愛せなくても、

文字の大きさ
10 / 10

番外編 《赤ちゃん視点》②

しおりを挟む
 社交界に出る年齢になると、それまで知らなかった母や父のことを親切めいた大人から教えられた。

 父が過去に浮気三昧で、母に婚約者としての最低限のことすらしていなかったこと。

 そういった言葉をつらつらと連ねる大人達は口を揃えていうのだ。

「お母様は本当にお気の毒だった」
「息子であるあなたが支えてあげるべきだ」
「他の方はあなたにご両親の過去を話さないだろうから、あなたの為を思って伝えるのだ」

 声色はこちらを気遣うもので、目には隠しきれない愉悦を浮かべながら。


 母の私への態度についてやっと答えのようなものを知り、安堵のような感情が胸に落ちた。私の母に対する複雑な感情が少し紐退かれたように感じた。

 一方で、私の父に対する感情は複雑になり、父へどう接すればいいのか悩んだ時期があったが、しばらくすると今までと同じような距離感で問題ないことに気づいた。

 父と私の関係は、父が偶に気が向いた時に可愛がりに来るぐらいだったから。

 私のことを愛していないわけではないだろうけれど、大切にされているかというと少し首を傾げるような関係。

 だからだろうか、私は困ったことがあった時などいつも最初に思い浮かべるのは、母の顔であった。



________________________________


最後までお読みくださり、ありがとうございました。

複雑な家庭環境のなかで、複雑な親子関係が織りなす物語でした。

タグにあったように《旦那は空気》でした笑 母と成長していく子どもメイン笑

このタグ付けで伝わるかなと少し心配しつつ....

父の裏設定としては、父は若い頃、婚約者だった母への恋心を拗らせすぎて浮気三昧。母に対してどう接したらいいか分からず、最悪の行動をしてしまったパターン。
結婚を前にしてやっと素直になるが、時すでに遅しで母から見限られており、結婚後もその関係が変わることはありませんでした。
母とどうしても別れたくないので、母の言うことは基本的に断らない父が爆誕しました。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

侯爵様の懺悔

宇野 肇
恋愛
 女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。  そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。  侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。  その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。  おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。  ――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。

【完結】リゼットスティアの王妃様

通木遼平
恋愛
 リゼットスティアという美しく豊かな国があった。その国を治める国王も美しいと評判で、隣国の王女フィロメナは一度でいいから彼に会ってみたいと思い、兄である王子についてリゼットスティアに赴く。  フィロメナはなんとか国王にアピールしようとするが国王にはすでに強引に婚姻に至ったと噂の王妃がいた。国王はフィロメナに王妃との出会いを話して聞かせる。 ※他のサイトにも掲載しています

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載しております。

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

もしもゲーム通りになってたら?

クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら? 全てがゲーム通りに進んだとしたら? 果たしてヒロインは幸せになれるのか ※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。 ※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。 ※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。 ※4/14「パターンその7・おまけ」を更新しました。

真実の愛の祝福

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
皇太子フェルナンドは自らの恋人を苛める婚約者ティアラリーゼに辟易していた。 だが彼と彼女は、女神より『真実の愛の祝福』を賜っていた。 それでも強硬に婚約解消を願った彼は……。 カクヨム、小説家になろうにも掲載。 筆者は体調不良なことも多く、コメントなどを受け取らない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。

処理中です...