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〈高2 :1学期〉
1.周囲の人たちの反応がなんか変
しおりを挟む「おはよ」
「おは...え、は?」
いつものように高校に行きクラスの後方のドアを開けたら目の前に友人の桐崎がいたので挨拶すると、何故だか目を見開いてこちらを凝視された。
目を見開いた顔もイケメンとかどうなってんだこいつ。モデルみたいな体型に明るめの茶髪が似合う整った顔立ち。俺よりも少し高い身長が羨ましい。
「え、ちょ、どうしたの??」
「どうしたって何が?」
生憎、桐崎が動揺している理由が分からず、首を傾げると更に動揺された。
「いや、だって、そのシルエットが」
「シルエット?え、まじで何、どうした?」
「もしかして双子??」
「...いや一人っ子だけど」
「し、親戚とか??いや、顔めっちゃ似てる」
「めっちゃ似てるも何も本人だしな」
桐崎の言っていることはよく分からないが、チャイムが鳴ったので席に着いた。周囲から矢鱈と視線を感じるのは何故だろう。
何だか落ち着かないなと思いつつ、前方のドアから先生が入ってきたのでそちらに集中することにした。俺を見ている奴ら全員先生に集中しろ。
教卓の前に立って欠席確認をし始めた先生が俺と目が会いぎょっとした。何?本当になんなの?
「あ~~江本?」
「はい」
「だよなあ、江本だよなあ。いやあ、なんだかボーイッシュな雰囲気になってて驚いたというか」
「ボーイッシュって」
「いや、すまん!デリカシーがなかったな」
「いえ、別に」
ボーイッシュも何も生まれてこの方男なのにボーイッシュもクソもなかった。本当に今日は皆何だか変だ。
先生はそのまま欠席確認を終えて、そっと教室から出ていった。え、担任よ何処へ行く。1時間目は担任の授業なのに。
廊下を行ったり来たりする担任。ここが学校じゃなかったら不審者扱いされるぞ。
1分ほど経ってからすっと戻ってきた。いや、怖い。どうした担任。校長のハゲ、間違えた。ハゲの校長に虐められたのだろうか。ストレスか?社会人大変そう。なりたくない職ランキング社会人だよなあ。社会人は職じゃないか。何考えてんだ俺。
1時間目が終わってから担任に呼ばれたので近づくと廊下の隅に手招きされた。
「相談でもなんでも、いつでも言ってくれていいからな」
「えっと、まあ、はい」
「男の俺に言いづらいこともあるだろうから、他の女性の先生とかでも良い。思い悩むなよ」
「?????」
「先生達の方でも話し合いをして、江本の学生生活をサポートするからな」
担任が俺の肩をポンポンと叩き去っていった。マジで意味が分からんし、担任の方がヤバいと思うんだが。
ハゲと関わりすぎてストレスでハゲてきたとか?なんだ?俺もどっかハゲてる?ハゲ仲間だと思われてる??いや、意味分からん。俺ハゲてねえし。
あいつの頭大丈夫かなと辛辣なことを考えながら、教室に戻ると今度は女子のクラスメイト、吉沢に捕まった。
「ねぇ~~江本??江本だよね??」
「どうした吉沢」
「だよねぇ~~江本、いきなり背が高くなったね」
「いや、去年からあんまり変わらんけど」
「えっと、その制服いいね。似合ってる」
「お、おう。ありがとう」
吉沢からの会話もよく分からん。背は中3にはいきなり伸びて170cm台になったが、今は173cm前後だし、高2になって制服姿を褒められるとか何だこれ。
「ん~~江本!よく聞いて!私は味方だから!!」
何かの危ない宗教の勧誘とかだろうか。
「どうした?大丈夫?」
「大丈夫!おっけー!!大丈夫!!」
それは大丈夫じゃないやつの言葉である。
***
クラス全員が挙動不審なまま昼休みを迎えた。
なんだろう、見に覚えがないが俺は何かしたのだろうか。記憶喪失??いや、日付を見たが昨日のことは覚えてる。
もしかして、何かネットで晒されてたとか??え、なんか晒されて不味いものなんてあったけ。性癖??性癖か??いや、昨日観たのは大学生と高校生(なお両方成人済み)の企画もののAVとかいたって普通、ノーマル、ノーマルだよな??
なんでこんな局地的豪雨みたいな空気になってんだ、このクラス。やばいって。昼休みなのに空気が死んでる。
理由が分からないけど、朝からの反応を見てると多分おれが理由なので普通にビビってるし、なんならちょっと怖い。やばい、まじで何やらかしたんだ俺。
この空気に物応じせず隣のクラスのお調子者のチビ、高橋が走ってクラスに入ってきた。
「ちぃ~~す、みんなのアイドル髙橋だよ~~」
こいつはこのクラスを凍らせにきたのだろうか。
「髙橋、寒すぎ」
「いや~ん、温めて?ってまあ冗談として、あれ?江本、おっぱいどうした??」
「は?」
高橋の発言の意味が分からなくて俺が髙橋に聞き返す前に、無言でクラスの女子が数人立ち上がり、高橋を叩き始めた。
「え、ちょ、痛いって」
「お前は!!デリカシーを!!何処に捨ててきた!!」
無言で立ち上がった女子の1人である吉沢が高橋に刻み込むようにデリカシーを叫んでいる。いつもは明るくキャピっと笑う感じの吉沢が見る影もなく鬼の形相である。怖い。どうした、高橋の発言の何処に吉沢の地雷があったんだ。
「いや、だって江本、サラシでも巻いてんのか??」
「お前はまだ言うか!!!」
吉沢と数人の女子に引きづられながらクラスから強制退場していく髙橋。あいつまじで何やらかしたんだ。
急激な展開に頭が回らなくなってたが、思い出したように髙橋の発言が気になってきた。おっぱい?サラシ??何で男の胸にサラシ??
頭の中が疑問だらけになってると、昼休みすぐにどっかに行ってた桐崎が戻ってきた。
「お待たせ、江本」
「いや、大丈夫。飯食おうぜ」
机をくっつけて弁当を食べてると、桐崎が思い出したように切り出した。
「そういえば、さっき高橋がうちのクラスの女子に引きづられてたんだけど何かあった?」
「いや、よく分かんないけどなんか地雷踏んだっぽっい」
「へ~~髙橋が?あいつ、なんやかんや許されるタイプなのになあ」
「だよなあ、なんか憎めないキャラというか」
「ふ~ん、そういうタイプが好きなの?」
「え?いきなり話が変わってないか?ジェットコースター並みじゃん」
「そりゃさ、嫉妬ぐらいするでしょ」
「????」
どうしたんだ桐崎。恋愛漫画みたいなセリフをいきなり友人である俺に言うとかまじでどうした??朝から情緒不安定すぎないか?まじで大丈夫??
「なあ、桐崎、大丈夫??」
「ん?大丈夫だよ」
そう言いながら机の下にある足に桐崎の足が絡みついてきたんだが。なに、どうした??
「江本、いつも可愛いけど今日も可愛いね」
とりあえず、こいつの頭を一回殴ったら正常に戻るだろうか。
***
なんか頭がやられてる桐崎は学校帰りも可笑しかった。
何故か俺と手を繋ごうとする桐崎を適当にいなしながら帰ろうとしたが、いつの間にか手を繋がれた。それも恋人繋ぎ。
へへっと嬉しそうにする桐崎には、俺は美少女にでも見えてるのだろうか。
このまま手を繋いだまま病院に連れてってやるべきか本気で悩んでると、桐崎が顔を覗き込んできた。距離が近い。
「パーソナルスペース」
「パーソナルスペース?」
初めて聞いた言葉みたいな反応をするな。お前知っててやってんだろとため息が出た。
知らないうちになんかのゲームに負けて、罰ゲームで男と手を繋いで帰るとかそういったのがあったんだろうか。
こいつ変なところで真面目だし、そういった展開も無きにしも非ず。いや、これしかないな。
「罰ゲーム?」
「?何の話?」
違った。嘘だろ。え、じゃあ何で野郎2人でお手て仲良く繋いで帰ってんの。3歳児とかまでだろこれ。いや、ギリ小学生??
思っていた反応と桐崎の反応が違ったので余計に混乱してきた。
繋いでる手を見てまた嬉しそうに、ふふっと笑っている桐崎。お前がイケメンだから耐えられる絵面だぞこれ。
イケメンってこんな面でも得すんのかと変に納得してると、いつの間にか桐崎の家の中に入れられてた。いや、俺帰るけど??
「え~っと桐崎?俺帰るけど?」
「ん、なんで?」
「いや、なんで?」
玄関先で話してたら面倒臭くなったのか、よいしょ、と言いながら桐崎にお姫様抱っこをされた。いや、なんで??
状況が全く理解できないし、なんでこいつ俺のことお姫様抱っことか出来んの??服の下、筋肉だるまだったけ??着痩せするタイプ??
靴はいつの間にか脱がされていた。もしやこいつ、お持ち帰りの常習犯か??それはないか。逆に持ち帰られそうなチョロそうな雰囲気はあるけど。いや、今ちょろいのは俺なのか??
びっくりしすぎて驚くほど抵抗せずにこいつの部屋に連れて行かれてしまった。何だろう、見たことあるこの展開。
なんで友人に貞操の危機を感じなきゃいけないんだ??いや、そもそもこいつ俺のこと好きなのか??え、なにこの展開、意味分からん。
そっとベッドの上に降ろされて桐崎に微笑まれた瞬間、血の気が引いたのが自分でもわかった。
「江本、先に宿題しよう」
一番先にやることはお前を締め上げることだ。
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