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最終章 終わりと始まり
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猫の手猫の手な夏休みがすぎて、雑用係も卒業した。夏休み明けからはちゃんとした先生がくる予定なので。
めちゃくちゃ助かった!と元同級生からお礼を言われたし、最後に先生達も交えてご飯も食べに行った。
生徒ではなくなったのに、先生達が勢揃いしてるせいかなんか緊張する。夏休みの間に慣れた気がしてたけど、部活動で席を外してたり他の部屋で作業してる先生もいたからかなあ。
学生の頃の思い出話もここぞと話されて、なんだか気恥ずかしかった。元同級生のお酒のペースが加速した。あいつ、よく倒れないな。
水の都に帰る前に、次郎の通信相手に会いに行った。ちょっとは良い顔になったな、とまた野菜のミックスジュースを出してくれた。
星灯の都市のお土産のお礼から汽車はどうだったとすぐに興味津々に聞かれたので、次郎の通信相手も次郎と好みが似てるところがあるのかもしれないとふと思った。そもそもゲームの好みも一緒だったもんなあ。
俺が蒸気機関車の絵を描いてみせると、何だこれやばい、と真顔で言われたので、キーホルダーの方をそっと見せた。
へぇ~、とササッと絵を描いてみせる通信相手。普通に上手くてびっくりした。
多才だね、と褒めると、このぐらいは皆描けるぞ、と揶揄い口調で言われた。他所は他所、うちはうちである。
水の都へ帰ってから、小さい頃に通ってた学校を見に行った。ペンキが塗り直されていて、前よりも綺麗な校舎になっていたが、古い校舎なのでそろそろ建て直す計画があるらしい。
校舎の壁の色を白から水色にするとか話題になっているけれど、本当だろうか。
子供達がその賭けで飴玉を賭けていた。溶けないか心配である。
今年はかき氷屋した??と行く先々で子供達に聞かれた。してない、というと、腕が鈍っちゃうよ!と物知り顔で言ってくる子も。最近の子供ってすごい。
-------------と、次郎が亡くなってからこれまでのことを新しく手に入れた冊子に書いたのだが、自分の文章能力の低さにため息が出た。
次郎に見せたら、「ちょっと読みづらいね」と苦笑いをもらいそうだった。
〈水の城の次郎と砂の大陸の次郎の目の色。水色と緑色を混ぜてお互いを消さないように、尊重できるような色〉
そんな表紙を探しているうちに何年も経ってしまったが、やっと見つけたこの冊子を見るとつい笑顔になってしまう。
灯台下暗しとはこのことで、何気なく覗いた水の都の雑貨店で見つけたものだった。
次郎は俺のことを考えて冊子を残してくれたのに、俺が書いた冊子はこれじゃあまるでラブレターみたいだった。というか、みたい、じゃなくてラブレターそのものだ。
はぁ、と息を吐き、目をギュッと閉じてから開き、ゆっくりと椅子から立ち上がった。俺が書いた冊子を右手に握りしめて。
ずっと、避け続けた場所があった。
ずっと、受け入れられない場所があった。
小さい頃、周囲にマイちゃんと呼ばれるぐらい次郎を探していたのに、ついぞ訪れられなかった場所。
部屋から出て、階段下にいた母に声をかけた。
「母さん、次郎のお墓参りに行ってくるね」
母は目を見張ってから口元を手で覆い、何度も頷いた。俺が一度も次郎のお墓参りが出来ていないことを母が気づいていたことに対して申し訳なくて目を伏せた後、家を後にした。
次郎、次郎、次郎。俺、本当に伝えたいことが沢山あるんだ。
まだ、続きも書くよ。まだ、次郎が書いてくれた冊子の場所を全然回れていないから。
それでも次郎。次郎に会いたくて仕方ない。
次郎のお墓を前にして止めどなく涙が溢れた。
「...次郎、待たせちゃってごめんね」
次郎が次郎の父と隠れんぼをしていたように、俺も次郎と隠れんぼをしていた。
俺は途中で見つけたのにまた隠れちゃうんだから、見つけるのにとても時間がかかった。
次郎は「見つかっちゃった」とこちらを見てから、「隠れんぼ下手だったね」と楽しそうに笑うのだろうか。
そんな風に次郎の笑顔が思い浮かんで、泣きながら笑った。
「次郎、これからも旅は続けるからね」
__________________________________________________
次郎が亡くなったことから始まったこの作品もこれで完結です。
読者の皆様、読んで下さって本当にありがとうございました。
この作品は去年の10月から始まり今年の5月に書き終えることが出来ました。
アルファポリス様での初投稿の作品なので、本当にドキドキしながら投稿したのをつい昨日のように覚えています。あまりにも緊張して眠れずオールしたのも今では良い思い出です笑
自分でも想像していなかった展開になることが多々あり、書くのはとても楽しい時間でした。
近況ボードにも以前同じようなことを投稿しましたが、何度伝えても伝えきれないのでまた伝えさせてください。
ここまで書くことが出来たのは、お付き合いくださった皆様のお陰です。
読んでくださる方々がいることにとても感謝し、いいねやお気に入り、しおりなどまでしてくださった方々までいらっしゃったことに感動し、執筆活動への勇気と意欲を貰いました。
また、去年はbl大賞にも参加でき、とても光栄でした!応援してくださった皆様ありがとうございました。
改めて、全ての皆様に感謝を申し上げます。
これからも様々なジャンルを書く予定なので、お暇な時があれば是非読んでくださると嬉しいです。
*後書きが長文となり失礼しました。最後までお読みくださりありがとうございました*
めちゃくちゃ助かった!と元同級生からお礼を言われたし、最後に先生達も交えてご飯も食べに行った。
生徒ではなくなったのに、先生達が勢揃いしてるせいかなんか緊張する。夏休みの間に慣れた気がしてたけど、部活動で席を外してたり他の部屋で作業してる先生もいたからかなあ。
学生の頃の思い出話もここぞと話されて、なんだか気恥ずかしかった。元同級生のお酒のペースが加速した。あいつ、よく倒れないな。
水の都に帰る前に、次郎の通信相手に会いに行った。ちょっとは良い顔になったな、とまた野菜のミックスジュースを出してくれた。
星灯の都市のお土産のお礼から汽車はどうだったとすぐに興味津々に聞かれたので、次郎の通信相手も次郎と好みが似てるところがあるのかもしれないとふと思った。そもそもゲームの好みも一緒だったもんなあ。
俺が蒸気機関車の絵を描いてみせると、何だこれやばい、と真顔で言われたので、キーホルダーの方をそっと見せた。
へぇ~、とササッと絵を描いてみせる通信相手。普通に上手くてびっくりした。
多才だね、と褒めると、このぐらいは皆描けるぞ、と揶揄い口調で言われた。他所は他所、うちはうちである。
水の都へ帰ってから、小さい頃に通ってた学校を見に行った。ペンキが塗り直されていて、前よりも綺麗な校舎になっていたが、古い校舎なのでそろそろ建て直す計画があるらしい。
校舎の壁の色を白から水色にするとか話題になっているけれど、本当だろうか。
子供達がその賭けで飴玉を賭けていた。溶けないか心配である。
今年はかき氷屋した??と行く先々で子供達に聞かれた。してない、というと、腕が鈍っちゃうよ!と物知り顔で言ってくる子も。最近の子供ってすごい。
-------------と、次郎が亡くなってからこれまでのことを新しく手に入れた冊子に書いたのだが、自分の文章能力の低さにため息が出た。
次郎に見せたら、「ちょっと読みづらいね」と苦笑いをもらいそうだった。
〈水の城の次郎と砂の大陸の次郎の目の色。水色と緑色を混ぜてお互いを消さないように、尊重できるような色〉
そんな表紙を探しているうちに何年も経ってしまったが、やっと見つけたこの冊子を見るとつい笑顔になってしまう。
灯台下暗しとはこのことで、何気なく覗いた水の都の雑貨店で見つけたものだった。
次郎は俺のことを考えて冊子を残してくれたのに、俺が書いた冊子はこれじゃあまるでラブレターみたいだった。というか、みたい、じゃなくてラブレターそのものだ。
はぁ、と息を吐き、目をギュッと閉じてから開き、ゆっくりと椅子から立ち上がった。俺が書いた冊子を右手に握りしめて。
ずっと、避け続けた場所があった。
ずっと、受け入れられない場所があった。
小さい頃、周囲にマイちゃんと呼ばれるぐらい次郎を探していたのに、ついぞ訪れられなかった場所。
部屋から出て、階段下にいた母に声をかけた。
「母さん、次郎のお墓参りに行ってくるね」
母は目を見張ってから口元を手で覆い、何度も頷いた。俺が一度も次郎のお墓参りが出来ていないことを母が気づいていたことに対して申し訳なくて目を伏せた後、家を後にした。
次郎、次郎、次郎。俺、本当に伝えたいことが沢山あるんだ。
まだ、続きも書くよ。まだ、次郎が書いてくれた冊子の場所を全然回れていないから。
それでも次郎。次郎に会いたくて仕方ない。
次郎のお墓を前にして止めどなく涙が溢れた。
「...次郎、待たせちゃってごめんね」
次郎が次郎の父と隠れんぼをしていたように、俺も次郎と隠れんぼをしていた。
俺は途中で見つけたのにまた隠れちゃうんだから、見つけるのにとても時間がかかった。
次郎は「見つかっちゃった」とこちらを見てから、「隠れんぼ下手だったね」と楽しそうに笑うのだろうか。
そんな風に次郎の笑顔が思い浮かんで、泣きながら笑った。
「次郎、これからも旅は続けるからね」
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次郎が亡くなったことから始まったこの作品もこれで完結です。
読者の皆様、読んで下さって本当にありがとうございました。
この作品は去年の10月から始まり今年の5月に書き終えることが出来ました。
アルファポリス様での初投稿の作品なので、本当にドキドキしながら投稿したのをつい昨日のように覚えています。あまりにも緊張して眠れずオールしたのも今では良い思い出です笑
自分でも想像していなかった展開になることが多々あり、書くのはとても楽しい時間でした。
近況ボードにも以前同じようなことを投稿しましたが、何度伝えても伝えきれないのでまた伝えさせてください。
ここまで書くことが出来たのは、お付き合いくださった皆様のお陰です。
読んでくださる方々がいることにとても感謝し、いいねやお気に入り、しおりなどまでしてくださった方々までいらっしゃったことに感動し、執筆活動への勇気と意欲を貰いました。
また、去年はbl大賞にも参加でき、とても光栄でした!応援してくださった皆様ありがとうございました。
改めて、全ての皆様に感謝を申し上げます。
これからも様々なジャンルを書く予定なので、お暇な時があれば是非読んでくださると嬉しいです。
*後書きが長文となり失礼しました。最後までお読みくださりありがとうございました*
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