初夜に目覚めた悪役令嬢(R15)

朋 美緒(とも みお)

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07:光と闇の精霊

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皇太子妃が行方不明になったと大騒ぎになっていた時、
ガンダリー教会から王室に連絡が入る
聖女が揃い、全精霊が揃ったと、式典を開くと連絡が来た
こんな時にと抗議の書面を出したが、
こういう時だからこそ、精霊に皇太子妃の無事を祈るのも兼ねて式典を行うべきと連絡が来る

王の執務室
王と皇太子宰相と騎士団長、そして軍トップの将軍が揃っていた

「ロゼッタに護衛は付けていなかったとは、どういうことですか?!」
声を荒げるルードヴッヒ王子

「邪魔だから要らないと、言われてしまいまして、考えても見てくださいSランク魔獣を1時間もしなううちに、9体も倒してしまう方ですよ、我々の方が守ってもらう立場になってしまうんです」
騎士団長が言う

「むしろ護衛を守りながらは、戦いづらいとまで言われてしまいまして・・・」
将軍がばつが悪そうに言う
「・・・・・」

「ロゼッタの居場所は、大体見当がついている」
そう王が言うと、教会からの陳情書、警告状を机に広げた

「これは・・・」
「そうだ、簡単に言えば、”聖女はガンダリー教会に居るべきなので、ロゼッタを寄こせ”と書いてある」
王がひらひらと紙を揺らして言う
「あれ?ロゼッタってチェインスター教会の信徒じゃなかったですか?」
王子が言う
「よく覚えていたな、それも言ったが関係ないと突っぱねて来たよ」
「聖女としてさらったのなら、酷いことはされないだろうが、ロゼッタ様が簡単に捕まるというのが信じられない・・・・わざとですか?」
そう騎士団長が言うと
「その通りだ、”何か仕掛けて来たら乗るから、相手の出方を見て最高の舞台をよろしく”と言われている・・・」
「?どういうことですか?」
王子が目を見開いて言った
「ガンダリー教会の教えが、間違っていることを、証明するそうだ」





ロゼッタは女性の声で目が覚める
「こ、皇太子妃だなんて聞いてませんよ」
「式典が終わったら、記憶操作して返す予定だから大丈夫ですよ」
そう答える壮年の男性
「黒魔術で眠って要るので、当分起きません、黒魔術でしか解ませんからね」

うっすらと目を開け、気づかれ無い様に周りを見る
ロゼッタは天蓋付きのベッドに寝かされている
周りに黒魔術の魔法陣が展開されており、精霊達の力を吸い上げているのがわかる
(黒魔術の解呪の魔法タイマー付きかけといて良かった、相変わらずまねけね、精霊使いは黒魔術が使えない、本当にそう思ってるんだ・・・)

壮年の男が部屋を出ていったら、1人、ロゼッタが目を覚ましているのに気がついて、近づいて来たものが居た
(黒魔術掛けた本人は気がつくよね、でも欠損が激しい娘ね)
「ミラージュ様、大丈夫ですか?」
聖女の一人が声をかけた
頭からローブを被って姿がよく見えないミラージュと呼ばれたその娘は、杖を付きながら、つまづきそうになりながら、ロゼッタの寝ているベッドの傍に来た

「お気づきですよね」
「えっ?」

ゆっくりと体を起こす
「ごきげんよう皆さん」
ニコッと笑顔で挨拶をする

その部屋にはいくつもの同じような天蓋付きのベットが並んでおり、聖女らしき女の子達が5人、その周りに黒魔術の魔法陣が精霊の力を吸い上げているのが分かる

部屋はかなり広くて清潔、日当たりもよく心地いい日の光が入ってくる
女の子らしい家具やぬいぐるみなどが置いてあり、皆仕立てのいいドレスを着ている
異様なのはやはり、彼女たちの周りにある魔法陣だろうか、それと聖女にはありえない、手の甲に見える奴隷紋

「ミラージュと言ったしから?黒魔術がお上手ね」
「聖女じゃなくなった時から使えるようになりました、そのおかげで追い出されずに済んでおります」
「?聖女じゃなくなった?たしか聖女の定義って精霊が3つ以上使えるって事よね」
「そうです、大怪我をしてから使えなくなりました」
「そう思い込んでたんだ・・・」
「え?・・・皇太子妃殿下ですよね、結婚されてるのに何故精霊がこんなに、形だけのご夫婦なんですか?」
「あら、ちゃんと皇太子殿下と結ばれましたわよ」
「きっとそうよね、・・・えー!?どうして?」
他の聖女が言った、
「あら、決まっているじゃない、ガンダリー教会の教えが、間違っているってことよ」
「・・・・貴方はいったい何者?」
「この国の皇太子妃、未来の王妃ですわ、そして9の超級精霊を操る背霊使い、黒魔術白魔術を自由に操る魔女ですわ」

「・・・それは可笑しい、背霊使いは黒魔術と白魔術は使えませんよね」
ミラージュが言った
「あら、あなたも使っているじゃない黒魔術」
「私は精霊魔法が仕えなくなったから」
「胸の奥底を観てごらんなさい、貴方の体を今動かしているのが何か、その欠損の激しい体を動かしているのが誰か」
「え?」
するとミラージュの周りに薄らと精霊の気配が、光が大きくなると3つの光が周り始めた

「貴方を救う為、体の中に入り込み体の中からあなたを支えていたみたいね」
「そんな、見捨てられたのかと」
「精霊は一度好いた相手は死ぬまで裏切りません、その闇の精霊と黒魔術は相性がいいんですよ」

ミラージュの周りに回る、光と闇と風の精霊

「凄く良い組み合わせね、光と闇は仲悪いのよ、それをいつも風が仲を取り持っている、そして光と闇の相互魔法は強力なの、魔力量は光と闇の力で多いし、だから黒魔術も合わせて使えるのね」

「でもこのままだと、使えないわねせっかくの力、光と闇の封印を解かないと、15年前に封印したのはあなた?、カギを持っているのはさっきの男、教皇の弟かしら?」

「本当にあなたは誰ですか?」
「ただの皇太子妃よ、私に任せてもらえる?悪いようにはしないわ、此処から出れるし、奴隷紋も消える、世界を見たくない?美味しい食べ物、綺麗ないろいろな花、美しい音楽、可愛い小物・・・・協力してちょうだい」







式典は大勢の王族、有力貴族(側室妃の実家含む)や騎士や軍属、側室妃達、大聖堂の後ろの方には一般人も大勢来ていた
教皇の脇には、多くの寄付が山積みになっている
ほくほくの教皇

(王子の隣、嬉しい)
ジョアンナは王族の隣、それも王子の隣に座っていた、教皇が決めた席順だ
前の方に座っているジョアンナを白い目で見ている、他の側室妃達が居た

式典が始まり、長々とガンダリー教の教義が話された
終ると、大聖堂の柱に精霊<8柱>の光が光り輝く
そして聖女5人が現れるはずの画面で
会場がざわついた
「どうした?聖女が現れないぞ」
「それに精霊の光が1つ余っているのだが・・・」
「これは?精霊が9・・・」
教皇が焦りはじめた
あの皇太子妃の周りの光は幾つだったか?
2つの精霊は此処にいたはず・・・1つ余る何故だ

「教皇、我が皇太子妃が行方不明なのだが」
王が教皇に言う
「存じております、ですから早く見つかるようにと」
「皇太子妃は精霊使いだ」
ますますざわつく会場
「そそれは・・・」
「それも9つの超級精霊を使うのだがな、9つだ、解るか?この教会の柱は8柱、1つは彼女だけが使うことの出来る精霊と聞いている、それがここに現れるのはどういううことか説明してもらおうか?」

「それは・・・」

ドッカーン、キンッバリバリ!ガッシャーン

教皇の後ろのステンドグラスと精霊を模したレリーフが砕け散る
教皇は転がって出席者の前で止まった、悲鳴が聞こえたと思ったら

余っていた精霊が光り輝く

破片は全て途中で止まり、其処に居る人々も体が動かせないでいた、意識はある
すると、するすると爆発が元に戻っていく、光が収まるとそこには元の戻ったステンドグラスと
ロゼッタと聖女<6人>が立っていた

「ばかな・・・黒魔術が解けるわけが・・・」

「みなさん、ごきげんよう~」

大聖堂に響き渡る声
「わたくしは、この国の皇太子妃、そして9の超級精霊を操る背霊使い、黒魔術白魔術を自由に操ることの出来る、チェインスター教の教皇です」

ロゼッタの周りに帯状の黒魔法、白魔法の魔法陣が周っている

「精霊使いが・・・黒魔術?チェインスター教の教皇だと!」

「派手にやったな・・・」
王の声がする・・・
「王は知っていたのか?」
王の足元で教皇が目を見開く
「だから、言ったではないかチェインスター教の信徒だと」
「信徒と教皇では」
「違わないさ教皇も信徒だろう?」
「凄いですね、聞いては居ましたが黒魔術の破壊力」
そういうのは騎士団長
「時間魔法もロゼッタ様だけなんだろう、凄いな」
宰相が感心する
「生き物の時間は無理だと言ってたぞ、それこそ神の領域だと、しかし十分神の領域に入っているよな」
そう言った将軍
唖然とする教皇とひそかに皇太子他、事情の知らない者達

「まず、精霊魔法に詳しい精霊使いとして言わせていただきます!」

「聖女が結婚したら精霊魔法が使えなくなるのは嘘です!」
「何を!教義に書いてある」
「あの。金儲けに良いように書き換えられた教義ですか?」

「あそこに古代語で書かれた真祖教義の書かれた本があります、ジョアンナ様、私の示すところを読んでください」
「え?私?なんで?」
ざわざわとざわめく会場
そう言っている間に大事にしまってあった本が宙に浮いてジョアンナの元に来た
勝手に開く本
「そこの挿絵の下からです」
「古代語なんて・・・これ日本語・・・」
「訳して読んでください」

”聖女・賢者とは精霊が3つ以上操れる者のこととする”
”聖女・賢者は教会に定期的におもむき、信徒に貢献すべし”
”聖女・賢者は多くの子を儲け、精霊と共に子を育てるべし”
”聖女・賢者は全ての信徒とともに豊かになるべく努力するべし”

「よろしいですわジョアンナ様、合っているのは
”聖女・賢者とは精霊が3つ以上操れる者のこととする”
だけですわね、あ、でも、今は聖女だけになっているのでそれも当てはまりませんね」

「男性も3つ以上なら賢者扱いか、王族の男はだいたい3つ以上使えるぞ」
王が言ううと
「それはそうです聖女・賢者の子孫ですもの」

「それに聖女達を囲む魔法陣、精霊の力を吸収されている理由をお聞かせ願えますか?」
「・・・・」
「それに聖女なのに手の甲にある奴隷紋!自分の思う通りにするために奴隷にする、犯罪ですよね」
「教皇!何故答えない!」
王が殺気を放ち教皇に迫る
「それに、光精霊と闇精霊を封印しましたよね、そのおかげで光精霊の持ち主が治療魔法が出来にくくなりました、アンデッドが増えました、治療や浄化などにかなりのお金取ってますよね、まるで自分が施しているように見せかけて」
真っ青の教皇

「王様、彼女たちと精霊の解放してもよろしいでしょうか?」
「ああ、頼む解放してやってくれ」

「よろしくて?ミラージュ様」
「はい、ロゼッタ様」

ロゼッタの白魔術の魔法陣とミラージュの黒魔術の魔法陣が重なる
横にいた教皇の弟を絡め取る
「うあぁ~」
「静かにしてください、ちょっと不快なだけです」
魔法陣が大聖堂を大きく包み込む

ドンッ

床の方から、お腹に響く音がすると大聖堂の中央に光と闇精霊の光が現れ、絡まるように大きな光となって空に向かって力が解放された

会場内のいたるところで力が解放された光と闇の精霊持ちの人たちが光る
人々が感嘆の声を上げる

「光と闇の力、その封印が彼女を苦しめた、ミラージュ様、欠損部再生を」
ロゼッタがそう言うとローブに隠れたミラージュがうなづく

「はい、”光と闇の聖霊よ我の四肢を元の姿に”」
光と闇にマーブルに包まれるミラージュ
小さかったからだが大きくなり、ローブの裾から綺麗な足が見え、手が現れ、ふわっと外れた顔を覆っていたローブが外れると、そこには黒髪、茶色い目の綺麗な大人の女性が現れた
がくっとミラージュが倒れるそれを受け止める初老の紳士、その横に同じようなミラージュに似た女性が
「ミラージュ・・・死んだと聞かされていたのに・・・」
「お父さん、お母さん」
「お父様お母様?大丈夫ですわ、魔力が切れかかっているのです、休ませればよくなりますわ」

「精霊魔法・・・使えなくなっていたんじゃ・・・だから黒魔術を」
教皇がぶつぶつ言っている

「ミラージュ様、無理をさせましたわね、黒魔術の後に精霊魔法、魔力が多いとはいえ大きな魔法を立て続けにごめんなさいね」
「とんでもありません、魔法を教えていただきありがとうございます、これからは医者の父を助け、勉強をして、私も医者を目指したいと思います」
「白魔術も是非習得してください、また助けることの出来るものが増えますわ」

「さて、残りは聖女様たちの奴隷紋ですわね」
「奴隷商はこの町にはもう居ない」
そう呟く教皇
「この国は奴隷は禁止しておりますからね、奴隷紋は黒魔術の呪いの術式を使ったものです、使ったものより強い力で呪い返しをすれば解けますのよ」
にやっと笑うロゼッタ
「呪い返し?」

「みなさん、手を」
聖女たちはロゼッタに手の甲を差し出す
ロゼッタは自分の手に魔法陣を展開して、聖女の手の甲に触れる
次々に奴隷紋が消えていくと同時に後ろから
「ぐえっ、ぐわっ、がわっ、」
とうめき声が聞こえ、最後の聖女の時には見ると教皇が泡を吹いて倒れていた

「ガンダリー教会の者を全員捕らえよ、虚偽と詐欺、奴隷法違反、王太子妃誘拐、拉致監禁!罪は山ほどある」
王がそう告げると騎士団軍属が捕縛し始めた、式典は中止、一般の人たちは大聖堂を後にした

「皆さんお騒がせしました」
そうロゼッタが言うと、
「なかなかスッキリしたぞ」
そう王が告げると蔓延の笑みを見せた
皆、その笑顔にときめきを覚える、ジョアンナでさえ

「ロゼッタ様、・・・同じてんせ「しー」・・」

「それはまた後ほど、改めて話しましょうねジョアンナ様」



「大変です!」
降り口で兵士が息を切らして入ってきて叫ぶ
一般人が居なくなり、そこらじゅうに、捕縛されたガンダリー教会の人らが居る大聖堂に、起きく響いた声。

「スタンピートです!」











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