8 / 11
キラちゃんの話 #
しおりを挟む
会社帰りに、街頭の下でぼんやりと突っ立ってた美形を拾ってきた。
これだけ聞くと誘拐のように聞こえるが、相手は同い年ぐらいの男である。
どうやってその色に染めたんだっていうぐらい綺麗な銀髪をした整った顔をしたやつ。
涙をボロボロと流して虚空を見つめてたヤバそうな奴だったが、まあ綺麗なものに目がない俺はオンボロアパートに連れてきた。
なんだかほっとけなかったのもあるし、そろそろ雨が降る予報だったのもある。
何も言わずに手を引っ張って連れてきたが、その男はされるがままだった。
アパートに着いてから、一つしかない布団に入れてやっても、そいつはずっと涙を流し続けていた。
泣く子をあやすなんてことを人生でしたことがないので、一緒に布団に入って適当に抱きしめて背中を叩いてやった。キラちゃん外に長時間居たのかめっちゃ冷たいけど、まあ夏だから丁度いい。気づいたら俺が先に寝てた。
***
起き上がるとそいつは居なくなっていた。
何の痕跡もないので、もしかして俺のみた夢だったのかもしれない。
それはそれでいいかと思いながら会社に行き、あっという間に1週間が経った頃。
また同じ場所でそいつが居た。
今度は泣いてないけれど、やっぱり虚空を見つめててヤバいやつにしか見えない。
ヤバそうだなあと思うのに、とりあえず連れて帰ってしまった俺もヤバい。
「...おまえ、名前は?」
反応がない。屍の方が愛想が良いんじゃないだろうか。屍の愛想ってなんだとか変なことまで考えたがどうにもならないので、キラちゃんと呼ぶことにした。
髪の毛が街頭の下でキラキラしてたので。
「なあキラちゃん、オヤスミ」
話しかけるのが面倒くさくなったので、また抱きしめて寝た。朝にはやっぱり居なくなっていた。
***
それから1週間後。
また街頭の下にキラちゃんがいて、今度は自発的に着いてきた。やっぱり目線は虚空だけど。
「キラちゃん、お家どこ?」
やっぱり反応がない。キラちゃんやべえなと思ったが、どうしようもないので家に入れた。
今日はコンビニ弁当があったので、半分やるともぐもぐと食べ出した。
「キラちゃんおいし?」
反応がないのがデフォルトになってきたので、なくてもまあ気にならなくなってきた。
キラちゃん綺麗な面してるし、声も良さそうなのに残念だなあとは思うけど、まあ仕方ない。
布団に連れてってまた1日が終わった。
***
次の日の会社帰り。キラちゃんに似てるけど、キラちゃんじゃない人が街頭の下で立っていた。
「あれ、お兄さんいつも立ってる人と似てるね?」
口から勝手に出てた言葉に、不審者じゃんと自分で思ったが出た言葉はかえってこない。
「お兄さんですね。兄がお世話になったようで」
虚空じゃなく焦点のあった目をしてるキラちゃんの弟らしき人曰く、お兄さんは1ヶ月前に亡くなったらしい。
帰り方も分からないし、お腹が空いていて困ってるところを助けられたからお礼言っといてと夢に出てきたというなんともよく分からない話をしてきた。さすが兄弟。ヤバいやつだ。
老舗のお饅頭が入った袋を渡された。お礼らしい。
コンビニ弁当の半分しか渡してないし、それがこの世での最後の味だなんて何だかキラちゃんに申し訳なくなってきた。
キラちゃん異様に冷たかったもんなあとキラちゃんの弟と別れて、家で饅頭を食べながら思った。お饅頭、めっちゃ美味しい。
キラちゃんも食べたいかもと枕元に何個か置いといて寝たら、朝になったら無くなってた。
「キラちゃんもしかしてここに住んでる?」
やっぱり反応がない。しょうがないから、たまにコンビニ弁当の半分をお供えすることにした。
これだけ聞くと誘拐のように聞こえるが、相手は同い年ぐらいの男である。
どうやってその色に染めたんだっていうぐらい綺麗な銀髪をした整った顔をしたやつ。
涙をボロボロと流して虚空を見つめてたヤバそうな奴だったが、まあ綺麗なものに目がない俺はオンボロアパートに連れてきた。
なんだかほっとけなかったのもあるし、そろそろ雨が降る予報だったのもある。
何も言わずに手を引っ張って連れてきたが、その男はされるがままだった。
アパートに着いてから、一つしかない布団に入れてやっても、そいつはずっと涙を流し続けていた。
泣く子をあやすなんてことを人生でしたことがないので、一緒に布団に入って適当に抱きしめて背中を叩いてやった。キラちゃん外に長時間居たのかめっちゃ冷たいけど、まあ夏だから丁度いい。気づいたら俺が先に寝てた。
***
起き上がるとそいつは居なくなっていた。
何の痕跡もないので、もしかして俺のみた夢だったのかもしれない。
それはそれでいいかと思いながら会社に行き、あっという間に1週間が経った頃。
また同じ場所でそいつが居た。
今度は泣いてないけれど、やっぱり虚空を見つめててヤバいやつにしか見えない。
ヤバそうだなあと思うのに、とりあえず連れて帰ってしまった俺もヤバい。
「...おまえ、名前は?」
反応がない。屍の方が愛想が良いんじゃないだろうか。屍の愛想ってなんだとか変なことまで考えたがどうにもならないので、キラちゃんと呼ぶことにした。
髪の毛が街頭の下でキラキラしてたので。
「なあキラちゃん、オヤスミ」
話しかけるのが面倒くさくなったので、また抱きしめて寝た。朝にはやっぱり居なくなっていた。
***
それから1週間後。
また街頭の下にキラちゃんがいて、今度は自発的に着いてきた。やっぱり目線は虚空だけど。
「キラちゃん、お家どこ?」
やっぱり反応がない。キラちゃんやべえなと思ったが、どうしようもないので家に入れた。
今日はコンビニ弁当があったので、半分やるともぐもぐと食べ出した。
「キラちゃんおいし?」
反応がないのがデフォルトになってきたので、なくてもまあ気にならなくなってきた。
キラちゃん綺麗な面してるし、声も良さそうなのに残念だなあとは思うけど、まあ仕方ない。
布団に連れてってまた1日が終わった。
***
次の日の会社帰り。キラちゃんに似てるけど、キラちゃんじゃない人が街頭の下で立っていた。
「あれ、お兄さんいつも立ってる人と似てるね?」
口から勝手に出てた言葉に、不審者じゃんと自分で思ったが出た言葉はかえってこない。
「お兄さんですね。兄がお世話になったようで」
虚空じゃなく焦点のあった目をしてるキラちゃんの弟らしき人曰く、お兄さんは1ヶ月前に亡くなったらしい。
帰り方も分からないし、お腹が空いていて困ってるところを助けられたからお礼言っといてと夢に出てきたというなんともよく分からない話をしてきた。さすが兄弟。ヤバいやつだ。
老舗のお饅頭が入った袋を渡された。お礼らしい。
コンビニ弁当の半分しか渡してないし、それがこの世での最後の味だなんて何だかキラちゃんに申し訳なくなってきた。
キラちゃん異様に冷たかったもんなあとキラちゃんの弟と別れて、家で饅頭を食べながら思った。お饅頭、めっちゃ美味しい。
キラちゃんも食べたいかもと枕元に何個か置いといて寝たら、朝になったら無くなってた。
「キラちゃんもしかしてここに住んでる?」
やっぱり反応がない。しょうがないから、たまにコンビニ弁当の半分をお供えすることにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる