【完結】近寄らないで、ひとりにして

立早うお

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第8話 ※微エロ

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 忘れたくても、忘れられないおぞましい光景。
 あれはまだ六歳のときのこと。
 ようやく舞台のリハーサルが終わり、役からただの母親に戻った理香子が恋しかったのか、綾瀬は駄々をこねていた。
 泣きべそをかいた息子を宥めようと、理香子はマネージャーの送迎を断り、劇場の近くのカフェへ行こうと言ってくれた。あそこのマカロンは大好きだ。
 楽屋口から出てしばらく歩いていると、つないだ手を突然放された。びっくりして母を見上げるのと同時に、いきなり突き飛ばされた。
 道路に尻餅をつき、お尻も肘も痛い。頭を上げると、倒れた理香子が見えた。
 理香子の上に男が乗っている。猛獣のように吼えながら、何度も包丁で彼女を刺した。
 鼓膜を突き破る鋭い悲鳴。
 アスファルトを染める紅血。
 蒼白な顔で倒れ込んだ理香子。
 男は、いつしか理香子と一緒に見たホラー映画に出てくるゾンビのようだ。血眼になって傷口から血を啜り飲み、腕を嚙む。人間と思えない行動をする。
 次第に生気を失っていく理香子の眼を、綾瀬はただ茫然と見つめる。
 再び意識を取り戻したとき、綾瀬は泣き喚いていた。母のもとに行きたいのに、周りの大人たちに引き止められた。
 助けに入ろうとする大人もいた。男は包丁を振り回して彼らを切った。
 理香子はその場で亡くなった。急所を深く刺され、臓器損傷による出血性ショック死だった。
 逮捕された男は理香子の熱狂的なファンで、フォークだった。
 彼は、理香子とは運命だと主張し、いつも美味しそうなにおいを漂わせて誘惑してくる彼女が悪いと妄言を並べた。
 理香子の血液を検査した結果、彼女はケーキだと判明した。
 事件の情報は、朝昼晩にやっているワイドショーから得た。引き取った叔母は多く語ってくれなかった。
 画面に映し出された犯人の写真を見て、ハッとした。見覚えがある。理香子の追っかけの常連のひとりだった。
 関係者入口付近に集まった追っかけの集団に、彼はいつも穏やかな笑みを浮かべ、理香子をただ静かに見つめる。
 あんなにやさしそうな人を狂わせるフォークの本能が恐ろしい。
 テレビから繰り返し聞こえてくる「フォーク」と「ケーキ」という単語に、恐怖がまるで水に墨汁を垂らしたように、あっという間に身体中に広がった。
  
    ◇
    
「あまり考えないようにしてるけど、たまにフラッシュバックするんだ」
 須加の手のひらが、手の甲をやさしく包み込んでくる。彼の体温に触れてはじめて、綾瀬は自分の手が冷たく、震えていることに気づいた。
「思い出したんですか」
「フライヤーに母さんの写真があった」
 身体まで震え出しそうになったとき、やわらかい衝撃のあと、温もりに包まれた。
 抱き締めてくる腕の力が強い。トクントクンと心臓の鼓動が耳を叩く。ケーキのさわやかな甘いにおいで安心感を覚えた。
 須加と出会ってから、過去の記憶を取り戻したように理香子と過ごした穏やかな日々を思い出す。そうか、と、須加の体温を感じながら綾瀬は思った。だから須加に母のことを話したいと思ったのだ。
 胸にじんわりと広がる温もりが、綾瀬の凝り固まった感情を溶かしていく。誰にも話せなかった後悔が、ついポロリと落ちた。
「……俺のせいなんだ」
 眼の奥が熱くなった。
「俺がグズったから、母さんはマカロンを食べに行こうって言ってくれた。あのときカフェに行かないでマネージャーの車で帰ったら、母さんは死ななかった……」
「先輩のせいじゃないです!」
 耳朶に触れる須加の声が、今にも泣き出してしまいそうな声だった。
「そんなことないです。先輩のお母さんはきっと、先輩のせいだと思ってないです。思うわけがないんじゃないですか」
「……そうかな」
 綾瀬は迷子にもなったような気分になった。
 今まで何度も思考を巡らせた。
 あのときもしグズらなかったら……
 あのとき素直にお母さんと一緒にいたいから早く帰ろうと言えたら……
 もしマネージャーさんも誘ったら……
 無数のたらればを考えては、無意味だと気づいてまた絶望の淵に落とされる。
「そうに決まってる! だから先輩、もう自分を責めないで」
 綾瀬は須加を見上げる。須加の眼に涙が湛えている。まるで自分のことのように悲しんでいる。そんな眼で見つめられると、つられて涙が込め上げてきた。
 見つめ合って数秒。
 視界がだんだん須加に埋め尽くされた。涙が落ちる前に、まぶたを下ろす。重なったくちびるに、須加の甘い吐息が当たった。
 どうして今口づけをしたんだろう、と考えて数秒、すぐに思考をやめた。
 須加のくちびるが綾瀬の頬を這う。濡れた眦をつうーっと撫でたら、またくちびるに戻ってきた。
 甘くて、やさしくて、くすぐったい。
 これは食事のためのものじゃない。綾瀬の心に刻まれた無数のキズを慈しむ口づけだ。
 そう気づくと、むずかゆい気持ちが一気に膨らんだ。ぞわぞわして、思わず足指を丸めた。今までとは違う、未知の感覚だった。
「…………ッ」
 今の感覚はなんなのか。確かめたくて、綾瀬はおそるおそる舌を伸ばして須加の舌に触れてみた。
 そうすると、まるで意思疎通したように須加は綾瀬の舌を絡み取る。肉厚の舌が器用に側面をさする。蠢くくちびるに舌を吸われる。
「――ンッ」
 鼻から抜ける声が甘い。それは自分の声なのだと綾瀬は一瞬わからなかった。
 後頭部が痺れ、頭の中が真っ白になった。下腹の奥も熱い。
 捕食でもなく、慰めでもない――質がさらに変わったこの口づけにもし意味をつけるとしたら。
「……先輩」
 須加の声が、熱っぽい。見つめてくる瞳にも熱がこもっている。においも、味も、普段よりずっと甘い。ハニーポットに溺れているような気分だ。
「勃ってる……」
 須加の視線を追って綾瀬は自身を見下ろす。ジーパンの前が盛り上がっている。
「やぁ……違っ」
 慌てて服の裾を引っ張って膨らみを隠す。恥ずかしさで須加を直視できない。混乱で言い訳も思いつかない。
 知識があっても、今までこんなふうになったことがない。自分の身体の変化に頭が追いつかない。
「大丈夫ですよ、先輩」
 須加は綾瀬の手を取ると、自身の股間へと導く。手のひらに触れたそこが硬い。
「俺も……今ので勃った」
「……」
「触っていいですか」
「でも……」
「もしかして、はじめてですか」
「……」
 上気した顔が物語っている。
「大丈夫です。俺に触らせて」
「……でも、恥ずかしい」
「じゃチューしながらしましょう。俺の体液に集中してれば恥ずかしくないでしょう?」
 それ以上なにも言わなかった。無言を同意と捉えた須加のくちびるを受け止めたとたん、残りわずかの思考力まで甘い熱に奪われた。
 砂糖をまぶすように、須加の舌が口の中を弄る。上あごをチロチロとくすぐり、今か今かとそわそわする綾瀬の舌を吸って甘齧りする。
 前触れもなくジーパン越しに膨らみを撫でてくる手が、やがてジーパンの中に侵入した。直に握られると、慣れない刺激に腰を引いて逃げたくなった。すぐに抱き寄せられた。
 上下に擦られただけで、すぐに限界を迎え、呆気なく果てた。
「はっ、はっ……」
 ドクンドクンと脈打つ音が全身に響く。力が入らない。呼吸を整えながら、ぼんやりとティッシュで手を拭く須加を見る。彼の股間は、さっきより膨らんでいる気がする。
「先輩、ちょっと待っててください」
 背を向けられたまま、須加はボトムスの前を寛げた。
 とたん、バニラのような濃厚で華やかなにおいが部屋に広がる。甘くて、食欲をそそられる。
「……須加」
 振り向いてくれた彼の口を、綾瀬ははじめて自分から塞いだ。舌を中に伸ばして舐める。
 甘い。
 ――でも、これじゃない。
 顔の角度を変え、舌を吸い、吸われ、果汁を飲みながらにおいのもとを探す。
 薄く眼を開き、須加の足の間を見る。
 口づけの最中も、須加は忙しなく手を動かしている。
 甘美なにおいをするそこに、綾瀬は手を伸ばした。さっきされたみたいに男の性を刺激する。
「せんぱっ……なにしてるんですか」
「甘い、美味しそう……食べたい」
「――ッ」
 須加の手の動きがさらに早くなった。ぎゅっと目をつむり、低く唸ったあと、互いの手を濡らした。
 綾瀬は指についた白濁液を舐めてみる。芳醇な香り、コクのある味わい――想像よりもずっと甘かった。
「……えっと、どうでした?」
「美味しい。お腹にたまりそう」
「……ならよかったです」
 首までを赤くした須加は使ったティッシュを丸めてゴミ箱に捨てた。
 なんてもったいないことをするんだ
 ボトムスを履き直す須加を眺めていると、頭の中にこもった熱が次第に冷めていく。理性を取り戻したとたん、羞恥で爆発しそうになった。
(俺、なにを……)
 思わず両手で頭を抱える。手のひらに須加の甘いにおいが残っている。
「先輩、今日このまま泊まりませんか?」
「えっ」
「まだ一緒にいたいです」
 まっすぐに見据えてくる須加の眼差しに、いたたまれない気分になった。
 でも、彼の体温に触れてすっかり心が弱くなったのか、今はもう少し一緒にいたい、と綾瀬もそう思った。

 お風呂が沸いたことを須加の母に知らされ、綾瀬は先に使わせてもらった。
 湯気が立ち込めた浴室にこもったシャンプーの香りが、他人の家にいると改めて実感させられた。
 曇った鏡に映った自分の裸体を見る。須加の手の感触を思い出してきた。熱くて、少し強引な手つきが与える甘い感覚は、タオルで擦っても肌に纏わりついたまま。
 体温がわずかに上がった。その熱が身体中に広がる前に、綾瀬は慌ててお湯を頭からかぶった。
 須加と順番にお風呂を済ませたあと、部屋に戻る途中に、しずくに「理人、絵本を読んで」とねだられた。
 戸惑いながら、須加と一緒にしずくの部屋に入る。小さなベッドによじ登ったしずくは、準備していた絵本を渡してきた。
 ベッドの横の椅子に腰をかけ、しずくも見えるように絵本を開く。
「しー、俺もそっち行っていい?」
「えーだめ」
「俺への扱いひどくない?」
 しょんぼりとした須加は、子供用の小さい学習椅子にちょこんと座った。
 綾瀬は小さく息を吸ってから、カラフルなページに書かれた文字を読み上げる。はじめてだから、ぎごちないのは仕方がない。
 少し離れたところから、須加の慈愛のこもった眼差しを感じる。
 それはきっと、眼に入れても痛くないかわいい妹に向けるもの。そうわかっていながら、視界に自分も入っていると考えると、変に意識してしまう。
 ゆっくりと物語を読む声が微かに震えている。抑揚も演技もない。読みながら、つまらないだろうな、と自身に毒づく。
(母さんはどんなふうに読んでたっけ)
 遠すぎる記憶を掘り起こしてみる。
 演技を生業にする理香子の読む絵本はたしか迫力があった。おもしろくて、楽しくて、眠気が飛ぶほど夢中になっていた。
 理香子に比べると、一足先母親業を始めた叔母のほうが、子供を寝かしつけのための読み聞かせが上手だった。
 ページを捲り、音が漏れないよう呼吸する。叔母の読み方を思い出しながら、声のトーンやテンポを意識して読む。
 腕にあたたかいものが当たると思ったら、いつの間にかしずくがもたれかかってきた。その重みが次第に増す。チラリと一瞥する。しずくはついにまぶたを下ろした。
 またページを捲る。
 声音が尻すぼみになって消え入ったあとも、しずくはスヤスヤと、起きる気配がなかった。絵本を閉じると、須加が手慣れた様子で妹をベッドに寝かせた。
 一緒にしずくの部屋を出て、須加の部屋に戻る。来客用の布団がいつの間にかベッドの横に敷かれていた。
「先輩、ベッドを使います?」
「いや、俺は布団でいいよ」
「てか一緒にベッドで寝てもいいですよ」
 このベッドになにをしていたかと思い出すと、顔から火が出るほど熱くなった。
「からかうな」
 布団一択だという意思表明のように、綾瀬は布団に寝転がった。
 笑いながら、須加は横を通ってベッドに上がる。
 須加が動くと、ふんわりとシャンプーのいい香りが漂ってくる。同じ香りを、綾瀬も纏っている。
 確かめるように息を吸う。
 清潔感のあるいい香りだ、と思う同時に。
 ――邪魔だ。
 ふいに脳裏に響いた硬質な声音が、自分の中に隠れたもうひとりの自分の気持ち。胸がドクンと嫌な音を鳴らした。
「先輩、もう寝ます?」
「……うん」
 綾瀬の変化に気づくことなく、須加はリモコンで明かりを消す。
 動悸はすぐにおさまらない。
 フォークとケーキって、本当に一緒にいて大丈夫か。
 今は大丈夫でも、そのうち須加の味に執着して、過ちを犯すのではないか。
 出口のない思考の迷路に迷い込む前に、眠ってしまおうと綾瀬はぎゅっと眼をつむった。
「先輩、もう寝ましたか」
 ささやきに近い須加の問いに、綾瀬は少し考えてから返事した。
「……まだ」
「お母さんが亡くなられたあと、先輩はどうしてたんですか」
「叔母ちゃんの家に引き取られた」
「どうして今ひとりで住んでるんですか」
 言葉が詰まった。母の死の衝撃と痛みに比べると、たいしたことではないかもしれない。ただ、罪悪感が喉奥を締め、言葉を吐き出せない。鎖骨についた傷跡を、服の上からそっと触れる。
「いろいろあって……」
「叔母さんと仲が悪くなったんですか」
「そんなじゃない。叔母ちゃんはやさしい。やさしすぎる人なんだ。遺された俺を大事にしすぎて……俺がフォークってわかって、もうそれ以上面倒をかけたくないから家を出ただけだ」
 誤解させてほしくなくて、焦りでいつもより饒舌になった。しゃべりながら、傷跡がヒリヒリとかゆくなった。
 先輩――と。須加の声音が、寂しい響きを持って薄暗闇に消え入った。
「先輩が背負ってるものを、いつか俺にも分けてください」
 綾瀬はなにも返さなかった。返すことができなかった。
 重くてつらい思い出を分けても、悲しさは半減しない。むしろ不安を与えることで、この温もりを失ってしまうかもしれない。
 ニュースでは捕食事件を取り上げるが、多くの人にとってそれはある種のフィクションに過ぎない。実際に遭遇したことがないし、自分とは無関係だと思っている。
 須加もそうかもしれない。どうしてフォークは犯罪者予備軍のレッテルを貼られるか、真の意味でわかっていないから軽率に近づいてくる。
 フォークの恐ろしさを説くべきだ。
 フォークの自分から離れるべきだ。
 理性がそう語りかけてくる。「でも……」と心が間を置かずに遮る。
 須加の体液が、お腹を満たし、心を潤す。
 須加と一緒にいると、日常を取り戻せる気がする。
 たとえそれはつかの間の夢だとしても、まだ手放したくない。
 俺って、本当に弱いなあ。そう自嘲したくなる。
「気が向いたらでいいです。ひとりで抱え込まないでください」
 長い沈黙のあと、「おやすみさい」と須加がささやいた。
 綾瀬は声を発しなかった。
 ほどなくして、寝息が聞こえた。視線だけベッドのほうに向ける。眠気がやってくるまで、須加の気配をただ静かに感じる。
  


 ****************

 お読みいただきありがとうございました。
 次は7/21 お昼頃に第9話を投稿する予定です!
 よかったらまた読んでやってください
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