「おめでとう」

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 それまでも何だか違和感があった。

 彼と友人が仲良くしている姿を見ると、モヤモヤすることがあった。
 彼と友人は幼馴染兼親友でお互い信頼しあってたから、友人として妬いてるのだと思ってた。
 友人としての感情としては重たい気がして、相手に押し付けるわけにもいかなかったから、慎重に距離感を保ちながら仲良くしていたように思う。

 決定的なきっかけを与えたのは、彼に彼女ができた時だ。

 「実はさ、好きな人いてさこの前に告白した」と彼に照れながら言われて、何で‼︎と叫びそうになって、愕然した。

 心の内から湧いてきた、自分の方が好きなのに、という感情に驚いた。これは本当に友情なのかと恐れ慄いた。
 どうしよう、と思った。言えるわけがない、と泣きたくなった。彼が好きなのは異性であって同性ではない。自分の性別では、彼の恋愛対象にすら上がれないことに嫌気がさした。

 頭は大混乱だったのに、沢山被っていた猫が勝手に仕事をした。
 気づいたら「おめでとう」と笑顔で祝福していた。

 心の中がこんなにも荒れ狂っているのに、祝福できたことにホッとした。友人でなら、側に入れるかもしれないと思ってしまったから。

 告白は論外だった。


***

 彼はやたらとスキンシップが多いタイプだった。

 人に抱きついたり手を繋いだり、好きだと正面切って好意を伝えられる人間で、それは恋人だけでなく友人にも及び、その度に俺はドキドキしっぱなしだった。

「好き~~」といいながら抱きつかれたらチャンスがあるんじゃないかと錯覚しそうになり、自分を戒める日々だった。

 その後、彼が彼女と別れたということを聞いた。心の内で強い怒りが湧いた。
 こんなにも魅力的な彼と付き合えて別れるとか意味が分からん巫山戯るなぐらいは思ってた。
 幸運を手放すなんて相手は馬鹿だと思いながら、彼に対しては「大丈夫?」と慰めてた。

 今日も化け猫は仕事をしてる。
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