北の大地

ゆきまる

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旅立ち

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1454年8月

〇暗い森の中

息を切らしながら全力で走る安東政季、政季の妻、
武田信広、政季の妻の御付きの2人。

木に足を引っかけてこける政季の妻。

全員走りを止め、安東氏の妻の方を見る。

安東氏の妻に駆け寄る政季、御付き2人。
政季「大丈夫か!」

倒れている妻の肩に手をかける安東氏。
安東妻「大丈夫です…。」

妻の腕を肩に回し、起き上がらせる安東氏。
安東氏「もうすぐだからな。少しの我慢だ。
安東妻「ありがとうございます。(ボソッと)」

全員再び歩き始める。

〇津軽海峡

奥に薄く北海道が見える。

ボラード(木)に繋がられている船。

全員船の方に走る。

政季→政季妻→武田→御付き2人の順に船に乗る。
〇海
魯で船を漕ぐ武田。
御付きの女、安東氏の妻に着物をかける。

妻の肩に手を置く安東氏。

手を添える安東氏の妻。

蝦夷地を見つめる2人(安東氏、妻)。

蝦夷地に向かって進む船(後ろ姿)。

星が輝く夜空

テロップ「北の大地(タイトル)」


1456年5月

〇とある村

田植えをする村人たち。

飛ぶ鳥たち。

馬鍬を使って牛に犂を引かせ田起こしをする村人。

野菜を収獲する村人。

あぜ道で蝶々を追いかける子供たち(三人)
子供達「わーー」

田植えをしている村人母と子。
村人子「今年もいーっぱいお米とれるかな!」
村人母「そうだねぇ。お天道様にお願いしようか。」

村人母子が太陽を見る。
村人母子「お天道様。(ゆっくり)」
___________________________________
〇田んぼから100mくらい離れたところ

田んぼに向かって馬が走る。
___________________________________
〇とある村

村人母子「今年もお米がいっぱいとれま…」

親子の前で馬が止まる。

馬にまたがる地頭。

村人母子をにらみつける地頭。
地頭「おい、何を話しておる。はよ苗を植えんか。」

地頭をにらみ返す村人母。
地頭「なんだその顔は。文句があるなら言ってみろ。」

不安そうな顔で母の後ろに隠れる村人子。
村人母「何でもありません。さぁ、お前田植えをやるよ。」
村子「う、うん」
地頭「さっさと働け。(馬から降りながら)」

横から石が飛んできて地頭の頭に当たる。
地頭「いってぇー。」

当てられた場所を手で押さえる地頭。
地頭「何者だ。」

石が飛んできた方を見る地頭。

田んぼから30mほど離れた場所でボロボロになった着物を着ている
レラが地頭を怒った顔で見つめる。
レラ「田植えの邪魔をしているのはお前の方だい。」
地頭「貴様、私が誰だかわかっての無礼か。」
レラ「それがなんだ!困っている人を助けただけじゃないか。」

   周りの村人もくすくすと笑う。

腹を立て、刀を少し抜く地頭。
村人母「刀を収めください、地頭様。」
地頭「…。チッ(舌打ち)」

馬に乗りあがる地頭。
地頭「お前たちもさっさと働け。」

来た道を帰る地頭。

親子の前にしゃがみ込むレラ。
レラ「大丈夫だったか?」
村人母「余計なことをして。切られたらどうするんだい。」
レラ「そんなこと考えてもみなかった。」
村人母「はぁ。(溜息)そんなことよりあんた、熱は治ったのかい?」
レラ「おかげさまで。」
村人母「良かったよ。レラは昔から病弱だし、おとうもおかあも
    病気で死んで、こっちは氣が氣じゃないんだ。」
村人子「レラ姉ちゃん病気なん?」
レラ「心配すんなぁ。私はそう簡単には死なん。」

ニッコリ笑うレラ。
村人母「病み上がりだけど氣分転換に田植え手伝ってくかい?」
レラ「すまん。今日は久々に遊んでくる。」
村人母「最近知り合った子だったけか。」
レラ「そうそう。」
村人母「この辺に住んでるんか?」
レラ「たぶん…?(聟の正体をばらさないようにごまかす)」
村人母「この村の子はみんな知っとるから、隣村の子か?
    どれだけの距離を歩いてくるんなその子は。(苦笑い)」

レラも苦笑い。
村人母「今度家に泊まりに来てもらい。紹介してよ。」
レラ「ありがとう。言っておくよ。」

   じゃあっと祠のある山の方に向かうレラ。

   手を振り返す村人母子。

〇山の中

木をかき分けながら歩くレラ。

立ち止まるレラ。
レラ「聟(セイ)!」

聟が祠の前で立っている。

振り返るセイ。
セイ「レラ!熱は治ったか?」
レラ「この通り」

セイ「良かった」

レラの手を握るセイ。
セイ「今日はレラを連れていきたい場所があるんだ。
ついてきて。」

レラの手を引っ張りながら走り出すセイ。
レラ「うん!」
__________________________________”
〇山の中/頂上付近

走る2人。
セイ「こっちを右!(レラの手をつないだまま)」

右に曲がる。
セイ「ついたよ!」
レラ「わぁ…」

〇山の中/頂上

崖の下に湖が広がる。

セイの横に並ぶ。
レラ「こんな所あったんだ…知らなかった。」

   満足そうに笑うレラ。
セイ「今日は満月だから夜までここで待とう。」
レラ「うん。でもご飯とか何も持ってきてないや!」

   懐からおにぎりを出すセイ。
セイ「じゃーん。」
レラ「おおお~。セイが握ったの?」
セイ「ううん。お供え物。」
レラ「…アハハ!」

〇同/夜

空を見ながら並んで寝ているレラとセイ。
レラ「本当にきれい。いつも見てる空と変わらないのに、今日は一番綺麗に
   見える。」
セイ「喜んでくれてよかったよ。」
レラ「何か今日の満月も少し青く見えるね。」
セイ「ほんとだ。」

流れ星が流れる。

空を指さすレラ。
レラ「流れ星!」
セイ「え。どこどこ。」

流れ星がまた2回流れる。

空を指さすレラ。
レラ「ほらまた!」
セイ「また見逃した。」

残念そうな顔をするセイ。

セイを見て笑うレラ。

レラ「流れ星に願うとその願いが叶うらしいんだ。」
セイ「じゃあ次こそは見ないとな。」

空を見つめる。

流れ星が流れる。

2人とも目を瞑る。
セイ「願えた?」
レラ「うん。」
セイ「何願った?」
レラ「身体を強くしてこの村の皆を守れるようになりますように。って。」
レラ「セイは何願った?」
セイ「この村を守れるくらい立派な狐になりますようにって願った。」
レラ「同じだね。」

微笑み合う二人。
セイ「じゃあ。いつかこの村を2人で日本一幸せな村にしよう。」

指切りをする2人。
レラ「約束」

翌日
○祠の前~里

狐の姿で祠の横で寝ているセイ。

微かにレラの叫び声が聞こえる。
セイ「レラ?!」

山から里へ降りる。

辺りをキョロキョロする。

誰一人もいない静かな村。
セイ「まだ明るいのに何で誰もいないんだ。」

辺りをキョロキョロしながら歩く。

息を切らしながらセイの肩をつかむ村人母。
村人母「お、おまえさん。ハアハア」

驚いた顔で村人母の方を見るセイ。
セイ「あなたは…。」
村人母「レラが!レラが悪党にさらわれた。」
セイ「⁉」
 
別の村人達が集まってくる。
村人母「地頭の野郎が悪党どもを引き連れてきたんだ。
    あいつ、昨日恥をかかされた腹いせにレラを連れてったんだ。
    みんな怖くて助けられんかった…」
 
   村人みんな下を向く。
セイ「レラは強いです。そんなことで恨みませんよ。
   レラはどこに連れていかれましたか?」
村人母「レラはあっちの山に入ってた。」
時間はまだそんなに経っていない。」
村人A「でも相手は悪党だ。」
村人B「あんたまで何されるかわからないよ。」
セイ「大丈夫。今こうしている間にレラが危険な目にあっているかもしれない。
ありがとうございます。教えてくれて。」

村人らにお辞儀をして山の方へ走るセイ。

走るセイを見送る村人ら。
○山の中

狐の姿で山の中を走るセイ。
セイ「お願いだ。間に合ってくれ。」

木々にぶつかったり、倒れている木を飛び越えながら、走るセイ
セイ「レラの血の匂い。」

更に加速する。

少し開けた場所に出る。
セイ「レラ!」(人の姿に戻っている)

悪党に囲まれてレラが頭から血を流して倒れている。

悪党ら振り向く。
悪党A「あぁ。なんだおめぇ。」

怒りに満ちた表情になるセイ。

じりじりと悪党らに近づくセイ。
セイ「おのれ…。よくもレラを…。」

耳と尻尾(3本)が生える。

ギョッとする悪党ら。
悪党B「ば、化け物!」

逃げ出す悪党ら。

凄い速さで悪党Aの前に行き胸倉をつかむセイ。

爪を立てる。
悪党A「お慈悲をくだせぇ。お慈悲をぉぉ。」
セイ「レラは凄く苦しんだんだ。悪いことは何もしてないのに。
そんな理不尽なことはないだろう。」

より一層恐怖に満ちた顔になる悪党A。
悪党A「あ。あ。あ。」

悪党Aの叫び声が響く。
〇山の中

レラをお姫様抱っこして山を下るセイ。

レラのポケットから袋とネックレスが落ちる。

拾い上げるセイ。

自分のポケットにしまう。

〇里

  セイの帰りを待つ村人たち。

  遠くでセイの姿が見える。

村人母「レラ!!!」

  セイのところに走る村人たち。

  血まみれのレラを見て絶句する村人たち。
村人母「あんた…」
セイ「間に合いませんでした。(下を向く)」

  泣き崩れる村人たち。
セイ「レラの家の近くに埋葬しようと思います。」
村人B「あんたも傷だらけじゃないか。先に手当をした方が…。」
セイ「傷なら勝手に治ります。穴を掘るのを手伝って下さい。」

  うなずく村人たち。
__________________________________
〇レラの家

レラの両親の墓の横に穴を掘る村人たち。

   レラを抱きかかえて簡易的な棺に入れるセイ。


涙を流すセイ。
セイ「レラとしたいこと、話したかった事、いっぱいあったのに。
もう一回、いつもみたいにセイって言って笑ってくれよ…。レラ…。」

泣き叫ぶセイ。

セイの涙がレラに落ちる。

泣く村人たち。
村人母「簡単に死なないって言ってたじゃないかぁ。」

  レラをのぞき込む村人子。
村人子「いつも遊んでくれてありがとう。
    向こうでもこれで遊んでね。」

  レラの棺に蹴鞠を入れる。

村人母「向こうで風邪をひいても困らないように。」

  薬を入れる。

村人A「レラちゃんの好きだった茄子と大根。向こうでも沢山食べるんだよ。」

  沢山の茄子と大根を入れる。

  棺の中に村人たちが各々持ってきた物が入れられている。

  棺の蓋を持ち、涙をこらえながらレラを見る。
セイ「レラ。こんなに沢山のお土産貰えて良かったなぁ。
   こんなにも愛されててレラは幸せ者だな。
   レラの願いは僕が叶えるから。ありがとう。レラ。」

  蓋を閉じる。

しゃがんでレラが埋まっている土の上に白い彼岸花を供えるセイ。

目をつぶり手を合わせる。

ポケットにレラの持っていた袋とネックレスを入れてたことを思い出し、
村人に見せるセイ。
セイ「レラが持っていました。これが何かわかる人はいますか?」

村人全のぞき込む。

ハッとする村人D。
村人D「それ、レラのおっとさんがもっとったやつでねえか。」
村人C「そうだな。レラのおとうが、この村にやってきた時からもっとたやつ
だな。」
セイ「レラのおとうさんは、この村出身ではないのですか。」
村人母「そうだ。もう15年くらい前だけどな、ドッサという音がして、
振り返ると、人が倒れているんよ。しかも見たことのないは織物をした。それで、一旦千代の家に運んで看病したんだよ。」
村人E「その千代ってのは、レラの母親なんだよ。」

村人母「レラのおとう、名前はアンラインといってね、病気がちだったみたいでね、中々、外に出てくることはなかったんだが、
いつも家の中から挨拶してくれるいい人でね。
千代もあまりあの人のこと話さなかったからね。」
村人F「おら、千代からアンラインの話聞いたことあるぞ。」
アンラインの住む街はウスケシ(函館)という地域で、ずっと北の
海を渡った所にあるらしい。
自然豊かな場所で、見たことない動物がおるらしい。とても美しい
文化を持っていると聞いた。」

村人母「もしかしたら、その首飾りはウスケシという場所で作られたものかも
しれないな。」
セイ「ウスケシ…。教えていただき、ありがとうございます。」

手に持った装飾品を見つめ、ぎゅっと握るセイ。

翌朝
明け方(午前5時ごろ)

〇レラの墓の前

旅支度をしたセイがレラのお墓の前に着く。

お墓の前にしゃがみ、白い彼岸花を交換する。
セイ「レラ、今からレラのお父さんが住んでいたウスケシという場所に向かうよ。
ここから2月ほどかかるらしい。ここに戻ってくるのも
何年後かわからない。
毎日来れなくなるけど、レラはここから私のことを見守っていてほしい。」

お墓を見つめるセイ。

立ち上がる。
セイ「いってきます。」

里の方へ向かって歩き始める。

〇里

山から下りるセイ。

ハッとするセイ。

村人らが外に出てセイを見ている。

村人子が眠そうに目をこする。

村人らに駆け寄るセイ。
セイ「皆さん。朝早くにどうしたんですか」
村人母「あんたに渡すものがあってね」

背中に隠してあるかごに入れた漬物と魚の干物をセイに渡す。
村人母「はい。これ」

それぞれセイに持ってきたものを渡す村人ら。

驚くセイ
セイ「…いいのですか」
村人母「みんな心配なのさ」
村人F「これくらいあれば食うには困らないだろう」

嬉しそうな顔をするセイ。

セイの袖を引っ張る村人子。

村人子の方を見てしゃがむ。
村子「これ、お守り。」

藁でつくった手のひらサイズの狐のぬいぐるみを渡す村人子。
セイ「ありがとう。」
村子「レラちゃんの墓守は任せて」

微笑んで、村子の頭を撫でるセイ。

ニッコリ笑う村人子。

立ち上がるセイ。
セイ「みなさん。本当にありがとうございます。」
村人母「レラの墓と祠の掃除は任せな。」

一瞬驚くセイ。
セイ「はい。いってきます。」

手を振って見送る村人達。

歩きながら村人らに手を振り返す。

〇森林(明け方・薄暗い)

セイの右から太陽が昇る。

まぶしくて手で目を隠す。
セイ「あっちから太陽が昇るということは、方向はあっているな。」

嬉しそうに微笑んでまた歩き始めるセイ。

〇拓けた道(午前11時頃)~セイの旅路

近くの小川を見つけ、水を飲む。

近くの木陰でおにぎりともらった漬物を食べる。

歩き始める。

木の根元で寝る(夜)。

茶屋で団子を食べる。

木の棒を地面に立てて影の方角を見る。

〇津軽(陸奥国北部)明け方

交易が盛んで、蝦夷と呼ばれる人々が国外から運びこまれた
動物の毛皮(アザラシ、ラッコ、ワシなど)、鮭などが運ばれてくる。

キョロキョロ辺りを見るセイ。
少女「ねえ(OFF)」

声がする方を見るセイ。
少女「何か探してるの?」
セイ「ウスケシという場所に行きたいんだ」
少女「ウスケシ…(なんか聞いたことあるなぁ)
あっ。海の向こうに見える陸がそうだよ」

海の向こうを指さす少女。
少女「使ってない舟あるからそれで行ぐといいよ(青森訛り)」

セイの手を引っ張る少女。
少女「こっち!」

〇同/舟着き場

少女「あれ使っで」

舟を指さす少女。

舟に近づく2人。

舟に乗り込むセイ。

舟につながれている縄を外す少女。
少女「海流にのっていけば着けるよ」
セイ「ありがとう」

セイに手を振る少女。

2人の後ろ姿(少女手を降す)。
__________________________________
〇海の上(夜)500m以内で、ウスケシに着く所

寝る間も惜しんで舟を漕ぐセイ。
 
寝落ちしそうなセイ。

雨が降ってくる。
セイ「雨だ…。」

強い風が吹く。

波が突然高起する。

バランスを崩すセイ。
セイ「わ。わ。」

船がひっくりかえる。

海に放りだされる。

狐の姿で泳ぐ。

また波が高起する。

海水を飲み込みすぎて、上手く水面へ上がれない。

ごぼっと泡を出す。

段々意識が遠くなる。

気を失うセイ。
ブラックアウト
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