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78.お父さまの気持ちを教えていただきました
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「お父さまは……何もしておりませんよね?」
プリンのおかわりを待ちながら、食後のお茶の時間です。
故郷と同じラベンダーの入ったお茶ですが、使われている他の茶葉が違うことで、「あら、このブレンドもいいわね」とお母さまは喜んでおられました。
お土産にお茶をお渡し出来たらいいですね。
お茶を味わいながら、お母さまから聞いた通りに話をまとめてみます。
お父さまは私の産みの母である妹の結婚には反対していたそうです。
それでも渋々と了承したのは、妹に絶縁されたくなかったから。
けれども私の本当の父である妹の夫には、最後まで厳しい態度を取り続けていたのだとか。
妹にそれを知られるたびに兄妹喧嘩に発展していたそうですが、すぐにお父さまが謝ってその場は収まっていました。
そうして「まだ認めないからな!」「私が認めざるを得ない功績でも上げてみせよ!」と捨て台詞を残して、毎度お母さまに引き摺られて回収……その先は聞かされておりませんが、想像はしないでおきます。
ちなみにまだお父さまとお母さまは婚約中で結婚していなかったときの話です。
お父さま、そんな昔からお母さまに……。
こうして話を振り返りましても、やはりお父さまは私の本当の父であるその人に何もしていないと思うのです。
その人が騎士ならば、お父さまからの厳しい言葉も激励であったことでしょう。
「えぇ、本当に。何もしておりませんし、あの方は伯に何か言われたからと己を忘れて無茶な闘い方をするような浅い御仁ではございませんでしたよ。けれども伯は自分のせいで亡くなったのではないかと、考えてしまうようでしてね」
一度くらい優しい言葉を掛けてやればよかった。
認めていると言っておけば、自分が砦に辿り着くまでの間、無理をせずに守りに徹してくれていたのでは?
なんて、お父さまは悔いているそうです。
その気持ちは分からないでもないですが、私はその方がただ騎士として命を懸けて領地を守ってくれた、という印象しかありません。
お父さまに認められたいという気持ちがあったかどうかは分かりませんが、それだけの理由で敵将を幾人も倒したわけではないでしょう。
その方を騎士として誇りに思えば、そんな個人的な理由ひとつに定めることこそ失礼だと思うのです。
「それでお父さまは罪悪感に苦しまれ、その方の娘である私には本当のことを話せなかったということですか?」
お母さまはゆっくりと首を振りました。
「それもないとは言わないわ。でもね、あの人の負い目は父親なのよ」
父親とは?
「領地のために闘い、部下を庇って亡くなったあの方から、父親としての立場を奪ってしまったことね」
父親の立場を奪う……そのように考えることも出来なくはないかもしれませんが。
すでに亡くなっている方と奪い合うようなものではないと私は感じます。
お父さまの気持ちが読めません。
「あなたに本当のことを伝えたら、もう父と呼んでくれないのではないか。恨まれるのではないか。本当の父親の存在を隠し、父親の立場に居座り続けている自分のことを軽蔑するのはないか。嫌われるのではないか。そういう考えが怖ろしくて、何も言えなかったのですって」
そういうことでしたか。
それはとても……お父さまらしい考えですね。
プリンのおかわりを待ちながら、食後のお茶の時間です。
故郷と同じラベンダーの入ったお茶ですが、使われている他の茶葉が違うことで、「あら、このブレンドもいいわね」とお母さまは喜んでおられました。
お土産にお茶をお渡し出来たらいいですね。
お茶を味わいながら、お母さまから聞いた通りに話をまとめてみます。
お父さまは私の産みの母である妹の結婚には反対していたそうです。
それでも渋々と了承したのは、妹に絶縁されたくなかったから。
けれども私の本当の父である妹の夫には、最後まで厳しい態度を取り続けていたのだとか。
妹にそれを知られるたびに兄妹喧嘩に発展していたそうですが、すぐにお父さまが謝ってその場は収まっていました。
そうして「まだ認めないからな!」「私が認めざるを得ない功績でも上げてみせよ!」と捨て台詞を残して、毎度お母さまに引き摺られて回収……その先は聞かされておりませんが、想像はしないでおきます。
ちなみにまだお父さまとお母さまは婚約中で結婚していなかったときの話です。
お父さま、そんな昔からお母さまに……。
こうして話を振り返りましても、やはりお父さまは私の本当の父であるその人に何もしていないと思うのです。
その人が騎士ならば、お父さまからの厳しい言葉も激励であったことでしょう。
「えぇ、本当に。何もしておりませんし、あの方は伯に何か言われたからと己を忘れて無茶な闘い方をするような浅い御仁ではございませんでしたよ。けれども伯は自分のせいで亡くなったのではないかと、考えてしまうようでしてね」
一度くらい優しい言葉を掛けてやればよかった。
認めていると言っておけば、自分が砦に辿り着くまでの間、無理をせずに守りに徹してくれていたのでは?
なんて、お父さまは悔いているそうです。
その気持ちは分からないでもないですが、私はその方がただ騎士として命を懸けて領地を守ってくれた、という印象しかありません。
お父さまに認められたいという気持ちがあったかどうかは分かりませんが、それだけの理由で敵将を幾人も倒したわけではないでしょう。
その方を騎士として誇りに思えば、そんな個人的な理由ひとつに定めることこそ失礼だと思うのです。
「それでお父さまは罪悪感に苦しまれ、その方の娘である私には本当のことを話せなかったということですか?」
お母さまはゆっくりと首を振りました。
「それもないとは言わないわ。でもね、あの人の負い目は父親なのよ」
父親とは?
「領地のために闘い、部下を庇って亡くなったあの方から、父親としての立場を奪ってしまったことね」
父親の立場を奪う……そのように考えることも出来なくはないかもしれませんが。
すでに亡くなっている方と奪い合うようなものではないと私は感じます。
お父さまの気持ちが読めません。
「あなたに本当のことを伝えたら、もう父と呼んでくれないのではないか。恨まれるのではないか。本当の父親の存在を隠し、父親の立場に居座り続けている自分のことを軽蔑するのはないか。嫌われるのではないか。そういう考えが怖ろしくて、何も言えなかったのですって」
そういうことでしたか。
それはとても……お父さまらしい考えですね。
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