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第三章 王都シルバーニュ
27話 Sランクの実力
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軽い! 風のように早く走れる。
前の三人を追いかけて巨大な化け物に近づいて行く。
『ブォオオオオオンン!!』
牛巨獣人王は怒っていた。爆発攻撃を仕掛けた魔導師に向かって雄たけびをあげると、ズシンズシンと近づいて、目の前の障害物を蹴り飛ばすように破壊している。
巨人にとってのただの蹴りが、大暴力となり地面をえぐる、足場の土を削り取とると周りの人が消し飛ぶように吹っ飛んで行く。
「うわあああああ!」
「ぎゃあああああ!」
巨人の右足がさらに前に踏み出される。
三人の戦士がその足元に迫っていた。
「いいかげんにしろーー!【範囲攻撃能力超向上】 ぐおおおお! 【超大斬撃砲】!」
巨人まで距離十メートル。
怒りに燃える騎士団長が、二メートルはあろうかという大剣を振りかぶり、目にもとまらぬ速さで振り抜いた。
ズバーーーン!
放たれた大きな斬撃が牛巨獣人王の巨大な右足にヒットする。
大木を遥かに超える太さの足首から青い血が噴き出した。
『グアアアアアア!』
巨人が痛みに叫び声をあげた。
「よし、続けえええええ!」
「はい! 音速の大斬撃! 音速の大斬撃! 音速の大斬撃! 」
副騎士団長も細く長めの剣を高速で振り抜き、三つの斬撃を繰り出した。
ズバズバズバ!
衝撃が宙を飛び、さらに右足首から血を吹き出す。
「俺が決めるぜええええ! 貫けえええ! 【黒龍 大爪撃】!」
走り込むクローさんの右手が大きな黒い龍の手に変化した。すぐにわかったこれは《神の力》の能力だ。
そのまま巨大な足首に跳ねるように体ごと突っ込むと、折れろとばかりに勢いよく右手の大爪をぶち当てた。
ドゴーン! ブシャアアアアー!!
青い血が噴き出すようにほとばしる。
『ギャアアアアアア!』
巨大な足首の中心にぽっかり大穴が開いていた。骨肉をそのままえぐったのだ。
「どうだ! こらぁー!」
クローが雄たけびを上げながら、バックステップで距離を取る。
たまらずその右足を大きく振りあげ、巨人の体勢が崩れたようにひっくり返る!
ズシーン。
「ちぃっっ! 倒れねえのか!」
かと思われたが、負傷した大きな足を後ろに下げただけで踏みとどまり、代わりに巨大な牛刀が恐ろしい速さで真横から飛んで来た。
――ブワアアアアン。
「攻撃がくるぞっ!!」
「くそっ!」
「避けろっ!」
刃の横面でひっ叩くような攻撃だ。面積が広い。まるで壁が迫ってくるような恐ろしい攻撃だった。
前にいた三人をつぶすように狙った面の攻撃に反応し、三人は鍛え抜かれた体からオーラを吹き出すと、さらに地面を大きく蹴り上げ避けるように空へと駆ける。
「空歩!」
飛び上がった先でも足先からオーラを吹き出して、空中に足場があるかのように空を蹴り駆け上がって行く三人組。
横一線に振り抜かれた巨人の牛刀をギリギリかわすと、そのまま駆け上がり巨人の頭へと攻撃を仕掛ける。
最初に頭へ到達する、銀の鎧に身を包んだ騎士団長の大剣が振りかぶられる。
「うおおおおっ! 【大刀破壊斬】!」
牛巨人の大きな目を切るようにその大剣が降り抜かれる瞬間。
――ガァーン!
「ぐぁああっっ!?」
団長の目が限界まで開かれた。口から出た鮮血が空に飛び散る。
大きな牛角の硬い壁が団長の全身をひっぱたいた。
ミノタウロスキングが巨大な頭を振ったのだ。
左右に飛び出た長い大角に体を叩かれ、弾かれるように団長が斜め下へと吹っ飛んだ。団長は地上近くまで飛んで行くが、何とかオーラを噴出させて空を蹴り、ひざをついて地上に降り立った。
「団長っっ!! がほっ!?」
「なっ!? ぐあっ!」
さらにブルンブルンと、首を振る巨人の大角が二人を襲う、その単純な攻撃が簡単に二人を直撃した。
跳ね飛ばされて横に飛ぶが、オーラでガードはしていたようだ。何とか空を数度蹴り体勢を立て直そうとする。
そこに大きな左手が飛んでくる。
ブワン!
――逃げ切れない。
叩き潰される!?
……俺は最悪を想像した。
だが、その時。
――再び閃光が走った。
ドゴォーーン。
魔法が巨人の胸に大爆発を巻き起こす。
『グアアアアアアアア』
ミノタウロスが胸を押さえる。
爆風がおこり、何とか二人が避けるように逃げきった。
宮廷魔導師長の援護弾だ。
……危ないところだった。
だが、これは不味い。
このままでは勝てる気がしてこない。
あの戦力では牛巨獣人王は倒せそうにないのだ。
……やはりこれは俺がやるしかない。
だがどうやってこれを倒すのか。
青龍の時のように頭を潰すのが一番か。
うーん。
そうだ!
前面で戦って注意を引き付けてくれているこの隙に、大きく迂回し巨人の後ろに回り込む。
よし行くぞ。
俺は体に纏った【絶対領域】から黒い両足を長く伸ばす。
しかもただ伸ばす訳じゃない。
振り向かれたら終わりなのだ。
奴に見つからないようこうイメージする。
《ミノタウロスキングからは認識できない》と。
グングンと足を伸ばしていく。
しかしやはり二十メートルちょいしか領域が伸びない。これ以上は伸ばせないのだ。
今は牛巨人の背中の真ん中辺り、このまま何とかいけるだろうか!?
いくしかねー!
やってやる。
俺はその場で後ろに倒れ込むように黒い右足を大きく開いてあげると、左足を軸にして回転した。
長く伸びた右足で牛巨獣人王の首を狙う。
円を描くように回し蹴りを大きく放った。
そう、回し蹴りで首を狩るのだ。
「食らええええ!【絶対領域刀右回し蹴り】!」
――ブワァアアアアアン。
刃物と化した二十メートルの【黒い領域】が牛巨人の首を振り抜いた。
ザァンッッ!!
『ガッ……!?』
俺はそのまま後ろに倒れ込みながら、大きな牛頭が飛んで行くのがスローモーションのように視界に映った。
「うぉおおお!!」
アドレナリンが噴出した。
が、ひっくり返りそうなので領域を戻し展開させる。
大きな領域が風を包んでフワッと地上に着地した。
巨人は大地に立ったまま、失った首先から青い血を盛大に吹き出すと、崩れ去る前に魔石になった。
大きな魔石が胸の位置から落下する。
俺は黒い領域の手を広げ、青い魔石をキャッチした。
「うぉおおおおおおおおお!!!」
「やりやがったあああああああああ!!」
「よっしゃああああああああああ!!」
大地が震えるような大歓声が迷宮周辺から巻き起こった。
前の三人を追いかけて巨大な化け物に近づいて行く。
『ブォオオオオオンン!!』
牛巨獣人王は怒っていた。爆発攻撃を仕掛けた魔導師に向かって雄たけびをあげると、ズシンズシンと近づいて、目の前の障害物を蹴り飛ばすように破壊している。
巨人にとってのただの蹴りが、大暴力となり地面をえぐる、足場の土を削り取とると周りの人が消し飛ぶように吹っ飛んで行く。
「うわあああああ!」
「ぎゃあああああ!」
巨人の右足がさらに前に踏み出される。
三人の戦士がその足元に迫っていた。
「いいかげんにしろーー!【範囲攻撃能力超向上】 ぐおおおお! 【超大斬撃砲】!」
巨人まで距離十メートル。
怒りに燃える騎士団長が、二メートルはあろうかという大剣を振りかぶり、目にもとまらぬ速さで振り抜いた。
ズバーーーン!
放たれた大きな斬撃が牛巨獣人王の巨大な右足にヒットする。
大木を遥かに超える太さの足首から青い血が噴き出した。
『グアアアアアア!』
巨人が痛みに叫び声をあげた。
「よし、続けえええええ!」
「はい! 音速の大斬撃! 音速の大斬撃! 音速の大斬撃! 」
副騎士団長も細く長めの剣を高速で振り抜き、三つの斬撃を繰り出した。
ズバズバズバ!
衝撃が宙を飛び、さらに右足首から血を吹き出す。
「俺が決めるぜええええ! 貫けえええ! 【黒龍 大爪撃】!」
走り込むクローさんの右手が大きな黒い龍の手に変化した。すぐにわかったこれは《神の力》の能力だ。
そのまま巨大な足首に跳ねるように体ごと突っ込むと、折れろとばかりに勢いよく右手の大爪をぶち当てた。
ドゴーン! ブシャアアアアー!!
青い血が噴き出すようにほとばしる。
『ギャアアアアアア!』
巨大な足首の中心にぽっかり大穴が開いていた。骨肉をそのままえぐったのだ。
「どうだ! こらぁー!」
クローが雄たけびを上げながら、バックステップで距離を取る。
たまらずその右足を大きく振りあげ、巨人の体勢が崩れたようにひっくり返る!
ズシーン。
「ちぃっっ! 倒れねえのか!」
かと思われたが、負傷した大きな足を後ろに下げただけで踏みとどまり、代わりに巨大な牛刀が恐ろしい速さで真横から飛んで来た。
――ブワアアアアン。
「攻撃がくるぞっ!!」
「くそっ!」
「避けろっ!」
刃の横面でひっ叩くような攻撃だ。面積が広い。まるで壁が迫ってくるような恐ろしい攻撃だった。
前にいた三人をつぶすように狙った面の攻撃に反応し、三人は鍛え抜かれた体からオーラを吹き出すと、さらに地面を大きく蹴り上げ避けるように空へと駆ける。
「空歩!」
飛び上がった先でも足先からオーラを吹き出して、空中に足場があるかのように空を蹴り駆け上がって行く三人組。
横一線に振り抜かれた巨人の牛刀をギリギリかわすと、そのまま駆け上がり巨人の頭へと攻撃を仕掛ける。
最初に頭へ到達する、銀の鎧に身を包んだ騎士団長の大剣が振りかぶられる。
「うおおおおっ! 【大刀破壊斬】!」
牛巨人の大きな目を切るようにその大剣が降り抜かれる瞬間。
――ガァーン!
「ぐぁああっっ!?」
団長の目が限界まで開かれた。口から出た鮮血が空に飛び散る。
大きな牛角の硬い壁が団長の全身をひっぱたいた。
ミノタウロスキングが巨大な頭を振ったのだ。
左右に飛び出た長い大角に体を叩かれ、弾かれるように団長が斜め下へと吹っ飛んだ。団長は地上近くまで飛んで行くが、何とかオーラを噴出させて空を蹴り、ひざをついて地上に降り立った。
「団長っっ!! がほっ!?」
「なっ!? ぐあっ!」
さらにブルンブルンと、首を振る巨人の大角が二人を襲う、その単純な攻撃が簡単に二人を直撃した。
跳ね飛ばされて横に飛ぶが、オーラでガードはしていたようだ。何とか空を数度蹴り体勢を立て直そうとする。
そこに大きな左手が飛んでくる。
ブワン!
――逃げ切れない。
叩き潰される!?
……俺は最悪を想像した。
だが、その時。
――再び閃光が走った。
ドゴォーーン。
魔法が巨人の胸に大爆発を巻き起こす。
『グアアアアアアアア』
ミノタウロスが胸を押さえる。
爆風がおこり、何とか二人が避けるように逃げきった。
宮廷魔導師長の援護弾だ。
……危ないところだった。
だが、これは不味い。
このままでは勝てる気がしてこない。
あの戦力では牛巨獣人王は倒せそうにないのだ。
……やはりこれは俺がやるしかない。
だがどうやってこれを倒すのか。
青龍の時のように頭を潰すのが一番か。
うーん。
そうだ!
前面で戦って注意を引き付けてくれているこの隙に、大きく迂回し巨人の後ろに回り込む。
よし行くぞ。
俺は体に纏った【絶対領域】から黒い両足を長く伸ばす。
しかもただ伸ばす訳じゃない。
振り向かれたら終わりなのだ。
奴に見つからないようこうイメージする。
《ミノタウロスキングからは認識できない》と。
グングンと足を伸ばしていく。
しかしやはり二十メートルちょいしか領域が伸びない。これ以上は伸ばせないのだ。
今は牛巨人の背中の真ん中辺り、このまま何とかいけるだろうか!?
いくしかねー!
やってやる。
俺はその場で後ろに倒れ込むように黒い右足を大きく開いてあげると、左足を軸にして回転した。
長く伸びた右足で牛巨獣人王の首を狙う。
円を描くように回し蹴りを大きく放った。
そう、回し蹴りで首を狩るのだ。
「食らええええ!【絶対領域刀右回し蹴り】!」
――ブワァアアアアアン。
刃物と化した二十メートルの【黒い領域】が牛巨人の首を振り抜いた。
ザァンッッ!!
『ガッ……!?』
俺はそのまま後ろに倒れ込みながら、大きな牛頭が飛んで行くのがスローモーションのように視界に映った。
「うぉおおお!!」
アドレナリンが噴出した。
が、ひっくり返りそうなので領域を戻し展開させる。
大きな領域が風を包んでフワッと地上に着地した。
巨人は大地に立ったまま、失った首先から青い血を盛大に吹き出すと、崩れ去る前に魔石になった。
大きな魔石が胸の位置から落下する。
俺は黒い領域の手を広げ、青い魔石をキャッチした。
「うぉおおおおおおおおお!!!」
「やりやがったあああああああああ!!」
「よっしゃああああああああああ!!」
大地が震えるような大歓声が迷宮周辺から巻き起こった。
応援ありがとうございます!
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