量とかじゃなくて・・・」
「・・・うちにラディゲとか、コクトーとか、サドもあるじゃん」
「・・・???・・・うん?」
あ、本箱に仕舞ってたか。しかも意味わかってないかな?まあいいや。
「おすすめ、どれ?」
俺がそう言うと、同性愛だけど大丈夫?とまた確認しながら彼女はおずおずと説明をしはじめた。
古いものは欧米が舞台のものが多いが、最近は日本の学生ものやサラリーマンものも人気だと言う。
「よし君なら、これかな・・・」
と彼女がすすめてくれたのは、立派な賞を受賞したこともあるという虐待がテーマの重いものだった。
「すごいの。もう、すごいしか言えないんだけど。とにかく怖いの。」
ふむふむどれどれ、とページを開き、いきなり読書会がはじまった。ひたすら、黙々。どんどん引き込まれていく。
結果は、まあ、すごかった。
「・・・天才だな」
「でしょー!」
食い気味に返すとう子さん。いつの間にか、彼女もマンガを手にして読んでる。俺だけ読んでたら暇だしな。
語彙力が凡庸で申し訳ないが、本当にうなるほど素晴らしい作品だった。
「はじめて読んだとき、最初のレイプで怖くなっちゃって、あああっ、ってなって、」
「男娼に身を落とすときの心のあり方が・・・」
メロンとたっぷりの生クリームを挟んだパリブレストを食べ、爽やかなファーストフラッシュのダージリンを飲みながら、不穏な話をする俺たち。
イリュージョンに興奮して、チャーシューに満足して、マンガに感動して、ケーキ食べて。
今日は盛りだくさんな一日になったな。
「なんか、今日は盛りだくさんな誕生日だったぁ。」
とう子さんが笑って言う。
同じこと考えてたよ。
俺も笑う。
一瞬、言おうか迷っていたものについては、心の片隅に押しやって。
と、とう子さんが叫ぶ。
とう子さんの「ヒイッ!」久しぶりに聞いたな・・・。
マンガ見て、俺見て、マンガ見て、俺を見る。
どうごまかそうか、考えてるのかな?
彼女はクッションを抱きしめて土下座スタイルになった。
「・・・そ、それは、よし君には面白くないと思う・・・」
「俺、これ、読んだことある。少年愛でしょ。」
そう言って著名人、文化人にも絶賛された一冊を手に取る。
「え・・・」
彼女は顔をあげた。
「読んだの?」
「伯母さんと従姉妹がマンガ好きで、マンガ屋敷だったから、子どものころ遊びに行くと読んでた」
これ本当。
「俺、ほかのも読んでみたい」
ちょっと落ち着いてきたかな?
「オタク、嫌じゃない?」
「いや、うちの従姉妹と比べたら大した量じゃないよ・・・」
「・・・量とかじゃなくて・・・」
「・・・うちにラディゲとか、コクトーとか、サドもあるじゃん」
「・・・???・・・うん?」
あ、本箱に仕舞ってたか。しかも意味わかってないかな?まあいいや。
「おすすめ、どれ?」
俺がそう言うと、同性愛だけど大丈夫?とまた確認しながら彼女はおずおずと説明をしはじめた。
古いものは欧米が舞台のものが多いが、最近は日本の学生ものやサラリーマンものも人気だと言う。
「よし君なら、これかな・・・」
と彼女がすすめてくれたのは、立派な賞を受賞したこともあるという虐待がテーマの重いものだった。
「すごいの。もう、すごいしか言えないんだけど。とにかく怖いの。」
ふむふむどれどれ、とページを開き、いきなり読書会がはじまった。ひたすら、黙々。どんどん引き込まれていく。
結果は、まあ、すごかった。
「・・・天才だな」
「でしょー!」
食い気味に返すとう子さん。いつの間にか、彼女もマンガを手にして読んでる。俺だけ読んでたら暇だしな。
語彙力が凡庸で申し訳ないが、本当にうなるほど素晴らしい作品だった。
「はじめて読んだとき、最初のレイプで怖くなっちゃって、あああっ、ってなって、」
「男娼に身を落とすときの心のあり方が・・・」
メロンとたっぷりの生クリームを挟んだパリブレストを食べ、爽やかなファーストフラッシュのダージリンを飲みながら、不穏な話をする俺たち。
イリュージョンに興奮して、チャーシューに満足して、マンガに感動して、ケーキ食べて。
今日は盛りだくさんな一日になったな。
「なんか、今日は盛りだくさんな誕生日だったぁ。」
とう子さんが笑って言う。
同じこと考えてたよ。
俺も笑う。
一瞬、言おうか迷っていたものについては、心の片隅に押しやって。
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