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49.断罪式の終わり
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「まだ何か言いたいことはあるか?」
頭を撫でていた神官さまが聞いてきた。
「うぅん、もう十分。特に思うこともないし」
虐げられた恨みも、不思議と感じていない。
あの女性を見ても身体が竦むということがなかった。
トラウマにでもなっていて、顔を見ただけでどうにかなっちゃうのかな?って自分でも心配していたのに。
これも癒しの魔力とやらのおかげなの?
だけどあの小屋を出たあの夜は、身体がボロボロだったように思い出す。
栄養失調は魔力ではどうにもならなかったということだろうか。
あるいはずっとあの小屋に籠っていたせいで、単なる運動不足だった?
思い返してみれば、痛みどころか、私はこの世界で飢えをよく覚えてはいなかった。
孤児院に来たばかりの頃の、あの味気ない具もない食事に不満を覚えたのは、間違いなく前世を思い出していたからで、前世のように美味しいものを食べたいという欲望に突き動かされ、皆を巻き込み動いていただけのように思う。(というか、私は口ばかり出していただけで、本当に何もしていない……いや、していた?)
魔力かぁ。
今回あの町を出て来るときに、実はほんのりとした変化を感じていた。
神官さまは私の魔力が周りに影響を与えないように、少しばかり制御をはじめていたと言っている。
その影響をね、嫌だけど感じてしまったのよ。
あの町の人たちは、私が思うほどに優しい人たちばかりではなかったのかもしれない。
悪人を善人にするような、そういう魔力ではないと言っていた。
だから私に悪意を向けて虐げようとする人たちをどうにも出来なかったんだろうって。
私が影響を与えてしまうのは、元から善意が強い人らしい。
だいたい多くの人は善意も悪意もどちらも併せ持っていて、日々心の中で葛藤しているものなのだと言っていた。
そこに私の魔力が影響すると、迷いなく善行を行えるようになるんだって。
でもそれは悪意を消すものではなく、身体が癒され軽くなったことで気分まで明るくなって、結果として善い方を選ぶようになっているだけ。
だから精神に作用する魔力というものではないと、神官さまは言い切った。
だけど私は今もこっそり疑っている。
それって本当かな?って。
この神官さまは大分お調子者だと思うけれど。
心を偽り優しい嘘を付ける大人だ。
孤児院の幼い子どもたち相手にもよく大人らしい嘘を付いていたし。
まだまだ私にも隠していることが沢山ある気がするんだよね。
町の人たちへの影響の話になると、少ーしだけ表情にも変化があって。
きっと何か大事なことを隠していると思うの。
それは私を傷付けないための優しい嘘なんじゃないかなぁ?
うん、絶対に神官さまに言うことはないけどね!
でもね、そんなに私を気遣うことはないんだ。
前世での私は、町の人たちが突然変わったあの感じと似たものを沢山受け取っていたからね。
まぁ、怖くはあるなぁ。
私がいないあの町は、今どうなっているんだろう?
だから少しだけ、帰るのが怖かったりもする。
お土産も受け取って貰えるかなぁ?
せめて幼い子たちだけでも何も変わらないでいて欲しい。
「そうか。特にないか。まぁ、そうだよな」
神官さまは、またひとしきり私の頭を撫でると、急に真顔になってそれから言った。
「謝罪さえ出来ない者たちに、釈明の機会はない。元より女神さまから有難き目をお借りしたあとに、お前たちは言い訳ひとつする権利をすでに失っている。罪の自白も、被害者や関係者への謝罪も、そして後悔と反省も、お前たちは目をお借りする前にすべきであった。罰は覆らない。魔力が戻ることも二度とない。せめてお前たちがこの世では命ある限り、そして女神さまの御許においても、己の行いを反省し、心から償う気持ちを持って罰を受けられることを祈っている。断罪式は以上だ。連れて行け」
頭を撫でていた神官さまが聞いてきた。
「うぅん、もう十分。特に思うこともないし」
虐げられた恨みも、不思議と感じていない。
あの女性を見ても身体が竦むということがなかった。
トラウマにでもなっていて、顔を見ただけでどうにかなっちゃうのかな?って自分でも心配していたのに。
これも癒しの魔力とやらのおかげなの?
だけどあの小屋を出たあの夜は、身体がボロボロだったように思い出す。
栄養失調は魔力ではどうにもならなかったということだろうか。
あるいはずっとあの小屋に籠っていたせいで、単なる運動不足だった?
思い返してみれば、痛みどころか、私はこの世界で飢えをよく覚えてはいなかった。
孤児院に来たばかりの頃の、あの味気ない具もない食事に不満を覚えたのは、間違いなく前世を思い出していたからで、前世のように美味しいものを食べたいという欲望に突き動かされ、皆を巻き込み動いていただけのように思う。(というか、私は口ばかり出していただけで、本当に何もしていない……いや、していた?)
魔力かぁ。
今回あの町を出て来るときに、実はほんのりとした変化を感じていた。
神官さまは私の魔力が周りに影響を与えないように、少しばかり制御をはじめていたと言っている。
その影響をね、嫌だけど感じてしまったのよ。
あの町の人たちは、私が思うほどに優しい人たちばかりではなかったのかもしれない。
悪人を善人にするような、そういう魔力ではないと言っていた。
だから私に悪意を向けて虐げようとする人たちをどうにも出来なかったんだろうって。
私が影響を与えてしまうのは、元から善意が強い人らしい。
だいたい多くの人は善意も悪意もどちらも併せ持っていて、日々心の中で葛藤しているものなのだと言っていた。
そこに私の魔力が影響すると、迷いなく善行を行えるようになるんだって。
でもそれは悪意を消すものではなく、身体が癒され軽くなったことで気分まで明るくなって、結果として善い方を選ぶようになっているだけ。
だから精神に作用する魔力というものではないと、神官さまは言い切った。
だけど私は今もこっそり疑っている。
それって本当かな?って。
この神官さまは大分お調子者だと思うけれど。
心を偽り優しい嘘を付ける大人だ。
孤児院の幼い子どもたち相手にもよく大人らしい嘘を付いていたし。
まだまだ私にも隠していることが沢山ある気がするんだよね。
町の人たちへの影響の話になると、少ーしだけ表情にも変化があって。
きっと何か大事なことを隠していると思うの。
それは私を傷付けないための優しい嘘なんじゃないかなぁ?
うん、絶対に神官さまに言うことはないけどね!
でもね、そんなに私を気遣うことはないんだ。
前世での私は、町の人たちが突然変わったあの感じと似たものを沢山受け取っていたからね。
まぁ、怖くはあるなぁ。
私がいないあの町は、今どうなっているんだろう?
だから少しだけ、帰るのが怖かったりもする。
お土産も受け取って貰えるかなぁ?
せめて幼い子たちだけでも何も変わらないでいて欲しい。
「そうか。特にないか。まぁ、そうだよな」
神官さまは、またひとしきり私の頭を撫でると、急に真顔になってそれから言った。
「謝罪さえ出来ない者たちに、釈明の機会はない。元より女神さまから有難き目をお借りしたあとに、お前たちは言い訳ひとつする権利をすでに失っている。罪の自白も、被害者や関係者への謝罪も、そして後悔と反省も、お前たちは目をお借りする前にすべきであった。罰は覆らない。魔力が戻ることも二度とない。せめてお前たちがこの世では命ある限り、そして女神さまの御許においても、己の行いを反省し、心から償う気持ちを持って罰を受けられることを祈っている。断罪式は以上だ。連れて行け」
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