愛せなくても、

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 子どもが産まれた。小さくてふにゃふにゃな赤ちゃん。

 私が愛すべき赤ちゃん。頬を撫で、抱き上げて、産まれてきてくれたことを神に感謝し、祝福すべき赤ちゃん。

 ベットの上で横たわりながら、産婆が抱き上げている赤ちゃんに手を伸ばそうとしたけれど、手が少し持ち上がっただけでダラリと力が抜けた。

(赤ちゃん、私の赤ちゃん)

 可愛いという思いが湧かなくても、愛情が湧かなくても、愛すべき赤ちゃん。

(...私は、あなたを愛せない)

 あなたの顔さえ、ぼんやりとしか認識できない、この現実では。

 酷く酷く疲れていた。結婚相手の喜ぶ声も煩わしく、赤ちゃんの泣き声は遠くに聞こえ、産婆の声だけがよく聞こえた。

「元気な男の子の赤ちゃんですよ!」

 私はひとまず与えられた役割をこなしたことは理解できたが、心が何も感じられなかった。

 赤ちゃんが産まれたら愛せるっていうのは迷信だったらしい。

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