次郎と俺のハナシ

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1章 終わりと始まり

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 5歳の頃、幼馴染の次郎(じろう)が亡くなった。

 俺の目の前で倒れ、そのまま病院に搬送されて、最後に逢えたのはお葬式だった。

 周囲が真っ青な顔をしながら真っ黒な服を着て、泣いてる人もいて、子供ながらに何かが起きたことは分かった。

 何だか怖くて、次郎が箱の中で寝ていたから、そこに一緒に隠れようとして触れた次郎の手の冷たさに驚いて、箱から転げ落ちた。母が周囲に平謝りして、その場から連れ出された。

 母が見たこともないほど泣きながら俺を抱きしめたのを覚えてる。よく理解はできなかったが怖くて泣きながら母に抱きついて、気づいたら家に帰ってベットで寝てた。


***

 次の日、俺は次郎の身体が冷たかったから、温めてやらなきゃと思って、自分の冬用のコートとマフラーと手袋を付けて、うちの猫のミーナが産んだリィアを連れて隣の次郎の家を訪ねた。

 茹だるような暑い日だった。

 チャイムを鳴らして出てきた次郎の母は、昨日と同じで真っ青な顔をして今にも倒れそうだった。

 俺の冬物を着込んだ姿を見て、目を見開いて、どうしたの、と駆けつけて、額を触られ、痛いところはないか確認され、泣いて抱きしめられた。

 何でか泣かせちゃったし、ちょっと我慢したけど抱きしめられるとどうしようもなく暑かった。

 だから、次郎の母も昨日の次郎ほどではないけれど、冷たい手をしててびっくりしたし、次郎の為に連れてきたけどリィアを貸してあげようと思った。

 はい、とリィアを手渡すと、次郎の母はびっくりしながらもリィアを抱えて、家に招いてくれた。

 シャリシャリと氷を削る音が聞こえる。この音が聞こえてくると、かきごおり~と言いながら次郎が走ってくるのに今日は来ない。

 昨日、次郎の身体も氷と同じぐらいひんやりしてたから、知らないうちにかき氷をいっぱい食べてお腹を壊しちゃったのかもしれないし、そっとしておいてあげようと思った。

 でも、一応、トイレは見に行ったけどいなかった。次郎の部屋にも行きたかったけど、前に次郎の部屋で飾られてた飛行機の模型で遊んで壊しちゃってから次郎に、入っちゃダメ!って怒られたし入れない。

 次郎の母に呼ばれて、かき氷を貰ってからここに来た理由を思い出して、次郎に貸してあげる、と冬物一式とリィアを渡すと、どうして貸してくれるの、と聞かれた。

 次郎の身体ね冷たかったから温めてあげなきゃって思ったの、と言ったら次郎の母がさっきよりも泣いて、干からびるんじゃないかってぐらい泣いた。

 母も次郎の母も昨日から俺の泣き虫がうつったんじゃないかってぐらい泣いて、泣いて、なんで泣いてるのかもよく分からなかったから、かき氷が溶けて水に戻っていく姿をぼんやり見てた。

 後から、先生とか友達の母達に、母も次郎の母も泣いてたというと、みんな泣きそうな顔になったので、話すのをやめた。

 なんで泣いたのか理解ができたのは数年後だったし、それは次郎が亡くなったことを理解できたのと同じタイミングだった。
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