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その242.「虫」は元々ヘビだった?
しおりを挟む夏の暑い時期、海に近い浜辺の売店で、海産物の網焼きを売っていたんですね。
ぶつ切りのタコの足を串に刺して焼いてくれたり、網の上で貝ごとハマグリを焼いてくれたりして。
アツアツのを頬張って、冷たいビールで流し込むのが、またいいんですわ。
さて、タコやハマグリを漢字で書くと「蛸」や「蛤」。
なんで「虫(むしへん)」がつくんでしょうね?
海産物は、虫とは関係なさそうなのに。
まず、「虫」という字の由来を調べると、この文字自体がヘビの一種である「マムシ」の意味を持っていたことが分かります。
象形文字で、上部の「日」が横になったような箇所が、頭部と目を示し、下部の「ム」みたいな部分が、しっぽ。
「虫」がマムシなら、カブトムシやクワガタムシみたいな昆虫はどうすんの?と思ったら、そっちは「虫」ではなく「蟲」という字で書き分けていたんですね。
そして、「蟲」の字を省略して、昆虫類を画数の少ない「虫」の字に置き換えることになったので、本来の「マムシ」の意味は、「蝮(まむし)」という字を作って、そっちに置き換えました。
さらに細分化していったのが「蛇(へび)」です。
毒を持っていた「マムシ」は、「うねうねして気持ち悪い生き物」の代表であり、「むしへん」の生物は、そんなカテゴリが多いです。
蜥蜴(とかげ)、蚯蚓(みみず)、蛞蝓(なめくじ)、蝸牛(かたつむり)、蛭(ひる)、蛙(かえる)、蝦蟇(がまがえる)、蚰蜒(げじげじ)……。
並べて見ると、字面がイヤな生き物軍団。
そんなわけで、うねうねして気持ち悪いタコも「蛸」だし、貝の中身がうねうねして気持ち悪いハマグリも「蛤」。
ハマグリからの連想で、「貝」シリーズで言うなら、牡蠣(かき)や浅蜊(あさり)、蜆(しじみ)も漢字で書いた時に「むしへん」の字を使います。
蟹(かに)や蠍(さそり)、蜘蛛(くも)、蝙蝠(こうもり)なんかも「むしへん」ですね。
この辺は、単に「忌み嫌われている動物」なのかな?
どれもこれも、仮面ライダーの怪人モチーフに使われていたりする「悪役」サイドの生物、というか。
むしへんで面白いのは、「虹」といった自然現象にも使われていること。
見ると縁起が良いとされ、少しハッピーな気分になれる「虹」。
パチンコを打つ人は、「レインボーカラーだったらプレミアじゃん! 大当たり確定じゃん!」と喜びそうです。
逆に、中国では「虹」は「不吉の象徴」とされ、あまり好まれていないようで。
中国では、長く生きた「蛇」が空に舞い、龍になったという言い伝えがあり、「虹」はその「龍になりかけている蛇が見せる幻覚」を現すそうです。
つまり「未完成の中途半端な段階」で、「成就できない」意味を持つのですね。
たしかに、好まれていないのも頷けます……。
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