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番外編 《赤ちゃん視点》
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母は、私を愛せなくても、ずっと愛そうとしてくれた人であった。
手を繋ぎたくて伸ばした手が繋げられることがなくても、抱きしめられることがなくても、母が私を愛そうとしてくれた証はたくさんあった。
私のために母が選んだ乳母や使用人。
乳母は母が私を産む前にお包みや、絵本、玩具を手ずから用意していたことを何度も話して聞かせてくれていたから、母から愛情が返ってこなくて寂しくなった夜はそれを抱えて寝た。
産まれてからも母は私のために色々なものを用意してくれたが、産まれる前から母が悩んで準備してくれたものは私にとって特別だった。
産まれる前は性別が分からなかったから、女の子用の可愛いフリフリがついたピンクのお包みや王子様がお姫様を助けにいく絵本、ドレスを着たお人形などまであった。
それらの女の子用のものは私が男であったので必要なかったが、男の子用のものと加えて乳母が母とのそれら一つ一つのエピソードを寝物語に話してくれたので私にとっては夜空に輝く星のようなものであった。
その後、乳母が居なくなって寂しくなった時は、使用人が側で寝かしつけてくれ、時々、内緒だと言いながら一緒に寝てくれた。
庭を散歩中に使用人から提案されて、庭にあった1番綺麗な花を摘んで母に渡した時は受け取ってくれるか緊張したが、受け取ってくれた。
それだけで、私がどれだけ救われたのか、
母はきっと知らない。
小さい頃の私と会う時の母はどこか苦しそうな表情をしていることが多かったから、いつも同じ言葉を母に想いを込めて伝えた。
「だいじょうぶですよ、おかあさま」
母の気持ちは、私にちゃんと伝わっている。
手を繋ぎたくて伸ばした手が繋げられることがなくても、抱きしめられることがなくても、母が私を愛そうとしてくれた証はたくさんあった。
私のために母が選んだ乳母や使用人。
乳母は母が私を産む前にお包みや、絵本、玩具を手ずから用意していたことを何度も話して聞かせてくれていたから、母から愛情が返ってこなくて寂しくなった夜はそれを抱えて寝た。
産まれてからも母は私のために色々なものを用意してくれたが、産まれる前から母が悩んで準備してくれたものは私にとって特別だった。
産まれる前は性別が分からなかったから、女の子用の可愛いフリフリがついたピンクのお包みや王子様がお姫様を助けにいく絵本、ドレスを着たお人形などまであった。
それらの女の子用のものは私が男であったので必要なかったが、男の子用のものと加えて乳母が母とのそれら一つ一つのエピソードを寝物語に話してくれたので私にとっては夜空に輝く星のようなものであった。
その後、乳母が居なくなって寂しくなった時は、使用人が側で寝かしつけてくれ、時々、内緒だと言いながら一緒に寝てくれた。
庭を散歩中に使用人から提案されて、庭にあった1番綺麗な花を摘んで母に渡した時は受け取ってくれるか緊張したが、受け取ってくれた。
それだけで、私がどれだけ救われたのか、
母はきっと知らない。
小さい頃の私と会う時の母はどこか苦しそうな表情をしていることが多かったから、いつも同じ言葉を母に想いを込めて伝えた。
「だいじょうぶですよ、おかあさま」
母の気持ちは、私にちゃんと伝わっている。
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