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2024
拝啓、ミラーネ様 ⑴
しおりを挟む⚠︎毒親が出てきます。
⚠︎死の描写あり。
大丈夫な方はスクロールしてお読み下さい。
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何も知らずに幸せそうに笑う、あの子が嫌いだったの。
妬ましいとか疎ましいとか、そういった感情からではない。
1番の理由はあの子を心底悍ましいとそんな感情を抱いてしまっているのに、ふとした時、あの子に目が惹かれてしまう自分がいることが嫌で仕方なかったから、あの子が嫌いだった。
そんなあの子が"聖女"に選ばれたときではない。
あの子がこの世界の特別なんだと知ったときでもない。
私にとって、あの子は生涯愛せない存在なのだと、そう確信することが出来たときに、
私は、やっと自分自身を許すことができたの。
***
"エリナ・カティーシル"
私、イリィナ・カティーシルの妹の名だ。
あの子は産まれた時から特別であった。
私の両親である、母のサリィナ・カティーシルと父のロイド・カティーシルは政略結婚でお互いに無関心であった。
当然、夫婦の子である私に対しても、無関心であった。
母にも父にも愛人がおり、それぞれに愛しい家庭を持ち、愛すべき家族がいた。
それが、私の世界だった。
エリナはカティーシル家の継ぐ子である私の予備として、計画的して産まれた子であった。
この時点では、私以上にあの子が産まれることを望んでいた存在はいなかったと思う。
私は、最初からあの子を悍ましいと思っていたわけではなかった。
むしろ、私にも理解者であり共感者である家族が出来るのだと、あの子が産まれることを今か今かと楽しみにしていた。
外に出る時、手を繋いで歩く母と子が羨ましかった。
私は姉だけれど、あの子と手を繋いで歩こう。
道で子が転んで泣いてしまった時、父が泣き止ませるように頭を撫でて抱きしめる姿が羨ましかった。
私は姉だけれど、あの子が泣いた時は頭を撫でて抱きしめることができる。
あの子が産まれる前は、私が出来ることを全てしてあげたいと、そう思っていた。
けれど、それらの感情は全て、あの子が産まれ祝福された存在としてこの世に誕生したときに、消え失せた。
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