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53.成り立たない会話
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「それをリリアは望んでいないのにか?」
肯定するため、わざとらしいほど頭を揺らしうんうんと頷いていた。
なのにこの王子さま、こちらを見ない!
「先から人の話を聞いているのか?望めないのは知らないからだと言ってるんだ。だいたい、子どもが望む、望まないによらず、子というものは魔力を学ぶものだろう?その学びを得られなかった貴族の子女がいるならば、それは王家で責任を持って代行すべきもので、私はそうすると言っているんだ。当たり前のことしか話していないつもりだが?先からそちらの主張の方がおかしいのではないか?その子どもからこの国の身分を剥奪し、神殿に連れ帰ろうと画策しているように受け取れるぞ?神殿でその子の魔力を独占したいのではないか?」
いや、人の話を聞かないのはあなたでしょうよ。
むっ?
もしかして神殿に取り込まれる未来もあるの?
「勘違いするな。神殿はどんな子もこちらの意思では引き取らないし、縁あって引き取った子どもから意思を奪い抱え込むようなこともない。私が問題視しているのは、リリアの意思を無視し、早急にことを進めることについて。今の様子を見る限りは、リリアを王家に預けることは出来ないと判断した」
んん?
神殿も子どもを引き取ることはあるのね?
これってつまり神官さまたちのことも警戒しないといけないってこと?
神官さまは将来は必ず私の意思で選べるようにするって言っていたのに。
もしかして上手く言いくるめられていた?
ささーっとお代わりのクッキーが差し出された。「大丈夫ですからね」って。
さっきまで爆笑していた人に優しい顔で言われましても。
えぇ、食べますけれど。
食べますとも。
美味しい。
「つまり、その子に考える時間を与えろということか?ならばまずは城へと同行して貰おう。城での暮らしを知って、ある程度経ってから意思を確認する時間を作ることにする。それでいいな?」
私がぶんぶんと首を振れば、神官さまが言ってくれた。
「リリアは城に行きたくないそうだぞ」
お城なんてとんでもない。
気楽に観光出来るなら行ってみたいけど、この世界ではそういう場所ではないのでしょう?
王さまに会って、ははーっと頭を下げる場所なんて誰が行きたいと思うんだろうね。
「ならばどうせよと言うのだ!この子はうちの貴族家の令嬢で、その貴族家が養育できないとなれば、王家が代わり、子どもを育てていく。そこに神殿が口を挟む余地はないはずだぞ!」
「神殿として国の問題に口を挟む気はない。だがリリアの意思を無視するというのなら話は変わる。子らが困ることのないよう支えることは、神殿の人間が女神さまから頂いた有難い使命のうちだからな」
「無視などしていないではないか!知らないのだから、まずは城での暮らしを体験させようと言っている!城に残るかどうかは、それから好きに選べばいい!」
お城に連れられたあとに、私が自分の意思を告げられる機会はもう来ないように感じた。
デンカさんの度重なる言葉から、私を孤児に戻す気なんてさらさらないように思えたし。
お城でのいい暮らしを体験したあとに、やっぱり孤児に戻りますねなんて言って、無事に済む予感はない。
恩を仇で返すのかーって怒られそうだよね。
さすがにいい暮らしをした分の費用を返せとまでは言われないと思うけれど、似たような話になっていくのでは?
…………このお菓子と紅茶は大丈夫だよね?
さっきの果実水とか町では見たことがないし結構お高いものなんじゃ。
いやいや、そうは言っても飲み物とお菓子だけ。
働けるようになればすぐに返せる貸しだよね?そうだよね、ね?
不安になってお菓子をくれた神官さまを見てみれば、微笑みが返ってくる。
「あなたとは分かり合えないようだ。あとは私が直接子どもと話そう。席を外してくれないか?」
「保護者代理としてそれは出来ない相談だな」
「くっ。ならばひととき黙って座っていてくれ。私が子どもと話す権利くらいはあるはずだ」
「保護者代理が断れば、その権利もなくなるがな」
「二重登録ならば、その子は貴族令嬢と見ることも出来よう!ならば彼女の保護者枠は今や空いた状態!王家を代表し、今これよりは私がその子の保護者代理を務めると宣言しよう!ならば何も言えないはずだな?」
せっかく美味しいものを食べてのんびりしていたのに。
デンカさんと話をしなければならないのか。
しかも保護者代理って……。
さっさと孤児院に帰った方が良さそうだけど。
この人が保護者代理を名乗り出たら、孤児院の先生たちに迷惑が掛かるよね?
「保護者代理とて、子どもの意思を無視することは許されないぞ」
「分かっている!もう十分に分かった!いいからその子と話をさせてくれ!」
王子さまは髪をかき上げる仕草をしてから、私に向き直った。
今さらそんな風に悠然と微笑まれてもねぇ。
大騒ぎを見た後だからなぁ。
「君があのような親を要らないと言った気持ちは、とてもよく分かるよ。これまでとても辛かっただろう」
声色を変えて、ゆったり話されてもね。
ほんと今さらなんだって。
肯定するため、わざとらしいほど頭を揺らしうんうんと頷いていた。
なのにこの王子さま、こちらを見ない!
「先から人の話を聞いているのか?望めないのは知らないからだと言ってるんだ。だいたい、子どもが望む、望まないによらず、子というものは魔力を学ぶものだろう?その学びを得られなかった貴族の子女がいるならば、それは王家で責任を持って代行すべきもので、私はそうすると言っているんだ。当たり前のことしか話していないつもりだが?先からそちらの主張の方がおかしいのではないか?その子どもからこの国の身分を剥奪し、神殿に連れ帰ろうと画策しているように受け取れるぞ?神殿でその子の魔力を独占したいのではないか?」
いや、人の話を聞かないのはあなたでしょうよ。
むっ?
もしかして神殿に取り込まれる未来もあるの?
「勘違いするな。神殿はどんな子もこちらの意思では引き取らないし、縁あって引き取った子どもから意思を奪い抱え込むようなこともない。私が問題視しているのは、リリアの意思を無視し、早急にことを進めることについて。今の様子を見る限りは、リリアを王家に預けることは出来ないと判断した」
んん?
神殿も子どもを引き取ることはあるのね?
これってつまり神官さまたちのことも警戒しないといけないってこと?
神官さまは将来は必ず私の意思で選べるようにするって言っていたのに。
もしかして上手く言いくるめられていた?
ささーっとお代わりのクッキーが差し出された。「大丈夫ですからね」って。
さっきまで爆笑していた人に優しい顔で言われましても。
えぇ、食べますけれど。
食べますとも。
美味しい。
「つまり、その子に考える時間を与えろということか?ならばまずは城へと同行して貰おう。城での暮らしを知って、ある程度経ってから意思を確認する時間を作ることにする。それでいいな?」
私がぶんぶんと首を振れば、神官さまが言ってくれた。
「リリアは城に行きたくないそうだぞ」
お城なんてとんでもない。
気楽に観光出来るなら行ってみたいけど、この世界ではそういう場所ではないのでしょう?
王さまに会って、ははーっと頭を下げる場所なんて誰が行きたいと思うんだろうね。
「ならばどうせよと言うのだ!この子はうちの貴族家の令嬢で、その貴族家が養育できないとなれば、王家が代わり、子どもを育てていく。そこに神殿が口を挟む余地はないはずだぞ!」
「神殿として国の問題に口を挟む気はない。だがリリアの意思を無視するというのなら話は変わる。子らが困ることのないよう支えることは、神殿の人間が女神さまから頂いた有難い使命のうちだからな」
「無視などしていないではないか!知らないのだから、まずは城での暮らしを体験させようと言っている!城に残るかどうかは、それから好きに選べばいい!」
お城に連れられたあとに、私が自分の意思を告げられる機会はもう来ないように感じた。
デンカさんの度重なる言葉から、私を孤児に戻す気なんてさらさらないように思えたし。
お城でのいい暮らしを体験したあとに、やっぱり孤児に戻りますねなんて言って、無事に済む予感はない。
恩を仇で返すのかーって怒られそうだよね。
さすがにいい暮らしをした分の費用を返せとまでは言われないと思うけれど、似たような話になっていくのでは?
…………このお菓子と紅茶は大丈夫だよね?
さっきの果実水とか町では見たことがないし結構お高いものなんじゃ。
いやいや、そうは言っても飲み物とお菓子だけ。
働けるようになればすぐに返せる貸しだよね?そうだよね、ね?
不安になってお菓子をくれた神官さまを見てみれば、微笑みが返ってくる。
「あなたとは分かり合えないようだ。あとは私が直接子どもと話そう。席を外してくれないか?」
「保護者代理としてそれは出来ない相談だな」
「くっ。ならばひととき黙って座っていてくれ。私が子どもと話す権利くらいはあるはずだ」
「保護者代理が断れば、その権利もなくなるがな」
「二重登録ならば、その子は貴族令嬢と見ることも出来よう!ならば彼女の保護者枠は今や空いた状態!王家を代表し、今これよりは私がその子の保護者代理を務めると宣言しよう!ならば何も言えないはずだな?」
せっかく美味しいものを食べてのんびりしていたのに。
デンカさんと話をしなければならないのか。
しかも保護者代理って……。
さっさと孤児院に帰った方が良さそうだけど。
この人が保護者代理を名乗り出たら、孤児院の先生たちに迷惑が掛かるよね?
「保護者代理とて、子どもの意思を無視することは許されないぞ」
「分かっている!もう十分に分かった!いいからその子と話をさせてくれ!」
王子さまは髪をかき上げる仕草をしてから、私に向き直った。
今さらそんな風に悠然と微笑まれてもねぇ。
大騒ぎを見た後だからなぁ。
「君があのような親を要らないと言った気持ちは、とてもよく分かるよ。これまでとても辛かっただろう」
声色を変えて、ゆったり話されてもね。
ほんと今さらなんだって。
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