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番外編
社長を倒すぞ編-2
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フェス会場にある、謎の高級日サロ。
「エンヴィ焼きサロン・ジェラシー支店」の看板が眩しい。
その中へ、クロノチーム全員がノリと勢いだけで突入した。
数十分後——
「うはははははは!!!ギャルじゃん!!ウラちゃんギャルじゃん!!!」
全身がバッキバキに焼き上がったウラヌスが、鏡の前で爆笑していた。
スマホ手に跳ねながら、語尾に“ピ”がつきそうなテンションで叫ぶ。
「いやマジで~♡日サロサイコ~♡」
「俺のアイデンティティ奪うなや!!」
サタヌスがツッコむ。が、鏡を見て、ふと呟いた。
「……それはそれとして、褐色似合うな俺ら。」
サタヌス。もともと中東系なのでむしろ地元感アップ。
「……金髪おまえ、銀座にいそう感すごいぞ。」
レイスが真顔で言いながら、スマホを向ける。
撮影対象は、完全に褐色ホスト落ちしてるユピテル。
金髪+白インナー+日焼け肌=完全に“リゾートホスト”。
目の前にスマホを向けられても、ユピテルは顔色ひとつ変えずこう返す。
「くわばらくわばら……精々拡散するといいさ。
#褐色の剥製師でトレンド取ってみせよう」
「……私、ダークエルフじゃないですか……」
片隅で、カリストが震えていた。
顔は赤い。明らかに焼かれてる。
「“下地があるからいいでしょ”とか、誰が言ったんですか!?勝手に入れられたんですよ!?」
「はいカリスト、アロエ塗っとけ~」
ウラヌスが笑顔でスプレーを構える。
クロノチーム:全員褐色モード。
ウラヌス:ギャル。
サタヌス:地元の悪ガキ。
レイス:インド映画。
ユピテル:銀座。
カリスト:ダークエルフ。
フェスも終盤に差し掛かり、褐色化を果たしたクロノチームがチルゾーンでだべっていたころ。
近くの屋台から、ザワッ……という空気が流れてきた。
「……え、あれ……アシュヴァッターマンじゃね?」
「褐色で赤髪で三白眼……あの英霊に似てる……!」
「わかるわかる、怒りのバーサーカー系!!」
「っていうか表情も似てね?」
モブ魔族、めっちゃざわついてる。
その瞬間、誰よりも早く動いたのは――ウラヌス。
「レイス、あんた今、“アシュヴァッターマンと思われてる”よwww」
笑いを堪えきれず腹を抱える。
レイスは眉をひくつかせ、静かに言った。
「はあ!?俺はインドから来た覚えはないがぁ!?」
目の下にバッキバキの血管浮かびそうなテンション。
「ほら~そうやってすぐ怒るとこがそっくりwwwwww」
ウラヌスが満面の笑みで追撃。
その横で、サタヌスがポテト食べながらポツリ。
「ん?じゃあアンラは……アルジュナ?」
その場が一瞬、静まり返る。
ユピテルが俯き加減に、肩を震わせて言った。
「……やめろ……似すぎてて笑うから……ッッ」
「黒スーツで煽り属性で“世界を上書きする神”……オイこれほぼアルジュn——」
レイスがスムージー吹き出した。
「お前ら俺で遊ぶな!!!!」
怒号がフェスの空に響いた。
そして誰かが呟いた。
「……その怒り方も……完全にバーサーカー」
地獄である。
フェスが終わり、クロノチームが褐色のままダラけているところへ。
まるで自然に湧いたように登場したアンラ・マンユ(CV子安)。
金の目、黒髪、そして相も変わらず漆黒のスーツと褐色の肌でスッ……と現れるその姿に。
ウラヌスが叫ぶ。
「うわあああああ社長オオオオオ!!!」
褐色姿でかき氷片手にダッシュ。完全に変質者。
アンラ様、にっこり。
「おや?日焼けかい。似合うよ、褐色。」
(すごくナチュラルに言う)
ユピテルが即座にかぶせた。
「お前のせいでこうなったンだが!?
なぁ答えろ社長!!なんでそのビジュ固定なンだ!!!!」
すでに3回くらい焼き直してる。
アンラ様、首を傾げ、優雅に語り始める。
「……これかい?この色は、君たちが抱く“根源的恐怖”を表した色だよ」
「……また出たよ、脚本家の気取りトーク」
「どんな生物も、見通せない“闇”は恐ろしいものだ。
だからこの“黒”は、感情でも、光でもなく、“未知そのもの”さ。
その上に、血や肉を感じさせる“褐色”を重ねた――それだけだよ。」
全員、固まる。
「……え、つまり?」
サタヌスが首をかしげた。
「褐色推奨キャンペーンってわけじゃないの?」
アンラ、満面の微笑みで返す。
「そう解釈しても構わないよ★」
「ややこしいわ!!!!!!!!」
アンラ様の「褐色は恐怖の象徴です(でもそう解釈してもいいよ★)」発言。
地雷のように投下されたその場で、褐色クロノチーム全員が凍りついた。
「違うのか!?」
ユピテルが拳を握って叫ぶ。
「ややこしいなぁクソが!誰だよ!?“集合的無意識が褐色を欲してる”なんて嘘ついたやつは!」
その言葉と同時に、ある人物がスッ……と背を向けた。
カリストである。
つま先を静かにずらし、姿勢を小さくし。
そろ~……っと抜けようとしていた。
だが。
「カリスト」
レイスの低い声が刺さる。
カリスト、背筋をビクッと伸ばして振り返り、顔だけで笑う。
「い、いや違います……!逃げようなんて、思っていませんよ……?」
語尾が震えている。
ウラヌス、即座に撃ち抜く。
「自爆してて草」
レイス、タバコをふかしながら。
「てかお前、“褐色は美の根源”とか言ってなかったか?」
「い、言いましたけど、それはその……。
“あくまで統計的に、褐色には審美的……いや!だからそれは仮説であって……!」
完全に墓穴を掘っている。
「あァ!?じゃあ焼いた意味よォ!?」
腕まくりしながら寄ってくる。
「ユ、ユピテル様ァ!?この顔は本物です!!詐欺じゃないです!!」
アンラ様、そんな騒ぎを微笑ましく見て一言。
「そうやって揉めてる姿が一番“無意識”っぽくていいねぇ……」
まとめ。
・集合的無意識は別に褐色を求めてはいなかった。
・ウラヌスの腹筋が割れた。
・ユピテルは褐色になった意味を未だ模索中。
・レイスは「俺インドちゃう」って10回くらい言ってる。
陽が傾き、フェスの喧騒も潮風に流れていく頃。
クロノチームは夕焼けのビーチで静かに佇んでいた。
そして、砂浜の中央には埋まっているカリストの姿があった。
「……おまえ、副官にキレることあるんだな」
レイスが軽く笑いながら、横目でユピテルを見る。
「あるわ。俺だって人だ。」
ユピテルが、あまりにも真顔で言った。
サンダルの砂を払いつつ、太陽を見上げるその姿には、どこか“芸術家の気配”すらある。
「カー君、なっちゃん超ファンサ良かったよ♡」
ウラヌスが地面のカリストにしゃがみ込んで。
フェス終わりのThe嫉妬ーズのファンサ報告を始める。
夕暮れがフェスの余韻を包み込む。
ステージはすでに片付けが始まり、音も光も少しずつ静かになっていく中。
ひときわ熱い空間が、まだそこには残っていた。
《The嫉妬ーズ》、物販&ファン対応エリア。
その中央に立つのは、当然この人。
“センターの蛇姫”こと、ナスカ=アングィス――なっちゃん。
風に揺れる白蛇の尻尾。落ち着いた声。
だがファンに向ける笑顔は、火傷しそうなほど優しかった。
「今日のうちわ、“手作り”だよね?」
少女ファンにそう微笑んで言うと、なっちゃんはその場で深く一礼した。
「ありがとう。“推してくれること”が一番のステージなの」
少女は泣いた。なっちゃんは、泣かせに来ていた。確信犯である。
「うわぁ……」
レイスが、その光景を見て言った。
「マジであれと離婚した旦那、女見る目腐ってるだろ。」
ファン周知の事実だが、なっちゃんはバツイチ(設定でなくガチ)である。
他のメンバーも、神がかっていた。
「あのさァ~!隣のヤツばっか見てたでしょ!?私見て!!」
ミミィは煽りファンサがガチすぎてオタが土下座した。
「その香水、知ってる……“あの人”と同じ……」
ルヴァンは何も知らない一般人を情念の海に突き落とした。
「握手は5秒まで。それ以上は蛇神拳が出るから」
バジルは一部マゾ系ファンに大ウケ。
だが、やはり記憶に残るのは、なっちゃんだった。
疲れた笑顔を隠さず、それでも一人ひとりの目を見て。
声をかけ、時に手を握り、そして、全員にこう言っていた。
「“誰かを羨ましい”って思えるなら、それはもう“恋”なんだよ」
「その気持ち、大事にしてね。だって……あなたも誰かの嫉妬対象なんだから♡」
その時、レイスは本気で思っていた。
「あの旦那、どこで間違った?」
「今度から“推し”って呼ぶね♡」
「今さらじゃありませんか!? てか、今首から下砂ですから!!」
「俺もファンになっちまったわ……マジ神対応……」
「……いい女だよ、ほんと。離婚したやつは蟲毒に落ちろ」
そして、埋まっている男-カリストが、かすれた声で呟いた。
「……あの、ユピテル様……私は、いつまでこの砂の中に?」
ユピテルは少しだけ考える素振りを見せた後。
「あと10分」
即答である。
風が吹く。
夕陽が海を赤く染め、首だけの副官を照らしている。
まさに、“褐色”の黄昏である。
「エンヴィ焼きサロン・ジェラシー支店」の看板が眩しい。
その中へ、クロノチーム全員がノリと勢いだけで突入した。
数十分後——
「うはははははは!!!ギャルじゃん!!ウラちゃんギャルじゃん!!!」
全身がバッキバキに焼き上がったウラヌスが、鏡の前で爆笑していた。
スマホ手に跳ねながら、語尾に“ピ”がつきそうなテンションで叫ぶ。
「いやマジで~♡日サロサイコ~♡」
「俺のアイデンティティ奪うなや!!」
サタヌスがツッコむ。が、鏡を見て、ふと呟いた。
「……それはそれとして、褐色似合うな俺ら。」
サタヌス。もともと中東系なのでむしろ地元感アップ。
「……金髪おまえ、銀座にいそう感すごいぞ。」
レイスが真顔で言いながら、スマホを向ける。
撮影対象は、完全に褐色ホスト落ちしてるユピテル。
金髪+白インナー+日焼け肌=完全に“リゾートホスト”。
目の前にスマホを向けられても、ユピテルは顔色ひとつ変えずこう返す。
「くわばらくわばら……精々拡散するといいさ。
#褐色の剥製師でトレンド取ってみせよう」
「……私、ダークエルフじゃないですか……」
片隅で、カリストが震えていた。
顔は赤い。明らかに焼かれてる。
「“下地があるからいいでしょ”とか、誰が言ったんですか!?勝手に入れられたんですよ!?」
「はいカリスト、アロエ塗っとけ~」
ウラヌスが笑顔でスプレーを構える。
クロノチーム:全員褐色モード。
ウラヌス:ギャル。
サタヌス:地元の悪ガキ。
レイス:インド映画。
ユピテル:銀座。
カリスト:ダークエルフ。
フェスも終盤に差し掛かり、褐色化を果たしたクロノチームがチルゾーンでだべっていたころ。
近くの屋台から、ザワッ……という空気が流れてきた。
「……え、あれ……アシュヴァッターマンじゃね?」
「褐色で赤髪で三白眼……あの英霊に似てる……!」
「わかるわかる、怒りのバーサーカー系!!」
「っていうか表情も似てね?」
モブ魔族、めっちゃざわついてる。
その瞬間、誰よりも早く動いたのは――ウラヌス。
「レイス、あんた今、“アシュヴァッターマンと思われてる”よwww」
笑いを堪えきれず腹を抱える。
レイスは眉をひくつかせ、静かに言った。
「はあ!?俺はインドから来た覚えはないがぁ!?」
目の下にバッキバキの血管浮かびそうなテンション。
「ほら~そうやってすぐ怒るとこがそっくりwwwwww」
ウラヌスが満面の笑みで追撃。
その横で、サタヌスがポテト食べながらポツリ。
「ん?じゃあアンラは……アルジュナ?」
その場が一瞬、静まり返る。
ユピテルが俯き加減に、肩を震わせて言った。
「……やめろ……似すぎてて笑うから……ッッ」
「黒スーツで煽り属性で“世界を上書きする神”……オイこれほぼアルジュn——」
レイスがスムージー吹き出した。
「お前ら俺で遊ぶな!!!!」
怒号がフェスの空に響いた。
そして誰かが呟いた。
「……その怒り方も……完全にバーサーカー」
地獄である。
フェスが終わり、クロノチームが褐色のままダラけているところへ。
まるで自然に湧いたように登場したアンラ・マンユ(CV子安)。
金の目、黒髪、そして相も変わらず漆黒のスーツと褐色の肌でスッ……と現れるその姿に。
ウラヌスが叫ぶ。
「うわあああああ社長オオオオオ!!!」
褐色姿でかき氷片手にダッシュ。完全に変質者。
アンラ様、にっこり。
「おや?日焼けかい。似合うよ、褐色。」
(すごくナチュラルに言う)
ユピテルが即座にかぶせた。
「お前のせいでこうなったンだが!?
なぁ答えろ社長!!なんでそのビジュ固定なンだ!!!!」
すでに3回くらい焼き直してる。
アンラ様、首を傾げ、優雅に語り始める。
「……これかい?この色は、君たちが抱く“根源的恐怖”を表した色だよ」
「……また出たよ、脚本家の気取りトーク」
「どんな生物も、見通せない“闇”は恐ろしいものだ。
だからこの“黒”は、感情でも、光でもなく、“未知そのもの”さ。
その上に、血や肉を感じさせる“褐色”を重ねた――それだけだよ。」
全員、固まる。
「……え、つまり?」
サタヌスが首をかしげた。
「褐色推奨キャンペーンってわけじゃないの?」
アンラ、満面の微笑みで返す。
「そう解釈しても構わないよ★」
「ややこしいわ!!!!!!!!」
アンラ様の「褐色は恐怖の象徴です(でもそう解釈してもいいよ★)」発言。
地雷のように投下されたその場で、褐色クロノチーム全員が凍りついた。
「違うのか!?」
ユピテルが拳を握って叫ぶ。
「ややこしいなぁクソが!誰だよ!?“集合的無意識が褐色を欲してる”なんて嘘ついたやつは!」
その言葉と同時に、ある人物がスッ……と背を向けた。
カリストである。
つま先を静かにずらし、姿勢を小さくし。
そろ~……っと抜けようとしていた。
だが。
「カリスト」
レイスの低い声が刺さる。
カリスト、背筋をビクッと伸ばして振り返り、顔だけで笑う。
「い、いや違います……!逃げようなんて、思っていませんよ……?」
語尾が震えている。
ウラヌス、即座に撃ち抜く。
「自爆してて草」
レイス、タバコをふかしながら。
「てかお前、“褐色は美の根源”とか言ってなかったか?」
「い、言いましたけど、それはその……。
“あくまで統計的に、褐色には審美的……いや!だからそれは仮説であって……!」
完全に墓穴を掘っている。
「あァ!?じゃあ焼いた意味よォ!?」
腕まくりしながら寄ってくる。
「ユ、ユピテル様ァ!?この顔は本物です!!詐欺じゃないです!!」
アンラ様、そんな騒ぎを微笑ましく見て一言。
「そうやって揉めてる姿が一番“無意識”っぽくていいねぇ……」
まとめ。
・集合的無意識は別に褐色を求めてはいなかった。
・ウラヌスの腹筋が割れた。
・ユピテルは褐色になった意味を未だ模索中。
・レイスは「俺インドちゃう」って10回くらい言ってる。
陽が傾き、フェスの喧騒も潮風に流れていく頃。
クロノチームは夕焼けのビーチで静かに佇んでいた。
そして、砂浜の中央には埋まっているカリストの姿があった。
「……おまえ、副官にキレることあるんだな」
レイスが軽く笑いながら、横目でユピテルを見る。
「あるわ。俺だって人だ。」
ユピテルが、あまりにも真顔で言った。
サンダルの砂を払いつつ、太陽を見上げるその姿には、どこか“芸術家の気配”すらある。
「カー君、なっちゃん超ファンサ良かったよ♡」
ウラヌスが地面のカリストにしゃがみ込んで。
フェス終わりのThe嫉妬ーズのファンサ報告を始める。
夕暮れがフェスの余韻を包み込む。
ステージはすでに片付けが始まり、音も光も少しずつ静かになっていく中。
ひときわ熱い空間が、まだそこには残っていた。
《The嫉妬ーズ》、物販&ファン対応エリア。
その中央に立つのは、当然この人。
“センターの蛇姫”こと、ナスカ=アングィス――なっちゃん。
風に揺れる白蛇の尻尾。落ち着いた声。
だがファンに向ける笑顔は、火傷しそうなほど優しかった。
「今日のうちわ、“手作り”だよね?」
少女ファンにそう微笑んで言うと、なっちゃんはその場で深く一礼した。
「ありがとう。“推してくれること”が一番のステージなの」
少女は泣いた。なっちゃんは、泣かせに来ていた。確信犯である。
「うわぁ……」
レイスが、その光景を見て言った。
「マジであれと離婚した旦那、女見る目腐ってるだろ。」
ファン周知の事実だが、なっちゃんはバツイチ(設定でなくガチ)である。
他のメンバーも、神がかっていた。
「あのさァ~!隣のヤツばっか見てたでしょ!?私見て!!」
ミミィは煽りファンサがガチすぎてオタが土下座した。
「その香水、知ってる……“あの人”と同じ……」
ルヴァンは何も知らない一般人を情念の海に突き落とした。
「握手は5秒まで。それ以上は蛇神拳が出るから」
バジルは一部マゾ系ファンに大ウケ。
だが、やはり記憶に残るのは、なっちゃんだった。
疲れた笑顔を隠さず、それでも一人ひとりの目を見て。
声をかけ、時に手を握り、そして、全員にこう言っていた。
「“誰かを羨ましい”って思えるなら、それはもう“恋”なんだよ」
「その気持ち、大事にしてね。だって……あなたも誰かの嫉妬対象なんだから♡」
その時、レイスは本気で思っていた。
「あの旦那、どこで間違った?」
「今度から“推し”って呼ぶね♡」
「今さらじゃありませんか!? てか、今首から下砂ですから!!」
「俺もファンになっちまったわ……マジ神対応……」
「……いい女だよ、ほんと。離婚したやつは蟲毒に落ちろ」
そして、埋まっている男-カリストが、かすれた声で呟いた。
「……あの、ユピテル様……私は、いつまでこの砂の中に?」
ユピテルは少しだけ考える素振りを見せた後。
「あと10分」
即答である。
風が吹く。
夕陽が海を赤く染め、首だけの副官を照らしている。
まさに、“褐色”の黄昏である。
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