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4章 凱旋と旅
26話 シルバーニュ城の攻防戦
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城から煙が上がっているのがハッキリと見えた。
「まさか城まで襲われてるのか!?」
『そのようですね、城門前まで敵が囲んでいるようです。あっあそこに団長とクローさん達がいるようです。辛うじて城門はまだ死守しているようですが……』
上空から確認すると、城の最後の守りである高く囲われた城壁は全方位、圧倒的な数の敵の軍勢に囲まれていた。
その城壁を守るように騎士団や宮廷魔導師団、兵士達が上から攻撃を放っている。
しかし敵も魔法弾を数発放ち、城門からは煙が上がっているようだ。
まさかここまで敵が進軍しているとは予想外だな。
だが不思議な事に城の周りは軍勢がいるのだが、王都の周りには敵らしい軍勢がいない。
それどころか平民街はまるで平和そのものだ。
なんだこれ!? 一体何がどうなってるんだ。
急に王城周辺に敵がワープしてきたとしか考えられない。
そんな事が起こるのだろうか。
うーん……俺なら出来るな。
もしかしたら似たような能力者がいるのかもしれないな。
しかも敵が多い事……これはもはや最後の戦いみたいだぞ。
「どうするんだタンドリー、えらく敵が多いじゃないか」
『ええ、全く信じられません。敵はブロンドルク王国軍に……帝国軍までいるようです。まさか帝国と二王国から我が王国が攻撃を受けるとは……ギンカラー公爵も内通しているとあってはもはや、なすすべはないでしょう』
明らかに巨大な敵の戦力を見てがっくりと気落ちしたタンドリー、しかし言葉とはうらはらにその体はシルバーニュ城に向かって飛び続ける。
「なすすべが無いのに一体どこへ行くんだよ」
『ケルビン殿、腐っても私はシルバンブルグ王国を守る副騎士団長です、例え負けると分かっていても逃げ出す事はできません』
俺にそう言ったタンドリーの顔は悲しそうな表情に見えた。
本当は鳥だから表情は良く分からない。だが、タンドリーの気持ちは良く分かった。
そうか、まぁそうだよな。
国が滅びそうなのに自分だけ逃げるわけにはいかないか。
男だな、タンドリー。
見た目は完全に鳥だけど。
ああ、鳥だから男じゃないくて雄か……。
ふぅ、それにしても騎士、かぁ。
俺もシルバンデルク王国の騎士なのか……。
騎士とは国を守る者。
そう思うと不思議と覚悟が出来た気がした。
「悪いな皆、俺もタンドリーと同じくシルバンデルクの騎士だ。これより城を守る戦いに入る。命がけの戦いになるだろう。面倒を見ている余裕がない。しばらく皆の時間を止めておく」
そう宣言すると皆が俺の顔をみた。
「私は一緒に戦うわよ」
アリエールが強い意志を持った瞳で、当然のように俺を見る。
「ああ、もちろんそのつもりだアリエール。頼りにしている」
そう言って手を肩に置くと嬉しそうに笑顔を見せた。
「ごめんね、ケルビン、確かにあたし達は役に立ちそうもないわ。頑張ってね」
セリーが俺に抱き着いた。小さな体を抱きしめてキスをする。
「うん、ケルビンなら大丈夫よ。何と言ってもSランク冒険者なんだから。後で必ず話を聞かせてね」
そう話す泣きそうなモニカをぎゅっと抱きしめてキスをした。
「ケルビン様……うん、頑張ってね」
もう泣いているブルネタリアを抱きしめてキスをする。
「ケルビン様、信じてます。頑張ってください」
マニエルが赤い目をしながらもビシっと敬礼する。
「うん、ありがとうマニエル。頑張るよ」
四人を見渡してうなずいたあと、時間を止め砂粒にして収納した。
アリエールは女神のフル装備。俺は銀龍のフル装備に着替えをした。
『ケルビン殿、アリエール殿、ありがとうございます』
「礼を言うのはまだ早いなタンドリー。俺達は全く負ける気はないし負ける気もしない。勝った暁には褒美ははずんでもらうぞ」
「そうよ、タンドリー。そうなったらケルビンがこの国の王ね」
アリエールが大きく出た。まぁタンドリーに行ってもしょうがないが。
『はははっ王ですか、そうですね。確かにそれくらいの褒美がなければこの危機は抑えられないでしょう。負ければどうせ国はないのです。開き直って頑張りましょう』
「よし、タンドリーこのまま正面上空に行ってくれ! 俺達は上から落下して敵を全部刈り取ってやる」
『ラジャー!』
タンドリーが羽ばたいて舞い上がり、城の遥か上空まで高く上った。
上から見ると状況が良く分かる。正面門には敵だらけだ。
「ではタンドリー、後で会おう」
『はい、お気をつけて!』
「おう!」
俺はタンドリーの首から黒い手を離した。
「まさか城まで襲われてるのか!?」
『そのようですね、城門前まで敵が囲んでいるようです。あっあそこに団長とクローさん達がいるようです。辛うじて城門はまだ死守しているようですが……』
上空から確認すると、城の最後の守りである高く囲われた城壁は全方位、圧倒的な数の敵の軍勢に囲まれていた。
その城壁を守るように騎士団や宮廷魔導師団、兵士達が上から攻撃を放っている。
しかし敵も魔法弾を数発放ち、城門からは煙が上がっているようだ。
まさかここまで敵が進軍しているとは予想外だな。
だが不思議な事に城の周りは軍勢がいるのだが、王都の周りには敵らしい軍勢がいない。
それどころか平民街はまるで平和そのものだ。
なんだこれ!? 一体何がどうなってるんだ。
急に王城周辺に敵がワープしてきたとしか考えられない。
そんな事が起こるのだろうか。
うーん……俺なら出来るな。
もしかしたら似たような能力者がいるのかもしれないな。
しかも敵が多い事……これはもはや最後の戦いみたいだぞ。
「どうするんだタンドリー、えらく敵が多いじゃないか」
『ええ、全く信じられません。敵はブロンドルク王国軍に……帝国軍までいるようです。まさか帝国と二王国から我が王国が攻撃を受けるとは……ギンカラー公爵も内通しているとあってはもはや、なすすべはないでしょう』
明らかに巨大な敵の戦力を見てがっくりと気落ちしたタンドリー、しかし言葉とはうらはらにその体はシルバーニュ城に向かって飛び続ける。
「なすすべが無いのに一体どこへ行くんだよ」
『ケルビン殿、腐っても私はシルバンブルグ王国を守る副騎士団長です、例え負けると分かっていても逃げ出す事はできません』
俺にそう言ったタンドリーの顔は悲しそうな表情に見えた。
本当は鳥だから表情は良く分からない。だが、タンドリーの気持ちは良く分かった。
そうか、まぁそうだよな。
国が滅びそうなのに自分だけ逃げるわけにはいかないか。
男だな、タンドリー。
見た目は完全に鳥だけど。
ああ、鳥だから男じゃないくて雄か……。
ふぅ、それにしても騎士、かぁ。
俺もシルバンデルク王国の騎士なのか……。
騎士とは国を守る者。
そう思うと不思議と覚悟が出来た気がした。
「悪いな皆、俺もタンドリーと同じくシルバンデルクの騎士だ。これより城を守る戦いに入る。命がけの戦いになるだろう。面倒を見ている余裕がない。しばらく皆の時間を止めておく」
そう宣言すると皆が俺の顔をみた。
「私は一緒に戦うわよ」
アリエールが強い意志を持った瞳で、当然のように俺を見る。
「ああ、もちろんそのつもりだアリエール。頼りにしている」
そう言って手を肩に置くと嬉しそうに笑顔を見せた。
「ごめんね、ケルビン、確かにあたし達は役に立ちそうもないわ。頑張ってね」
セリーが俺に抱き着いた。小さな体を抱きしめてキスをする。
「うん、ケルビンなら大丈夫よ。何と言ってもSランク冒険者なんだから。後で必ず話を聞かせてね」
そう話す泣きそうなモニカをぎゅっと抱きしめてキスをした。
「ケルビン様……うん、頑張ってね」
もう泣いているブルネタリアを抱きしめてキスをする。
「ケルビン様、信じてます。頑張ってください」
マニエルが赤い目をしながらもビシっと敬礼する。
「うん、ありがとうマニエル。頑張るよ」
四人を見渡してうなずいたあと、時間を止め砂粒にして収納した。
アリエールは女神のフル装備。俺は銀龍のフル装備に着替えをした。
『ケルビン殿、アリエール殿、ありがとうございます』
「礼を言うのはまだ早いなタンドリー。俺達は全く負ける気はないし負ける気もしない。勝った暁には褒美ははずんでもらうぞ」
「そうよ、タンドリー。そうなったらケルビンがこの国の王ね」
アリエールが大きく出た。まぁタンドリーに行ってもしょうがないが。
『はははっ王ですか、そうですね。確かにそれくらいの褒美がなければこの危機は抑えられないでしょう。負ければどうせ国はないのです。開き直って頑張りましょう』
「よし、タンドリーこのまま正面上空に行ってくれ! 俺達は上から落下して敵を全部刈り取ってやる」
『ラジャー!』
タンドリーが羽ばたいて舞い上がり、城の遥か上空まで高く上った。
上から見ると状況が良く分かる。正面門には敵だらけだ。
「ではタンドリー、後で会おう」
『はい、お気をつけて!』
「おう!」
俺はタンドリーの首から黒い手を離した。
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