愛せなくても、

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 赤ちゃんの結婚式は盛大に執り行われ無事に終了した半年後に私は体調を一気に崩し、死にかけていた。

 解明ができていない病のようで医者にも手の施しようがなく、病の症状が出始めてから1週間程度の頃であった。

 死に際まで結婚相手のことを見たくなかったので、結婚相手は出入り禁止にしている。
 なので今、側にいるのは赤ちゃんだけであった。

 私の赤ちゃんは、私の側で赤ちゃん返りしたのかと思うほどによく泣いていた。

「っははうえ...母上」

 私の赤ちゃんは、感情が何かしら吹っ切れると私を呼ぶことしか出来ないらしい。

 赤ちゃんが初めて私の手を握った。手の感覚が鈍いけれど、確かに赤ちゃんの手の感触があった。

「母上が、私のことを愛せなくても、私を愛そうとしてくれていたことを、知っています」

「そんな母上を、私は、愛しています」

「とても感謝しています、母上。産んでくれて、ありがとう」

 薄れゆく意識の中でも、赤ちゃんの声ははっきりと聞こえるのだから不思議なものであった。

「だいじょうぶですよ、おかあさま」

 幼い頃のように、優しく私に言い聞かせるように伝える赤ちゃん。

「...私の、赤ちゃん」

 結婚式でさえ祝福が上手く出来なかった私だが、今なら出来る気がした。

「私の...赤ちゃん」

 あなたの名を、私が呼んでもいいのだろうか。
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