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34.何が起きているのでしょうか?
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お部屋に届いた声はタナトスのものでした。
ユージーン様は開いた扉の向こうに立っているタナトスを鋭い目付きで睨みます。
この目もなかなか素敵でしたから、ついつい見入ってしまいました。
あら?でもなんだか懐かしいような……。
記憶の誰とも重なりませんでしたので、気のせいでしたね。
「なんだ、もう働かないと言っただろう!」
「それがそうもいかなくなりまして。申し訳ありませんが、奥様のお部屋に失礼いたします」
「待て、そこにいろ。私が──」
ユージーン様の指示を待たずに、さっと歩み寄ってきたタナトスが、私を見ます。
私がいたら話せないことなのですね?
それでしたら席を外しましょう。
そう思って動く前のことでした。
「実は関所の砦から緊急の連絡が入りまして……」
タナトスは私の移動を待たず、その場で説明を始めたのです。
考えてみれば、私に聞かせたくないお話でしたら、ユージーン様が仰ろうとしていたように、部屋の外に出てお二人でお話すれば良かったのでした。
それにここは私に与えられた部屋ですもの。
けれども私は、今はそんなことはどうでも良くなっています。
私はまた耳を疑って、「え?」と聞き返してしまったのです。
人の話に割って入るような無礼をするつもりはなかったのですけれど。
タナトスの報告を聞いて、穏やかにはいられません。
な、な、な、なんですと?
それはどういう?
思わずユージーン様を見ましたが、どうやらユージーン様も分かっておられないようで首を振っています。
「迎えは要らぬと仰っていただけたなら、有難くお言葉に甘えよう。そのままこちらに案内してくれ。道中無礼なきようくれぐれも心を配るようにと、案内役にはよく言い聞かせておくように。私が直接確認するまで妙な気遣いをするなとも言っておけ。勝手に疑い判断することは許さんとな」
「かしこまりました」
関所から移動となれば、会うのは三日後でしょうか。
いいえ、違いましたね。
こちらから再度連絡をして、そのうえで移動を開始することになるのでしょう。
すると早くても六日後、いえ、もう少し掛かるかしら?
従姉妹たちの話といい、この件といい、一体何が起きているのでしょうか。
私には見当もつきません。
そしてシシィは、タナトスがあっという間に姿を消してから、こんなことを言ったのです。
「旦那様、どうやら時間がないようでございます」
ユージーン様は、「うっ」とか「あぁ」とか、なんだか呻るような声を漏らしておりまして、私は心配もしながら、何が何やらと答えのないことを懸命に考えておりました。
そんな私の手をさっと両手で捕獲すると、ユージーン様は言います。
「夫婦になった翌日から落ち着かなくて申し訳ないが、今日明日は二人だけで過ごすとしよう。それとな──その──ミシェルに話したいことがある」
よく分かりませんが、私は頷きました。
お時間がないとのこと。
お忙しいのであれば、私のことなど放っておいてくださっても構いませんのにね。
微笑まれたので、私も微笑みを返します。
するとすーっと顔を背けられてしまいました。
もしかして笑顔が怖かったのかしら?
お腹が苦しいので、歪んだ笑顔を見せてしまったかもしれません。
今度こそちゃんとした笑みを浮かべようと、掴まれていない方の手で頬をきゅっと押していましたら、ユージーン様がいつの間にかこちらを見ています。
にこりと笑い掛けましたら、今度は目を逸らさずに笑い返してくださいました。
上手く笑えているようです。
だってユージーン様が歯を見せて笑ってくださいましたもの。
ユージーン様は開いた扉の向こうに立っているタナトスを鋭い目付きで睨みます。
この目もなかなか素敵でしたから、ついつい見入ってしまいました。
あら?でもなんだか懐かしいような……。
記憶の誰とも重なりませんでしたので、気のせいでしたね。
「なんだ、もう働かないと言っただろう!」
「それがそうもいかなくなりまして。申し訳ありませんが、奥様のお部屋に失礼いたします」
「待て、そこにいろ。私が──」
ユージーン様の指示を待たずに、さっと歩み寄ってきたタナトスが、私を見ます。
私がいたら話せないことなのですね?
それでしたら席を外しましょう。
そう思って動く前のことでした。
「実は関所の砦から緊急の連絡が入りまして……」
タナトスは私の移動を待たず、その場で説明を始めたのです。
考えてみれば、私に聞かせたくないお話でしたら、ユージーン様が仰ろうとしていたように、部屋の外に出てお二人でお話すれば良かったのでした。
それにここは私に与えられた部屋ですもの。
けれども私は、今はそんなことはどうでも良くなっています。
私はまた耳を疑って、「え?」と聞き返してしまったのです。
人の話に割って入るような無礼をするつもりはなかったのですけれど。
タナトスの報告を聞いて、穏やかにはいられません。
な、な、な、なんですと?
それはどういう?
思わずユージーン様を見ましたが、どうやらユージーン様も分かっておられないようで首を振っています。
「迎えは要らぬと仰っていただけたなら、有難くお言葉に甘えよう。そのままこちらに案内してくれ。道中無礼なきようくれぐれも心を配るようにと、案内役にはよく言い聞かせておくように。私が直接確認するまで妙な気遣いをするなとも言っておけ。勝手に疑い判断することは許さんとな」
「かしこまりました」
関所から移動となれば、会うのは三日後でしょうか。
いいえ、違いましたね。
こちらから再度連絡をして、そのうえで移動を開始することになるのでしょう。
すると早くても六日後、いえ、もう少し掛かるかしら?
従姉妹たちの話といい、この件といい、一体何が起きているのでしょうか。
私には見当もつきません。
そしてシシィは、タナトスがあっという間に姿を消してから、こんなことを言ったのです。
「旦那様、どうやら時間がないようでございます」
ユージーン様は、「うっ」とか「あぁ」とか、なんだか呻るような声を漏らしておりまして、私は心配もしながら、何が何やらと答えのないことを懸命に考えておりました。
そんな私の手をさっと両手で捕獲すると、ユージーン様は言います。
「夫婦になった翌日から落ち着かなくて申し訳ないが、今日明日は二人だけで過ごすとしよう。それとな──その──ミシェルに話したいことがある」
よく分かりませんが、私は頷きました。
お時間がないとのこと。
お忙しいのであれば、私のことなど放っておいてくださっても構いませんのにね。
微笑まれたので、私も微笑みを返します。
するとすーっと顔を背けられてしまいました。
もしかして笑顔が怖かったのかしら?
お腹が苦しいので、歪んだ笑顔を見せてしまったかもしれません。
今度こそちゃんとした笑みを浮かべようと、掴まれていない方の手で頬をきゅっと押していましたら、ユージーン様がいつの間にかこちらを見ています。
にこりと笑い掛けましたら、今度は目を逸らさずに笑い返してくださいました。
上手く笑えているようです。
だってユージーン様が歯を見せて笑ってくださいましたもの。
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