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5章 迷宮の謎
7話 迷宮10階 攻略開始 試しの門
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ぐっすりと寝て朝起きた。
起きあがり、両手を伸ばす。
「おはよう、さあ、今日もがんばるか!」
「おはよう、よく寝てたわね」
窓を見ているアリエールの隣に立ち、外を覗くと夜だった。
「あれっ? まだ夜なのか、うんっ? 時間は朝だけど何だこりゃ」
「不思議よね、この町はずっとこうなんだって」
そう言えばここは迷宮だった。太陽が昇るわけではないので、ここはいつでも宵の口なのだ。
なんだか不思議な感じがするが、そう言うもんだ。と思うしかない。
朝食をさっと済ませて、次の攻略に向かうことにする。
ギルドから外に出ると、まるで自然のような空が広がっているがあくまで迷宮内なのだ。
当たり前だが、この町も初めからあったわけでは無く、迷宮冒険者ギルドが少しずつ町を建設したらしい。魔物除けの魔道具をふんだんに配置した城壁で囲いこの町を守っているそうだ。
城壁を超えれば容赦なく敵が襲ってくるようだ。
その城壁の上から外を見渡すと、草原の先には大きな洞窟のような入口がある。あそこからさらに地下へと進めるようだ。
ではさっそく行くとしよう。
「ご武運を!」
「おう、ご苦労さん」
門を守る兵士達ににこやかに挨拶をすると、ファーストの町壁をくぐって草原に見える洞窟に向かう。
もちろん歩くには距離があるのでユニコに乗って移動する。
見た目は夜なのであたりは薄暗いが、地平線上には僅かに日の光が残っている感じなので、見えない事はない。
もし敵が襲ってきたとしても【絶対領域】の薄い膜で覆っているので、足元さえ見えれば大丈夫だろう。
と、思っていたのだがアリエールがローブから白い杖を出して呪文を唱える。
「光の案内!」
杖先からフワリとした光球が現れて周りを優しい光が照らしだした。
「おお、こりゃあ明るいな」
これなら足元が良く見える。
敵からもこちらが良く見えてしまうだろうが、見えても問題ないのでありがたい。
「ふふ、どうかしら」
少し自慢気に俺を見るアリエール。
褒めて欲しいと顔が言っていた。
「おお、やっぱりアリエールは役に立つな」
「でしょ、私も少しはやるのよ、ケルビンほどじゃないけどね」
嬉しそうに笑うエルフのおっぱいを揉んで、ユニコを駆け足で走らせた。
しかし、やはり敵に見つかったようだ。
光に引き寄せられるように、魔物が続々と集まって来た。
赤い魔物が見えたと思ったら、突如、炎の弾丸が飛んできて黒い領域にぶち当たった。
――ズガーン!
領域の外が赤い炎に包まれて消えた。
もちろんノーダメージだが、囲まれているようでドンドン四方から炎が飛んで来た。
―――ズガーン! ズガーン! ズガーン!
結構な砲撃だ。
10メートル程離れた場所から10匹位の火トカゲが炎を吐きまくってくる。
領域が無ければ結構きつそうだな。
その間もユニコで移動をしているが、どんどん増える火トカゲが一定の距離を保ちながら遠距離攻撃を続けてくる。
ちょっとうざいな。
「どうする、ケルビン。魔法で打ったほうがいいかしら」
アリエールが振り向き杖を見せる。
「いや、いいや」
俺は薄く周りに張ってある【絶対領域】の一部を伸ばす。
長いロープ状の、黒い鞭のような物を出して、ぐるんと一周振り回すと、一瞬にして静かになった。
周りを囲んでいた火トカゲを、全て黒い領域の鞭に触れるさせることで、吸い込んで回収したのだ。
「ふふふ、流石ね、ケルビン」
「ああ、回収しただけでまだ倒してはないけどな」
【黒い領域】の中では何でも俺の自由になる。
領域に入れた物を殺す事も可能なのだが、砂粒のように小さくした奴らは時間を止めておけば害がないので、とりあえずそのままにしておいた。
改めてこの能力の凄さを実感する。
まさに神の力だな。
神様ありがとう。
チート神に祈りをささげて洞窟の前まで移動した。
地下11階へと降りる洞窟の入口前には、大きな門が建っている。
ユニコへ乗ったまま大門の前まで近づいていく。
ゲートのようにくぐって通過するタイプの門が、4つ綺麗に並んでいた。
「ここが、試しの門らしいわね」
すでにガイドブックに目を通しているアリエールが意味ありげに俺を見る。
「へー、何かあるんだな」
「うん、階層を突破できる実力があるか、ここで試されるらしいのよ」
「ほう、面白そうだな」
「そうね」
アリエールは内容を知っているみたいだが、ニヤニヤしてるだけで何も言わない。
知らないほうが楽しいからだ。
最初は高さ3メートル、横幅4メートル、奥行き5メートルほどの赤いブロックで出来たようなトンネルのような門だった。
扉はなく、左右にある太い柱にはそれぞれ焦げたような跡がある。
「ふつうは守護者がいそうなもんだけど、そのまま行っていいのかな?」
「そうねぇ、敵の気配は感じないわね」
なぜか嬉しそうなアリエール。
「やっぱり何かあるのかな」
「気配はないんだけど、何かあるような感じよね」
何かある、と言うだけで何も言わないハイエルフ。俺の反応を見て完全に遊んでいる。
辺りに漂う異様な雰囲気に警戒しながらも、何も出てこないので進んで行くことにした。
赤い大門に近づいて、門をくぐろうとした瞬間。
―――ゴゴゴォオオオ!
左右の門と天井、足元から猛烈な炎の壁が吹き上げた。
炎が一瞬にして周りを塞いだのだ。
「うおっと!? あちゃちゃちゃ!」
「わっ!? 熱っ! びっくりしたぁ!」
『ヒヒーン! 』
黒い領域の障壁に炎が当たって左右と上側は防いだものの、下から吹き上げた炎はそのまま中に入ってしまった。
ユニコが驚き、すぐ後ろに下がったから良かったものの、まともに食らっていたら大ダメージだ。
障壁は下側には張れないので(張ると歩けない)のでどうしても下からの攻撃に弱いのだ。
「危なかったな。大丈夫だったか?」
「ええ、そう言えばガイドブックに、炎に注意って書いてあったわ。ちょっと油断してたわね」
アリエールが照れたように可愛く舌を出す。
いや、お前知ってただろ。
が、それはひとまず置いておいて、俺達はユニコを元に戻した。
流石にここからはユニコに乗ったままでは厳しいだろう。
「よし、じゃあちょっと慎重に行くか」
「ええ、そうね」
俺は右手から黒い絶対領域を出すと、アリエールと自身に触れて体を小さくして領域内に入る。
ソフトボール大になった領域から黒い長い足を伸ばして門をサクッと通過する。
さっきと同様に猛烈な炎の壁が襲ってくるが、領域内には影響しない。
なぜなら影響しないようにと、俺が思っているからだ。
起きあがり、両手を伸ばす。
「おはよう、さあ、今日もがんばるか!」
「おはよう、よく寝てたわね」
窓を見ているアリエールの隣に立ち、外を覗くと夜だった。
「あれっ? まだ夜なのか、うんっ? 時間は朝だけど何だこりゃ」
「不思議よね、この町はずっとこうなんだって」
そう言えばここは迷宮だった。太陽が昇るわけではないので、ここはいつでも宵の口なのだ。
なんだか不思議な感じがするが、そう言うもんだ。と思うしかない。
朝食をさっと済ませて、次の攻略に向かうことにする。
ギルドから外に出ると、まるで自然のような空が広がっているがあくまで迷宮内なのだ。
当たり前だが、この町も初めからあったわけでは無く、迷宮冒険者ギルドが少しずつ町を建設したらしい。魔物除けの魔道具をふんだんに配置した城壁で囲いこの町を守っているそうだ。
城壁を超えれば容赦なく敵が襲ってくるようだ。
その城壁の上から外を見渡すと、草原の先には大きな洞窟のような入口がある。あそこからさらに地下へと進めるようだ。
ではさっそく行くとしよう。
「ご武運を!」
「おう、ご苦労さん」
門を守る兵士達ににこやかに挨拶をすると、ファーストの町壁をくぐって草原に見える洞窟に向かう。
もちろん歩くには距離があるのでユニコに乗って移動する。
見た目は夜なのであたりは薄暗いが、地平線上には僅かに日の光が残っている感じなので、見えない事はない。
もし敵が襲ってきたとしても【絶対領域】の薄い膜で覆っているので、足元さえ見えれば大丈夫だろう。
と、思っていたのだがアリエールがローブから白い杖を出して呪文を唱える。
「光の案内!」
杖先からフワリとした光球が現れて周りを優しい光が照らしだした。
「おお、こりゃあ明るいな」
これなら足元が良く見える。
敵からもこちらが良く見えてしまうだろうが、見えても問題ないのでありがたい。
「ふふ、どうかしら」
少し自慢気に俺を見るアリエール。
褒めて欲しいと顔が言っていた。
「おお、やっぱりアリエールは役に立つな」
「でしょ、私も少しはやるのよ、ケルビンほどじゃないけどね」
嬉しそうに笑うエルフのおっぱいを揉んで、ユニコを駆け足で走らせた。
しかし、やはり敵に見つかったようだ。
光に引き寄せられるように、魔物が続々と集まって来た。
赤い魔物が見えたと思ったら、突如、炎の弾丸が飛んできて黒い領域にぶち当たった。
――ズガーン!
領域の外が赤い炎に包まれて消えた。
もちろんノーダメージだが、囲まれているようでドンドン四方から炎が飛んで来た。
―――ズガーン! ズガーン! ズガーン!
結構な砲撃だ。
10メートル程離れた場所から10匹位の火トカゲが炎を吐きまくってくる。
領域が無ければ結構きつそうだな。
その間もユニコで移動をしているが、どんどん増える火トカゲが一定の距離を保ちながら遠距離攻撃を続けてくる。
ちょっとうざいな。
「どうする、ケルビン。魔法で打ったほうがいいかしら」
アリエールが振り向き杖を見せる。
「いや、いいや」
俺は薄く周りに張ってある【絶対領域】の一部を伸ばす。
長いロープ状の、黒い鞭のような物を出して、ぐるんと一周振り回すと、一瞬にして静かになった。
周りを囲んでいた火トカゲを、全て黒い領域の鞭に触れるさせることで、吸い込んで回収したのだ。
「ふふふ、流石ね、ケルビン」
「ああ、回収しただけでまだ倒してはないけどな」
【黒い領域】の中では何でも俺の自由になる。
領域に入れた物を殺す事も可能なのだが、砂粒のように小さくした奴らは時間を止めておけば害がないので、とりあえずそのままにしておいた。
改めてこの能力の凄さを実感する。
まさに神の力だな。
神様ありがとう。
チート神に祈りをささげて洞窟の前まで移動した。
地下11階へと降りる洞窟の入口前には、大きな門が建っている。
ユニコへ乗ったまま大門の前まで近づいていく。
ゲートのようにくぐって通過するタイプの門が、4つ綺麗に並んでいた。
「ここが、試しの門らしいわね」
すでにガイドブックに目を通しているアリエールが意味ありげに俺を見る。
「へー、何かあるんだな」
「うん、階層を突破できる実力があるか、ここで試されるらしいのよ」
「ほう、面白そうだな」
「そうね」
アリエールは内容を知っているみたいだが、ニヤニヤしてるだけで何も言わない。
知らないほうが楽しいからだ。
最初は高さ3メートル、横幅4メートル、奥行き5メートルほどの赤いブロックで出来たようなトンネルのような門だった。
扉はなく、左右にある太い柱にはそれぞれ焦げたような跡がある。
「ふつうは守護者がいそうなもんだけど、そのまま行っていいのかな?」
「そうねぇ、敵の気配は感じないわね」
なぜか嬉しそうなアリエール。
「やっぱり何かあるのかな」
「気配はないんだけど、何かあるような感じよね」
何かある、と言うだけで何も言わないハイエルフ。俺の反応を見て完全に遊んでいる。
辺りに漂う異様な雰囲気に警戒しながらも、何も出てこないので進んで行くことにした。
赤い大門に近づいて、門をくぐろうとした瞬間。
―――ゴゴゴォオオオ!
左右の門と天井、足元から猛烈な炎の壁が吹き上げた。
炎が一瞬にして周りを塞いだのだ。
「うおっと!? あちゃちゃちゃ!」
「わっ!? 熱っ! びっくりしたぁ!」
『ヒヒーン! 』
黒い領域の障壁に炎が当たって左右と上側は防いだものの、下から吹き上げた炎はそのまま中に入ってしまった。
ユニコが驚き、すぐ後ろに下がったから良かったものの、まともに食らっていたら大ダメージだ。
障壁は下側には張れないので(張ると歩けない)のでどうしても下からの攻撃に弱いのだ。
「危なかったな。大丈夫だったか?」
「ええ、そう言えばガイドブックに、炎に注意って書いてあったわ。ちょっと油断してたわね」
アリエールが照れたように可愛く舌を出す。
いや、お前知ってただろ。
が、それはひとまず置いておいて、俺達はユニコを元に戻した。
流石にここからはユニコに乗ったままでは厳しいだろう。
「よし、じゃあちょっと慎重に行くか」
「ええ、そうね」
俺は右手から黒い絶対領域を出すと、アリエールと自身に触れて体を小さくして領域内に入る。
ソフトボール大になった領域から黒い長い足を伸ばして門をサクッと通過する。
さっきと同様に猛烈な炎の壁が襲ってくるが、領域内には影響しない。
なぜなら影響しないようにと、俺が思っているからだ。
応援ありがとうございます!
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