「おめでとう」

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 化け猫が仕事をしすぎて、彼からやたらと天使扱いを受ける。
 無意識に彼に良く見られたくて周囲にもそんな風に振る舞っていたようで、周りからは性的な話が一切されない。されそうになっても誰かが止める。辛い。
 普通にのろうとした言葉を口の中で飲み込んだ。どうなってんだチクショー。

 そりゃ、好きな子聞かれたらめちゃくちゃ困るし口籠るしかないし、好きなタイプも同様であった。辛い。自分の恋愛話は出来そうにない。巡り巡ってバレたら困るからだ。

 中学生の間での秘密は秘密じゃない。特に恋愛話は。悪意があっても悪意がなくても秒で広まるのだ。地獄であった。

 ただの中学生が天使扱いされても困るどころの話でなく、やたらと神聖視されているのはなんなのか。化け猫が頑張りすぎた。


***

 高校に入ってからも天使扱いは続いていた。

 嘘だろと両手で目を覆って現実から目を逸らしても変わらない。
 それも彼が率先してそう扱うので、俺に否は言えないし、今更本性を見せて嫌われたくもない。というより、好かれたいのでそう振る舞ってしまうところがある。惚れた弱みだった。

 下ネタとか余裕で話せるのに、何も知りませんという顔をして少し困った表情をするのにも慣れた。


***

 この頃、"推し"という概念を知って、俺の彼への好きはこれではないかと一時思っていたことがある。
 彼をやたらと好きで神聖視しているところとか、彼が恋人と別れた時喜ぶより怒りが強かったから、俺は彼が推しなのだと思った。

 推しだと思うと、気持ちが楽になった。なるほど推し。推しならしょうがない。重たい感情にも説明がつく、と自分を納得させてた。

 だが、遅かった精通を夢精で迎えて、その考えが違っていたことに強制的に気付かされ、枕を殴りつけた。最悪の目覚めだった。
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