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4章 凱旋と旅
20話 王都への帰還 1
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「おはよう、アリエール」
「……おはよう、ケルビン、もう朝なの、ふぁー。なんかあんまり寝た気がしないわね」
異様に鋭いなアリエール。
「そうか、まだ疲れてるかもな」
心配そうな顔をしてアリエールにキスをした。
「そうかもしれないわね」
両腕を上げて伸ばしながらアリエールが体を確かめるようにほぐしていった。
実際には時間を止めていたこともあり彼女は5時間くらいしか寝てないのだ。確かに少し足りてない。
夜遊びしたおかげで俺も睡眠不足だ。今日はのんびりしたいところだな。
「で、そこにいる金髪の女の人はどっから拾ってきたの、ケルビン」
俺のとなりに寝ているブルネタリアを見て呆れたようにアリエールが言った。
拾ってきた、か……隠そうか迷ったが、やましい事はないので堂々とすることにしたのだ。
「この人は俺の先生だ」
「先生? 何の先生よ?」
怪訝な顔をするアリエール。
「体術の師匠なんだ」
嘘は言っていない。ただ、夜の体術だけだが。
「体術ねぇ、物は言いようだけど、どうせ娼館から連れて来たんでしょ」
「えっ何で分かった!?」
一瞬で見破られたことに驚いて、俺はアリエールを凝視した。
「何だ、本当にそうなんだ。分かりやすいわねケルビンは……どうするのよ、また嫁が増えちゃうの?」
なんだ、カマかけか……見事に引っかかったな、どうせ話すつもりだったからちょうどいいけど。
「いや、お妾さんにして俺専用のメイドでもやってもらおうかなと思ってるんだ」
「お妾さんで専用メイドねぇ、まぁいいわ、結局嫁と一緒じゃない。ほらお妾さん、起きてるんでしょ、きちんと正妻に紹介してちょうだい」
アリエールが言うとブルネタリアがビクっとして恐る恐る起き上がり立ち上がった。やはり起きて聞いていたようだ。俺がブルネタリアを紹介しようとした。
――コンコンッ、バタン。
「おはようございます。ケルビン様、アリエール様、あれ?」
モニカとセリーとマニエルがやってきた。三人はよく眠れたらしく元気いっぱいの笑顔を見せたが初めて見た金髪の美女に不思議そうな顔をした。
ちょうどいいので皆に紹介する。
「やあおはよう、皆。紹介しよう。俺のお妾さんでブルネタリアだ。仲良くしてやってくれ」
「ブルネタリアです。よろしくお願いします」
本名、ブルネタリアが深々と頭を下げた。
アリエールが当然のように受け入れた事もあり、セリーもモニカも普通に受け入れてくれたようだ。
問題なくなごやかに挨拶をして、下へ降りて朝食を食べた。
テーブルに座り朝食セットを食べる。
この宿は都度注文でその場でお金を払うため、一人増えても問題なかった。
一食4ドロルで小さな茶色パン二つと野菜スープだけの質素な物だったが、それなりに腹は膨れたので宿を出た。
外は日差しの強い、いい天気だった。
昨日は夜だったので気にしなかったが、よく見るとブルネタリアは粗末な布の服だった。靴も古くかなりぼろい。
店の衣装は貸衣装だったようで自分の服は部屋着くらいしかないようだ。
これは服が必要だろう。
「よし、ブルネタリア、まず服を買いに行こう。一応冒険者登録もしてもらうつもりだが、得意な武器とかあるのか」
「ありがとうございます。Fランクですけど登録証はありますよ、あと武器ですが、子供の頃父に鍛えられたのでレイピアなら使えるかもしれません」
以前登録していたようだ。
「おおっレイピアか、似合いそうだな」
さっそく近くの武器屋へ行った。
適当に装備を整えていく。
レイピアは初心者では使う人があまりいない、珍しい武器なので少し高めの物しかなかった。
剣士のレイピア(Dランク上位) 一万ドロル、軽戦士のレザースーツ(Dランク標準) 三千ドロル 小型バックラー ニ千ドロル 軽革のブーツ等で一式揃えた。
フル装備になったブルネタリアが大喜びだ。
「こんないい装備を揃えてもらってありがとうございます」
「うん、いいじゃないか。良く似合うぞ」
身長も167cm位あるのでかっこいい。
ちゃんとした女剣士のようだ。
これで皆E、Dランク冒険者に見えるだろう。
俺だけいつもFランクに見られるので、ブルネタリアとお揃いの軽戦士のレザースーツと小型バックラー、剣士のレイピアを買って装備した。(普段着のファッションとして)
これなら舐められないだろう。
服屋にも寄ってそれなりの服を見繕った。雑貨屋にも寄り必要な物を揃える。
女が五人もいるので楽しそうにキャッキャしていた。
すぐに皆仲良くなったようだ。
買い物も済んだのでジュールの町から出発する。
【絶対領域】の中に入っての移動は早く安全だが消費が激しい。
疲れるので、普通に馬で移動する事にした。
騎馬隊が乗っていた馬を三頭出す。
セリーだけは乗馬経験が無いのでマニエルの後ろに乗ることにした。
ブルネタリアもモニカも馬に乗れるらしい。ちなみに俺も一人では乗ったことがない。
「素晴らしい馬ですね。乗馬はもう十年ぶりだけど、体が覚えているものね」
ブルネタリアが楽しそうに馬を操る。
流石、騎士の元兵士長の娘だっただけの事はある。しっかり教育を受けているようだ。貴族の近くで育った分一番素養が高いかもしれない。
別の意味でも掘り出し物かもしれないな。
モニカも冒険者ギルドで乗馬の教育を受けていたようで、結構上手い。
マニエルも田舎で馬に乗っていたらしく自己流だがスムーズだった。
俺達はもちろんユニコに乗り四頭でジュールの町を出た。
天気もいいし、街道には他の旅人も沢山いた。急いでいるわけでもないのでのんびりと走る。
「こんな朝から馬に乗って旅するなんて、昨日の夜まで考えても見なかったわ」
自由を感じているのだろう。ブルネタリアが嬉しそうにはしゃいでいる。
「そうだろうな」
なんせ昨日まで娼館で働いていたのだ。町から出られる訳がない。
10年も娼館に住んでいたのだ。そう考えるとすごい事だよな。
「これからは何でも自由なんだぞ、ブルネタリア」
「ええ、本当感謝してます。ご主人様」
嬉しそうに微笑むブルネタリアの、金色の長い髪が馬上でキラキラと輝いていた。
「……おはよう、ケルビン、もう朝なの、ふぁー。なんかあんまり寝た気がしないわね」
異様に鋭いなアリエール。
「そうか、まだ疲れてるかもな」
心配そうな顔をしてアリエールにキスをした。
「そうかもしれないわね」
両腕を上げて伸ばしながらアリエールが体を確かめるようにほぐしていった。
実際には時間を止めていたこともあり彼女は5時間くらいしか寝てないのだ。確かに少し足りてない。
夜遊びしたおかげで俺も睡眠不足だ。今日はのんびりしたいところだな。
「で、そこにいる金髪の女の人はどっから拾ってきたの、ケルビン」
俺のとなりに寝ているブルネタリアを見て呆れたようにアリエールが言った。
拾ってきた、か……隠そうか迷ったが、やましい事はないので堂々とすることにしたのだ。
「この人は俺の先生だ」
「先生? 何の先生よ?」
怪訝な顔をするアリエール。
「体術の師匠なんだ」
嘘は言っていない。ただ、夜の体術だけだが。
「体術ねぇ、物は言いようだけど、どうせ娼館から連れて来たんでしょ」
「えっ何で分かった!?」
一瞬で見破られたことに驚いて、俺はアリエールを凝視した。
「何だ、本当にそうなんだ。分かりやすいわねケルビンは……どうするのよ、また嫁が増えちゃうの?」
なんだ、カマかけか……見事に引っかかったな、どうせ話すつもりだったからちょうどいいけど。
「いや、お妾さんにして俺専用のメイドでもやってもらおうかなと思ってるんだ」
「お妾さんで専用メイドねぇ、まぁいいわ、結局嫁と一緒じゃない。ほらお妾さん、起きてるんでしょ、きちんと正妻に紹介してちょうだい」
アリエールが言うとブルネタリアがビクっとして恐る恐る起き上がり立ち上がった。やはり起きて聞いていたようだ。俺がブルネタリアを紹介しようとした。
――コンコンッ、バタン。
「おはようございます。ケルビン様、アリエール様、あれ?」
モニカとセリーとマニエルがやってきた。三人はよく眠れたらしく元気いっぱいの笑顔を見せたが初めて見た金髪の美女に不思議そうな顔をした。
ちょうどいいので皆に紹介する。
「やあおはよう、皆。紹介しよう。俺のお妾さんでブルネタリアだ。仲良くしてやってくれ」
「ブルネタリアです。よろしくお願いします」
本名、ブルネタリアが深々と頭を下げた。
アリエールが当然のように受け入れた事もあり、セリーもモニカも普通に受け入れてくれたようだ。
問題なくなごやかに挨拶をして、下へ降りて朝食を食べた。
テーブルに座り朝食セットを食べる。
この宿は都度注文でその場でお金を払うため、一人増えても問題なかった。
一食4ドロルで小さな茶色パン二つと野菜スープだけの質素な物だったが、それなりに腹は膨れたので宿を出た。
外は日差しの強い、いい天気だった。
昨日は夜だったので気にしなかったが、よく見るとブルネタリアは粗末な布の服だった。靴も古くかなりぼろい。
店の衣装は貸衣装だったようで自分の服は部屋着くらいしかないようだ。
これは服が必要だろう。
「よし、ブルネタリア、まず服を買いに行こう。一応冒険者登録もしてもらうつもりだが、得意な武器とかあるのか」
「ありがとうございます。Fランクですけど登録証はありますよ、あと武器ですが、子供の頃父に鍛えられたのでレイピアなら使えるかもしれません」
以前登録していたようだ。
「おおっレイピアか、似合いそうだな」
さっそく近くの武器屋へ行った。
適当に装備を整えていく。
レイピアは初心者では使う人があまりいない、珍しい武器なので少し高めの物しかなかった。
剣士のレイピア(Dランク上位) 一万ドロル、軽戦士のレザースーツ(Dランク標準) 三千ドロル 小型バックラー ニ千ドロル 軽革のブーツ等で一式揃えた。
フル装備になったブルネタリアが大喜びだ。
「こんないい装備を揃えてもらってありがとうございます」
「うん、いいじゃないか。良く似合うぞ」
身長も167cm位あるのでかっこいい。
ちゃんとした女剣士のようだ。
これで皆E、Dランク冒険者に見えるだろう。
俺だけいつもFランクに見られるので、ブルネタリアとお揃いの軽戦士のレザースーツと小型バックラー、剣士のレイピアを買って装備した。(普段着のファッションとして)
これなら舐められないだろう。
服屋にも寄ってそれなりの服を見繕った。雑貨屋にも寄り必要な物を揃える。
女が五人もいるので楽しそうにキャッキャしていた。
すぐに皆仲良くなったようだ。
買い物も済んだのでジュールの町から出発する。
【絶対領域】の中に入っての移動は早く安全だが消費が激しい。
疲れるので、普通に馬で移動する事にした。
騎馬隊が乗っていた馬を三頭出す。
セリーだけは乗馬経験が無いのでマニエルの後ろに乗ることにした。
ブルネタリアもモニカも馬に乗れるらしい。ちなみに俺も一人では乗ったことがない。
「素晴らしい馬ですね。乗馬はもう十年ぶりだけど、体が覚えているものね」
ブルネタリアが楽しそうに馬を操る。
流石、騎士の元兵士長の娘だっただけの事はある。しっかり教育を受けているようだ。貴族の近くで育った分一番素養が高いかもしれない。
別の意味でも掘り出し物かもしれないな。
モニカも冒険者ギルドで乗馬の教育を受けていたようで、結構上手い。
マニエルも田舎で馬に乗っていたらしく自己流だがスムーズだった。
俺達はもちろんユニコに乗り四頭でジュールの町を出た。
天気もいいし、街道には他の旅人も沢山いた。急いでいるわけでもないのでのんびりと走る。
「こんな朝から馬に乗って旅するなんて、昨日の夜まで考えても見なかったわ」
自由を感じているのだろう。ブルネタリアが嬉しそうにはしゃいでいる。
「そうだろうな」
なんせ昨日まで娼館で働いていたのだ。町から出られる訳がない。
10年も娼館に住んでいたのだ。そう考えるとすごい事だよな。
「これからは何でも自由なんだぞ、ブルネタリア」
「ええ、本当感謝してます。ご主人様」
嬉しそうに微笑むブルネタリアの、金色の長い髪が馬上でキラキラと輝いていた。
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