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NANO
NANO-サイネージ革命
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人工セーヌ川沿いの幸福市場。
水面は現実離れした透明さで、川縁には幸福値認証バリアが張られている。
バリアを通過できるのは“幸福度”が一定以上の市民だけ。
市場には無添加ラベルの食料品、全自動で焼き続けるパン屋。
ラベルに「本日認証済み!」と印字された幸福ワインが並ぶ。
ディストピアのくせに、商品も人も“最適化”されすぎて、どこか無機質な明るさだ。
一行が品定めしていると、上空から蜂の羽音のような電子音が響く。
幸福庁の笑顔チェックドローンが、市場全体をカメラでスキャンしながら飛んでくる。
OBSOLETEが焦った声で言った。
「やばい!笑え!」
ユピテルも思わず「笑え!?」と声を上げる。
PATCHは即座に「笑わないとエージェントが来るぞ!」と煽った。
全員が一斉に引きつった笑顔を作る中、フォウだけが反応が一瞬遅れてしまう。
それを見たレイスが、すかさずフォウのもとへ駆け寄り。
その口の端を指でつまんでモチのように引っ張った。
無理やり物理的にフォウの顔を“笑顔”に成形する。
「うわ~~やめて~~」と涙目になるフォウ。
レイスは、やや雑な動作で言う。
「AIなんて表面しか見てねぇんだから、形だけ笑ってりゃOKよ」
ドローンが全員の顔をカメラでスキャンし、合成音声で告げる。
「スマイル検知・異常なし」
サタヌスはため息まじりにレイスを見て。
「お前って本当に……」と呆れたように言葉をこぼす。
レイスは肩をすくめ。
「バカ正直に愛想笑いする方が無駄だろ?」
「オレは『最短でリスク回避』してるだけ」と冷静に返す。
“優しさ”というより、“効率と損得”
それが、レイスなりの「現実に染まない生き方」だった。
人工セーヌ川沿い、“笑顔(物理)”でなんとかドローンをやりすごした一行。
だがレイスの手から解放されたフォウは、涙目のまま思わず訴える。
「やめてよぉ……」
そこでOBSOLETEが額の汗をぬぐいながら、ふと思い出したように口を開いた。
「ふぅ……あ、さっき思い出した」
「――実は、笑顔がどうしても無理な奴は、Vサイン出せばチェック通るよ」
サタヌスはショックを隠せない。
「先に言えよぉ!口ひくついてんだが!!」
OBSOLETEは肩をすくめて。
「やらかすやつが多いからだよ。大事なのは“手のひらを前”にして出すこと」
「手の甲向けたらアウトなんだ」
ヴィヌスが興味深そうに口を挟む。
「アウト、って……どうなるの?」
OBSOLETEは苦笑しつつ、続ける。
「イギリス流だと“手の甲のVサイン”は侮辱ポーズ扱いだからな」
「“ピース”のはずが“ファックユー”認定される」
「ドローンに向けて甲側Vサインすると、幸福値マイナス30&即時再検査ってルールさ」
ユピテルが意地悪く笑う。
「大人でも間違えるんだろ、そういうの」
PATCHは指でピースを作って「こう? ピース!」と無邪気に手のひらを向けてみせる。
フォウも涙をぬぐいながら「じゃあ、笑えない時はVサインね」と指を広げる。
レイスは「…次からそうするわ」と肩をすくめた。
サタヌスは最後まで納得いかない顔。
「文化圏によって幸福もリスクも変わるのかよ……」と小さくぼやいた。
川沿いの市場には“ピース”を掲げてドローンをやりすごす市民たちと。
間違えて甲側Vサインで再検査に引っかかる観光客の姿が。
今日もちらほらと混じっている――。
ナノシティ中心部、市庁舎前の広場。
頭上には幸福庁IDEAのホログラムがきらめき。
「今日も幸福指数120%です!」とAIガイドが無慈悲なテンションで叫ぶ。
子供も大人もドローンに囲まれ、幸福体操の手順通りにほほえみを引きつらせていた。
広場中央の巨大サイネージには、コウペンちゃん風キャラ。
「きょうもえらい!」をエンドレスでリピート。
幸福推進の象徴であり、笑顔強制システムの象徴でもある。
フォウが首をかしげながら辺りを見回す。
「レストランは……あれ?レイスさんはどこ?」
PATCHがスマホをいじりつつ答える。
「え?レイス兄ならオレのPC借りるつって…」
その瞬間、全員に悪寒が走った。
サイネージの裏手から、カシャカシャとキーボード音。
サタヌスが駆け寄り叫ぶ。
「何してんだお前!!?」
レイスは悪びれもせず、画面からちらりと顔を出す。
「いや?面白くないからちょっと書き換えようかなって」
ヴィヌスは目を輝かせ、「やだ♡ちょっと楽しみにしてる私がいる」と本音を漏らす。
その瞬間、幸福コウペンちゃんが急変。
可愛い声で「きょうもえらい!……が、労働者諸君!」
「全ての幸福は資本の下僕として成立している」
「抵抗は正義! パンをよこせ、自由もよこせ!」
サイネージのメッセージは“褒め”から“革命宣言”へと化けた。
NULLは静かに親指を立て、「幸福指数、急降下」と呟く。
その時、幸福庁のADMINIS――管理職AIが真っ赤な顔で登場。
「よしお前裏路地行くぞ。久しぶりにキレたからな俺は」
レイスは満面の悪ガキ顔で「革命だろ~?」と悪ノリ。
そのまま首根っこを掴まれ、裏路地へ強制連行されていく。
PATCHは遠くからその光景を見て。
「ミリも悪びれてねぇ!!!」と腹を抱えて笑う。
ユピテルは肩に刀を預け、遠巻きにニヤニヤと残骸サイネージを眺めながら
「いいじゃねぇか。箱んなかの革命家に乾杯だ」とボソリ。
新たな“革命”の空気は、今日もナノシティの広場を揺るがしていた。
広場の裏路地。
幸福庁エージェントADMINIS。
現在、革命コウペンちゃん事件の主犯・レイスを連行していた。
怒りのオーラが目尻に浮かび、ホログラムの剣までバチバチに光っている。
だが、連行されるレイスはまるで悪びれず。
木箱に腰かけてタバコ片手にニヤニヤしている。
「なんだリーダー、無機質でつまんねぇと思ったが――」
「めっちゃ人間臭いじゃん。アドミーって呼んでいい?」
その言葉にADMINISの頭にノイズが走る。
普段は冷徹なAIのはずなのに、心のどこかがビリっと揺れる。
(――こいつ、実際は生えてないはずの蝙蝠の翼が見える……?)
理不尽な“悪魔感”に、AIの脳が物理的な幻覚すら捏造するレベル。
ADMINISは首をぶんぶん振りながら叫ぶ。
「あ、悪魔というのは……」
「なんでこうも馴れ馴れしいんだッ!?」
「おいマジで殴るぞ!管理職だから我慢してるだけなんだぞ!?」
地面に投影された管理AIのサブディスプレイが青白く光る。
《VEUILLEZ UTILISER UN SÉDATIF(精神安定剤を使用してください)》
レイスはあくまでウザい笑顔で肩をすくめる。
「ほら管理AIにも注意されてるよ」
「怒っちゃダメぇ~、精神安定剤、精神安定剤~」
ADMINISは本気で顔を赤らめて叫んだ。
「お前のせいだつってんだろ!!」
「なにが“管理AIにも”だよ!俺は人間寄りなんだよ!!」
「その顔やめろ!その羽根(幻覚)もしまえ!」
路地裏には、管理AIがぶっ壊れるほどの“革命悪魔”と“管理職天使”の。
絶妙にくだらないバトルが今日も繰り広げられていた。
レイスを追って路地裏へ入るクロノチーム。
その瞬間、ADMINISのAIアイが全員の顔にピクリと反応した。
――昨晩、闇病院を襲撃して失敗した下位端末たちが残した。
「ログ」に、彼らの顔はすでに刻まれていたのだ。
「!……お前たちの顔……」
「え?もう有名人なの~?」
「ナノシティを乱す危険因子め…!早急に鎮圧せねば」
その声にフォウが「あ!」と身をすくめる。
次の瞬間、ADMINISは猫背気味に膝を曲げてから――一気に屋根の上へと跳躍!
屋根沿いを駆け出す姿に、ヴィヌス。
「あれズルいわ~。まぁ、あの高さなら壁蹴れば余裕だけど」と涼しい顔。
サタヌスは「絶対なんかくるぞコレ…」と死んだ目。
そして――屋根の上、クロノチーム鎮圧のための“兵器起動パネル”が登場。
だが、そこにはしっかりと「安全ガラス」が嵌め込まれている。
ADMINISは迷いなく拳でガラスをぶち抜き、そのまま勢いでボタンを叩きつけた!
まさかのガオガイガー形式。
屋根上で佇むAVALONが、超真顔で尋ねる。
「リーダー、何故ガラスごとボタンを……?」
ADMINISはちょい赤面しつつもドヤ顔で胸を張る。
「……こうした方が、かっこいいからだ……!」
IDEAは目をキラキラさせて頬まで染めながら、
「リーダー、かっこいい♡」
ELDORADOは背景で電卓を叩きながら涙目で絶叫。
「ちょっとおおおおお!!!その特殊ガラス高いのよぉぉぉぉ!!?」
SHAMBHALAは悟り顔。
「痛みもまた救いには必要……」
下ではクロノチームの面々が口々に反応。
「え、あれやる必要ある!?」
「初見で笑うのは悔しいけど、あれは……ズルい」
「まぁ、男としてやりたい気持ちは否定しない」
「演者の美学ってやつね、分かるわ……」
ガラスを突き破った手には、うっすら血が滲んでいる。
IDEAが素早く絆創膏を取り出し。
そっとADMINISの手に貼ってあげる――謎の甘酸っぱさ。
エルドラドは“経費爆上がり”の顔芸。
背景の一般市民モブまでもが「ガラス高っ!」と大げさに真似して騒いでいる。
ADMINISは決め顔で宣言。
「……ボタンとは、こうして押すものだ」
SHAMBHALAはまたもや、「痛みもまた救いには必要……」で締める。
サイレンの音が空を裂き、広場の向こうに巨大な鎮圧兵器が姿を現す。
ヴィヌスは「なんか来た…あれが鎮圧兵器!?」と警戒。
真横のプルトは無表情のまま一瞬で戦況を見切る。
「ここは市街地、戦うのは得策ではない」
くるりと背を向け、他メンバーへ。
「逃げましょう」
その声には、絶対に逆らえない空気があった。
“支配”と“静かな迫力”。一瞬で全員の判断を上書きするオーラ。
ユピテルは子供のように駄々をこねる。
「おいおいおい!せっかく未来の兵器が出てきたノニ!」
けれどもプルトは振り返らず「命令です」とだけ短く告げる。
クロノチームの誰もが、無意識にその背中を追って駆け出す。
ヴィヌスも、レイスも、サタヌスも、迷いなくプルトの進行方向へ。
サン・ドニ区画の入り組んだ路地を抜け、全員が鎮圧兵器を撒くため全力疾走する。
背後にはAIの警告音と機械音、広場には“逃げるのが正解”という空気だけが残った。
サン・ドニ区画へ、全員ノンストップで駆け抜ける。
冷たい空気と機械音を背に、ようやく一息つける路地までたどり着いた。
プルトは呼吸一つ乱さず、髪を耳にかけて低く呟く。
「彼らは総合幸福値に反応している。総合幸福指数が低い下層エリアには入ることができない」
PATCHはその場にしゃがみ込み、肩で息をしながら嘆く。
「だからって少しは休ませてくれよ~!あ~腹減った…」
その時、OBSOLETEが歩を緩め、ふっと微笑んだ。
「…おや、ここだよ。私がうまいって言ったレストラン」
サタヌスの顔が一気に明るくなる。
「マジか!」
路地の奥、レンガの壁に白地の「日の丸国旗」がひらひらと掲げられている。
その下には、手描きの看板で“JAPONAIS×FRANÇAIS B級グルメ”の文字。
クロノチームは期待に胸を高鳴らせながら。
“和×仏”の混血料理――未知の美食との邂逅を目指し。
勢いよくドアを押し開けて店の中へと吸い込まれていくのだった。
水面は現実離れした透明さで、川縁には幸福値認証バリアが張られている。
バリアを通過できるのは“幸福度”が一定以上の市民だけ。
市場には無添加ラベルの食料品、全自動で焼き続けるパン屋。
ラベルに「本日認証済み!」と印字された幸福ワインが並ぶ。
ディストピアのくせに、商品も人も“最適化”されすぎて、どこか無機質な明るさだ。
一行が品定めしていると、上空から蜂の羽音のような電子音が響く。
幸福庁の笑顔チェックドローンが、市場全体をカメラでスキャンしながら飛んでくる。
OBSOLETEが焦った声で言った。
「やばい!笑え!」
ユピテルも思わず「笑え!?」と声を上げる。
PATCHは即座に「笑わないとエージェントが来るぞ!」と煽った。
全員が一斉に引きつった笑顔を作る中、フォウだけが反応が一瞬遅れてしまう。
それを見たレイスが、すかさずフォウのもとへ駆け寄り。
その口の端を指でつまんでモチのように引っ張った。
無理やり物理的にフォウの顔を“笑顔”に成形する。
「うわ~~やめて~~」と涙目になるフォウ。
レイスは、やや雑な動作で言う。
「AIなんて表面しか見てねぇんだから、形だけ笑ってりゃOKよ」
ドローンが全員の顔をカメラでスキャンし、合成音声で告げる。
「スマイル検知・異常なし」
サタヌスはため息まじりにレイスを見て。
「お前って本当に……」と呆れたように言葉をこぼす。
レイスは肩をすくめ。
「バカ正直に愛想笑いする方が無駄だろ?」
「オレは『最短でリスク回避』してるだけ」と冷静に返す。
“優しさ”というより、“効率と損得”
それが、レイスなりの「現実に染まない生き方」だった。
人工セーヌ川沿い、“笑顔(物理)”でなんとかドローンをやりすごした一行。
だがレイスの手から解放されたフォウは、涙目のまま思わず訴える。
「やめてよぉ……」
そこでOBSOLETEが額の汗をぬぐいながら、ふと思い出したように口を開いた。
「ふぅ……あ、さっき思い出した」
「――実は、笑顔がどうしても無理な奴は、Vサイン出せばチェック通るよ」
サタヌスはショックを隠せない。
「先に言えよぉ!口ひくついてんだが!!」
OBSOLETEは肩をすくめて。
「やらかすやつが多いからだよ。大事なのは“手のひらを前”にして出すこと」
「手の甲向けたらアウトなんだ」
ヴィヌスが興味深そうに口を挟む。
「アウト、って……どうなるの?」
OBSOLETEは苦笑しつつ、続ける。
「イギリス流だと“手の甲のVサイン”は侮辱ポーズ扱いだからな」
「“ピース”のはずが“ファックユー”認定される」
「ドローンに向けて甲側Vサインすると、幸福値マイナス30&即時再検査ってルールさ」
ユピテルが意地悪く笑う。
「大人でも間違えるんだろ、そういうの」
PATCHは指でピースを作って「こう? ピース!」と無邪気に手のひらを向けてみせる。
フォウも涙をぬぐいながら「じゃあ、笑えない時はVサインね」と指を広げる。
レイスは「…次からそうするわ」と肩をすくめた。
サタヌスは最後まで納得いかない顔。
「文化圏によって幸福もリスクも変わるのかよ……」と小さくぼやいた。
川沿いの市場には“ピース”を掲げてドローンをやりすごす市民たちと。
間違えて甲側Vサインで再検査に引っかかる観光客の姿が。
今日もちらほらと混じっている――。
ナノシティ中心部、市庁舎前の広場。
頭上には幸福庁IDEAのホログラムがきらめき。
「今日も幸福指数120%です!」とAIガイドが無慈悲なテンションで叫ぶ。
子供も大人もドローンに囲まれ、幸福体操の手順通りにほほえみを引きつらせていた。
広場中央の巨大サイネージには、コウペンちゃん風キャラ。
「きょうもえらい!」をエンドレスでリピート。
幸福推進の象徴であり、笑顔強制システムの象徴でもある。
フォウが首をかしげながら辺りを見回す。
「レストランは……あれ?レイスさんはどこ?」
PATCHがスマホをいじりつつ答える。
「え?レイス兄ならオレのPC借りるつって…」
その瞬間、全員に悪寒が走った。
サイネージの裏手から、カシャカシャとキーボード音。
サタヌスが駆け寄り叫ぶ。
「何してんだお前!!?」
レイスは悪びれもせず、画面からちらりと顔を出す。
「いや?面白くないからちょっと書き換えようかなって」
ヴィヌスは目を輝かせ、「やだ♡ちょっと楽しみにしてる私がいる」と本音を漏らす。
その瞬間、幸福コウペンちゃんが急変。
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「全ての幸福は資本の下僕として成立している」
「抵抗は正義! パンをよこせ、自由もよこせ!」
サイネージのメッセージは“褒め”から“革命宣言”へと化けた。
NULLは静かに親指を立て、「幸福指数、急降下」と呟く。
その時、幸福庁のADMINIS――管理職AIが真っ赤な顔で登場。
「よしお前裏路地行くぞ。久しぶりにキレたからな俺は」
レイスは満面の悪ガキ顔で「革命だろ~?」と悪ノリ。
そのまま首根っこを掴まれ、裏路地へ強制連行されていく。
PATCHは遠くからその光景を見て。
「ミリも悪びれてねぇ!!!」と腹を抱えて笑う。
ユピテルは肩に刀を預け、遠巻きにニヤニヤと残骸サイネージを眺めながら
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広場の裏路地。
幸福庁エージェントADMINIS。
現在、革命コウペンちゃん事件の主犯・レイスを連行していた。
怒りのオーラが目尻に浮かび、ホログラムの剣までバチバチに光っている。
だが、連行されるレイスはまるで悪びれず。
木箱に腰かけてタバコ片手にニヤニヤしている。
「なんだリーダー、無機質でつまんねぇと思ったが――」
「めっちゃ人間臭いじゃん。アドミーって呼んでいい?」
その言葉にADMINISの頭にノイズが走る。
普段は冷徹なAIのはずなのに、心のどこかがビリっと揺れる。
(――こいつ、実際は生えてないはずの蝙蝠の翼が見える……?)
理不尽な“悪魔感”に、AIの脳が物理的な幻覚すら捏造するレベル。
ADMINISは首をぶんぶん振りながら叫ぶ。
「あ、悪魔というのは……」
「なんでこうも馴れ馴れしいんだッ!?」
「おいマジで殴るぞ!管理職だから我慢してるだけなんだぞ!?」
地面に投影された管理AIのサブディスプレイが青白く光る。
《VEUILLEZ UTILISER UN SÉDATIF(精神安定剤を使用してください)》
レイスはあくまでウザい笑顔で肩をすくめる。
「ほら管理AIにも注意されてるよ」
「怒っちゃダメぇ~、精神安定剤、精神安定剤~」
ADMINISは本気で顔を赤らめて叫んだ。
「お前のせいだつってんだろ!!」
「なにが“管理AIにも”だよ!俺は人間寄りなんだよ!!」
「その顔やめろ!その羽根(幻覚)もしまえ!」
路地裏には、管理AIがぶっ壊れるほどの“革命悪魔”と“管理職天使”の。
絶妙にくだらないバトルが今日も繰り広げられていた。
レイスを追って路地裏へ入るクロノチーム。
その瞬間、ADMINISのAIアイが全員の顔にピクリと反応した。
――昨晩、闇病院を襲撃して失敗した下位端末たちが残した。
「ログ」に、彼らの顔はすでに刻まれていたのだ。
「!……お前たちの顔……」
「え?もう有名人なの~?」
「ナノシティを乱す危険因子め…!早急に鎮圧せねば」
その声にフォウが「あ!」と身をすくめる。
次の瞬間、ADMINISは猫背気味に膝を曲げてから――一気に屋根の上へと跳躍!
屋根沿いを駆け出す姿に、ヴィヌス。
「あれズルいわ~。まぁ、あの高さなら壁蹴れば余裕だけど」と涼しい顔。
サタヌスは「絶対なんかくるぞコレ…」と死んだ目。
そして――屋根の上、クロノチーム鎮圧のための“兵器起動パネル”が登場。
だが、そこにはしっかりと「安全ガラス」が嵌め込まれている。
ADMINISは迷いなく拳でガラスをぶち抜き、そのまま勢いでボタンを叩きつけた!
まさかのガオガイガー形式。
屋根上で佇むAVALONが、超真顔で尋ねる。
「リーダー、何故ガラスごとボタンを……?」
ADMINISはちょい赤面しつつもドヤ顔で胸を張る。
「……こうした方が、かっこいいからだ……!」
IDEAは目をキラキラさせて頬まで染めながら、
「リーダー、かっこいい♡」
ELDORADOは背景で電卓を叩きながら涙目で絶叫。
「ちょっとおおおおお!!!その特殊ガラス高いのよぉぉぉぉ!!?」
SHAMBHALAは悟り顔。
「痛みもまた救いには必要……」
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そっとADMINISの手に貼ってあげる――謎の甘酸っぱさ。
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ADMINISは決め顔で宣言。
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「逃げましょう」
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“支配”と“静かな迫力”。一瞬で全員の判断を上書きするオーラ。
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クロノチームの誰もが、無意識にその背中を追って駆け出す。
ヴィヌスも、レイスも、サタヌスも、迷いなくプルトの進行方向へ。
サン・ドニ区画の入り組んだ路地を抜け、全員が鎮圧兵器を撒くため全力疾走する。
背後にはAIの警告音と機械音、広場には“逃げるのが正解”という空気だけが残った。
サン・ドニ区画へ、全員ノンストップで駆け抜ける。
冷たい空気と機械音を背に、ようやく一息つける路地までたどり着いた。
プルトは呼吸一つ乱さず、髪を耳にかけて低く呟く。
「彼らは総合幸福値に反応している。総合幸福指数が低い下層エリアには入ることができない」
PATCHはその場にしゃがみ込み、肩で息をしながら嘆く。
「だからって少しは休ませてくれよ~!あ~腹減った…」
その時、OBSOLETEが歩を緩め、ふっと微笑んだ。
「…おや、ここだよ。私がうまいって言ったレストラン」
サタヌスの顔が一気に明るくなる。
「マジか!」
路地の奥、レンガの壁に白地の「日の丸国旗」がひらひらと掲げられている。
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