32 / 42
4章 星灯の都市にて
32
しおりを挟む
船に乗ってから半月後。やっと星灯の都市が見えてきた。
船は今まで乗ったことがなかった乗り物だったので、やっと降りれると思うと少しホッとした気分であった。
星灯の都市を一周するように走る大きな蒸気機関車。所々の停留所から星灯の都市の中央に向かう蒸気機関車も走っているらしい。
星灯の都市の由来はまたもや一千年前の人がつけた。星の灯りが他とは比べ物にならない程綺麗だったのでそう名付けられたらしい。
その頃には蒸気機関車が無かったのだろうか。あったら蒸気機関車の都市と呼ばれていた可能性が高い気がする。
今はまだ太陽が天辺にいるので、国の由来である星が全く見えないが夜に空を見るのが楽しみであった。
船が星灯の都市の港に近づいていくと、蒸気機関車から出るモクモクとした白い煙が見えてきた。
まだ遠目にしか見えないが、黒くて長い乗り物である蒸気機関車。どうやって走っているのか検討もつかなかった。
港町で少し休憩するつもりだが、蒸気機関車に乗るのがとても楽しみである。
***
船乗りの兄さんと猫達に別れを告げて、港へと降り立った。
地面に足がついているはずなのに、まだ揺れているような感覚があった。少し歩き出すまで時間がかかりそうである。
船乗りの兄さんはこのまま星灯の都市の中央へと向かうらしい。
さっきまで働いていたのに元気だなあと思ったが、待ちに待った休暇だと輝くような笑顔で去っていった。
船乗りの兄さんには奥さんがいて、星灯の都市の中央でバリバリ働くキャリアウーマンらしく、そういったカッコいい所にも惚れたと船に乗っている間は惚気られた。船乗りの兄さんの話は後半殆ど奥さんのことばかりであった。
その奥さんの元へと急いでいるのだろう。
好きな人と一緒に居られる幸運に羨ましさを感じたが、俺の場合は次郎が生まれ変わって会いに来てくれたという奇跡があったので、そもそも比べるものでもなかった。
けれど、それでもやっぱり羨ましい。
次郎がもう一度生まれ変わってくれて側に居られたらと考えたこともあったが、その度に夢で見た次郎が深く寝ている様子を思い出して諦めるを繰り返した。
奇跡を起こす代償が次郎の早すぎる死に繋がったかもしれないと思い至ったので、今度は長生き出来るように健康な身体で、俺と一緒に生まれ変わってくれたら嬉しいなと思っている。
来世に期待しているが、今世も大切に生きると決めていた。次郎が生きた世界であって素敵な出会いが今までにも沢山あった。
次郎が側に居ないことで心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになることもやっぱりあるが、それでも尚、この世界を愛おしいと思えるのは次郎が残してくれた冊子のお陰だろう。
今回の旅にも持ってきた次郎がくれた冊子。背負っていたリュックを前に持ってきてそっと撫でた。
次郎にも蒸気機関車やこの景色を見てほしくて、俺が見たものが次郎の夢で現れてくれたらいいのにと密かに願っていた。
船は今まで乗ったことがなかった乗り物だったので、やっと降りれると思うと少しホッとした気分であった。
星灯の都市を一周するように走る大きな蒸気機関車。所々の停留所から星灯の都市の中央に向かう蒸気機関車も走っているらしい。
星灯の都市の由来はまたもや一千年前の人がつけた。星の灯りが他とは比べ物にならない程綺麗だったのでそう名付けられたらしい。
その頃には蒸気機関車が無かったのだろうか。あったら蒸気機関車の都市と呼ばれていた可能性が高い気がする。
今はまだ太陽が天辺にいるので、国の由来である星が全く見えないが夜に空を見るのが楽しみであった。
船が星灯の都市の港に近づいていくと、蒸気機関車から出るモクモクとした白い煙が見えてきた。
まだ遠目にしか見えないが、黒くて長い乗り物である蒸気機関車。どうやって走っているのか検討もつかなかった。
港町で少し休憩するつもりだが、蒸気機関車に乗るのがとても楽しみである。
***
船乗りの兄さんと猫達に別れを告げて、港へと降り立った。
地面に足がついているはずなのに、まだ揺れているような感覚があった。少し歩き出すまで時間がかかりそうである。
船乗りの兄さんはこのまま星灯の都市の中央へと向かうらしい。
さっきまで働いていたのに元気だなあと思ったが、待ちに待った休暇だと輝くような笑顔で去っていった。
船乗りの兄さんには奥さんがいて、星灯の都市の中央でバリバリ働くキャリアウーマンらしく、そういったカッコいい所にも惚れたと船に乗っている間は惚気られた。船乗りの兄さんの話は後半殆ど奥さんのことばかりであった。
その奥さんの元へと急いでいるのだろう。
好きな人と一緒に居られる幸運に羨ましさを感じたが、俺の場合は次郎が生まれ変わって会いに来てくれたという奇跡があったので、そもそも比べるものでもなかった。
けれど、それでもやっぱり羨ましい。
次郎がもう一度生まれ変わってくれて側に居られたらと考えたこともあったが、その度に夢で見た次郎が深く寝ている様子を思い出して諦めるを繰り返した。
奇跡を起こす代償が次郎の早すぎる死に繋がったかもしれないと思い至ったので、今度は長生き出来るように健康な身体で、俺と一緒に生まれ変わってくれたら嬉しいなと思っている。
来世に期待しているが、今世も大切に生きると決めていた。次郎が生きた世界であって素敵な出会いが今までにも沢山あった。
次郎が側に居ないことで心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになることもやっぱりあるが、それでも尚、この世界を愛おしいと思えるのは次郎が残してくれた冊子のお陰だろう。
今回の旅にも持ってきた次郎がくれた冊子。背負っていたリュックを前に持ってきてそっと撫でた。
次郎にも蒸気機関車やこの景色を見てほしくて、俺が見たものが次郎の夢で現れてくれたらいいのにと密かに願っていた。
0
あなたにおすすめの小説
届かない手を握って
伊原 織
BL
「好きな人には、好きな人がいる」
高校生の凪(なぎ)は、幼馴染の湊人(みなと)に片想いをしている。しかし湊人には可愛くてお似合いな彼女がいる。
この気持ちを隠さなければいけないと思う凪は湊人と距離を置こうとするが、友達も彼女も大事にしたい湊人からなかなか離れることができないでいた。
そんなある日、凪は、女好きで有名な律希(りつき)に湊人への気持ち知られてしまう。黙っていてもらう代わりに律希から提案されたのは、律希と付き合うことだった───
【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。
ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。
幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。
逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。
見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。
何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。
しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。
お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。
主人公楓目線の、片思いBL。
プラトニックラブ。
いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。
2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。
最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。
(この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。)
番外編は、2人の高校時代のお話。
もしも願いが叶うなら、あの頃にかえりたい
マカリ
BL
幼馴染だった親友が、突然『サヨナラ』も言わずに、引っ越してしまった高校三年の夏。
しばらく、落ち込んでいたが、大学受験の忙しさが気を紛らわせ、いつの間にか『過去』の事になっていた。
社会人になり、そんなことがあったのも忘れていた、ある日の事。
新しい取引先の担当者が、偶然にもその幼馴染で……
あの夏の日々が蘇る。
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
双葉の恋 -crossroads of fate-
真田晃
BL
バイト先である、小さな喫茶店。
いつもの席でいつもの珈琲を注文する営業マンの彼に、僕は淡い想いを寄せていた。
しかし、恋人に酷い捨てられ方をされた過去があり、その傷が未だ癒えずにいる。
営業マンの彼、誠のと距離が縮まる中、僕を捨てた元彼、悠と突然の再会。
僕を捨てた筈なのに。変わらぬ態度と初めて見る殆さに、無下に突き放す事が出来ずにいた。
誠との関係が進展していく中、悠と過ごす内に次第に明らかになっていくあの日の『真実』。
それは余りに残酷な運命で、僕の想像を遥かに越えるものだった──
※これは、フィクションです。
想像で描かれたものであり、現実とは異なります。
**
旧概要
バイト先の喫茶店にいつも来る
スーツ姿の気になる彼。
僕をこの道に引き込んでおきながら
結婚してしまった元彼。
その間で悪戯に揺れ動く、僕の運命のお話。
僕たちの行く末は、なんと、お題次第!?
(お題次第で話が進みますので、詳細に書けなかったり、飛んだり、やきもきする所があるかと思います…ご了承を)
*ブログにて、キャライメージ画を載せております。(メーカーで作成)
もしご興味がありましたら、見てやって下さい。
あるアプリでお題小説チャレンジをしています
毎日チームリーダーが3つのお題を出し、それを全て使ってSSを作ります
その中で生まれたお話
何だか勿体ないので上げる事にしました
見切り発車で始まった為、どうなるか作者もわかりません…
毎日更新出来るように頑張ります!
注:タイトルにあるのがお題です
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる