【R18】黒のエリアマスター

shinko

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第一章 はじまりの町

10話 軍資金獲得と娼館

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   結局、ジャイアントクイーンビー、10000ドロル金貨一枚

 巣 20000ドロル金貨二枚

 の買い取りとなった。やはり価値が高いらしい。

 その他を合わせて合計36510ドロルを手に入れた俺は、その場でDランクベテランに昇格した。

「やった。これなら色んな依頼が受けれるな」

 俺は冒険者カードを見て喜んだ。

「ええ。そうね。この町では、トップクラスよ、でももう移動しちゃうんでしょ」

 モニカさんが探るような目つきで言った。

 この町は初級用の町なのだ。食えない冒険者や、冒険者になろうとする者たちにはいい所だが、Dランクには物足りない。

 皆、Dランクになると、もっと割りのいい狩場へ出て行くのが普通だ。それが冒険者なのだ。

「ああ、軍資金もできたし、とりあえずトレビアに行っていずれは王都に行くつもりだ。Aランクになったら戻ってくるよ。モニカさん」

 グラマーなモニカさんを見た。いい女だが、付き合いたいとか結婚したいわけではない。一回ヤリたいだけだ。

 経験を積んだ(二人だけだが)俺には分る。この人はお水だ。行きずりの恋がお似合いだろう。

「そうよね。ふふふ。楽しみに待ってるわ。気を付けてね」

 モニカさんは少し寂しそうな顔をしたが、笑って手を振ってお別れした。いつも冒険者を送り出しているのだ。慣れているのだろう。

 俺も罪な男だぜ。

 意気揚々と冒険者ギルドを出て、当然のように娼館へ向かった。しかしそこで重大な事実が判明する。

 まだ、やってないのだ。

 準備中の札を見て途方に暮れる。

 まだ早いのか。今はまだ一時なのだ。

 これだから田舎の娼館は・・・・・・。

 どうやら夕方からしかやってないようだ。

 仕方がない。普通に飯食うか。

 お金はあるし、ちょっと高いレストランにでも行ってみるか。

 今までは露店で買った物ばかり食べていたのだ。もちろんそれでも十分なのだが、どうせなら色んな物を食べてみたい。

 そう考えた俺は、高そうなレストランに向かって歩き出した。

 すると。可愛い声がした。

「お兄さん、あたしと遊ばない?ショートなら50ドロルでいいわよ。一日ならそうね。150ドロルってとこかしら」

 紫色の髪をしたボブのようなショートヘアーで、クリンとしたパッチリお目目の可愛い女の子が立っていた。

 いわゆる立ちんぼ、と言うやつだ。

 娼館に勤めているプロではないが、直接お金を貰って体を売っているのだろう。今まで買ったことはないが、何回か声はかけられたこともあった。

 だがこの子は若い、12.13歳くらいだろうか。一応胸もあるようだが幼いな。体も細いし身長も145cm位しかない。服装も粗末で少し汚れている感じもする。

 こんな幼い子も生活の為には体を売らなければならないのだ。男と違って女の子は冒険者にもなりにくい。力が弱いからだ。

 少し可哀そうになった。

「そうか。一日なら150ドロルでいいんだな」

「うん。いいの?」

 女の子の目が輝く。

「ああ、いいぞ、お兄さんが買ってやる」

「やったー! ありがとう。よろしくね。あたしはセリー」

「俺はケルビン。実は・・・・・・」

 グーー。セリーのお腹が大きく鳴った。

「あはははっ。恥ずかしい」

 セリーがお腹を押さえて赤くなった。

 グー。今度は俺のお腹が鳴った。

「あはははは、腹減ったな。よし、セリー。レストランに行こう。実は今から飯食いに行くところだったんだ。ちょっと付き合え」

「いいわね! ふふふ。そうね。ご主人様の命令なら聞くしかないわね。もちろん。お代はケルビンさん持ちなんでしょ?」

 セリーが嬉しそうに腕を組む。

「そりゃあそうさ。いいもん食わしてやる」

「やった! ラッキーね。ついてたわ。こんな気前のいい人に当たって良かったわ」

 しばらく歩いて、お子様二人で高級なレストランに入ろうとした。

「お客様、ご予約はございましたでしょうか」

 入口で立派な恰好をしたボーイに聞かれた。完全に見下している。貧乏人に見えたのだろう。

 俺は布の服上下に手ぶら、セリーも薄汚れた布の服上下にバッグが一つあるだけの子供だ。見るからに場違いなのだろう。

 心配そうな顔をするセリー。

 だが、問題ない。俺は冒険者カードを出して見せる。更新したばかりのDランクベテランカードだ。 

 ボーイの目が大きく見開き、俺の顔を見た。この町スターテルでDランクならトップクラスなのだ。

 Dランクは経験を積んだ冒険者の証で、一月に10000ドロル金貨一枚以上を三か月連続で獲得できる実力がある事の証明なのだ。

 いわゆるプチセレブ、とまではいかないが、成功している立派な大人として扱われるのだ。

 特に田舎の町程そういった傾向が顕著だ。Dランク自体が珍しいからだろう。

 
「予約は無いが何とかしてもらえないかな」

 俺は自信満々でボーイの顔を見た。

「ええ、勿論でございます。ケルビン様。こちらでございます」

 明らかに態度が変わったボーイに案内されて中へ入った。素晴らしく高級なお店だった。身なりの良いお金持ちそうな客が多かった。

 これは確かに少し浮く・・な。

「こちらへどうぞ」

 奥の個室に案内された。

 小さな二人用の部屋だ。他の客に何か言われない為の配慮だろう。だがゆったりとしていて居心地が良さそうだ。ボーイが椅子を引いてくれるのでゆっくりと座った。

 セリーもボーイが引いた椅子に、ソワソワしながら椅子に座る。

 可愛いな。

「ケルビン様。よろしければ、コースにいたしましょうか」

 ボーイがメニューを見せる。

 Aコース 70ドロル

 Bコース 100ドロル

 Cコース 150ドロル

 うむ。いい値段だな。

 セリーが値段を見てビックリした。

「そうだな。じゃあ。Cコースを二人分。あと軽い果実酒を頼もうかな。セリーはジュースにするか」

 セリーを見た。

「あっあたしも果実酒で」

 なぜか大人ぶるセリー。まあ、いいだろう。軽めだしな。

「じゃあ。それで」

「かしこまりました。では少々お待ちください」

 うやうやしく礼をすると、ボーイは出て行った。

「すごいお店だわ。いいの。ケルビンさん。あたしこんな所来た事ないのよ」

 セリーが少し困った顔をする。

「実は俺も初めてだ。いいじゃないか。何事も経験だ。まあ、楽しもうぜ」

「そっそうね。楽しみだわ。お酒も飲んだ事ないのよ」

「やっぱりか。そうだと思った。セリーはいくつなんだ」

「あたしは15歳よ」

「えっそうなの。なんだ。俺と一緒か。12.3に見えたぞ」

「そうなのよ。よく言われるけど立派なレディーなのよ。ちゃんと後でサービスするわね」

 ウインクするセリー。うーん。可愛いが色気はない。

 ボーイが果実酒を持ってきた。

「こちらでよろしかったでしょうか」

 紫色の瓶を見せる。葡萄の果実酒らしい。

「ああ、それでいい」

「ありがとうございます。こちらは50ドロルになりますので合わせて350ドロルお願いします」

 やはり先払いが基本なのだ。

 俺は400ドロル銀貨四枚を渡してこう言った。 

「釣りはいらない」

 ボーイが満面の笑みを浮かべる。

「ありがとうございます」

 ふふふ。気持ちいーーー!

 氷の入ったグラスに果実酒を注いでボーイは退散する。

「気前がいいのね。ケルビンさん」

「ああ、今日はDランク昇格の祝いなんだ。二人で祝えて幸せだ」

 グラスを手に持つ。

 セリーも手に持った。

「そう。すごいわね。その年でDランクになるなんて、じゃあ。ケルビンさんの昇格を祝って乾杯!」

 二人で乾杯して果実酒を味わった。

 セリーも美味しそうに飲んでいた。 
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