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第10話
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蒸し暑い日が続き、窓から吹き込んだ風すら熱を帯びている。扇風機をつけても、涼しく感じたのは最初の一瞬だけ、室温はさほど変わらない。
宿題を終えた綾瀬はスマホで時間を確かめる。二十五分ほど前に、『今から行きます』と須加からメッセージが届いた。
もうそろそろ着く頃合いだ。綾瀬は急いで窓を閉めてエアコンをつけ、薬を飲む。
ほどなくして、須加がマンションの前に着いた。
「お邪魔します」
外の熱気を纏った彼が白い歯を見せて笑う。首筋を伝う一筋の汗。制汗剤の香りとケーキのにおいが狭い玄関に充満する。
「涼しい! 外すごく暑いですよ」
そう言いながら、須加はパンパンに膨らんだレジ袋を調理台の上に置いた。
「今日は冷やしうどんにします」
買ってきた食材を並べ、調理道具を取り出す。
先輩にご飯を作りたいです。そう宣言してから、須加は数日に一回、ご飯を作るため訪れてくる。
紙パックの野菜ジュースしか入っていなかった冷蔵庫に、須加が買い込んできた食材や作り置きがずらっと並ぶ。キッチンの調理道具も、部屋にある座布団やマグカップも、須加専用のもの。気づけば家のあちこちに、彼の存在を感じさせる形跡が残っている。
三年間も暮らしていた家が今さら、生活のにおいが漂い始めた。
狭い廊下キッチンにいても邪魔になるだけ。綾瀬は部屋に戻り、夕飯が出来上がるまでもう少し勉強を進める。
進路調査票をまだ提出していないことが叔母に伝わり、少し前に電話がかかってきた。
夢もやりたいこともない。未来のことを思い描くと、知らない誰かを襲ってしまう妄想が浮かぶ。新しい環境での集団生活を想像するだけで、不安で胸がざわつく。
「進路はどうするの?」
叔母に問われ、綾瀬は言葉を詰まらせた。
「……進学は、しない」
「それはフォークだから?」
「…………」
「理人の成績ならいい大学に行けるって先生が言ってたよ。もしやりたいことがまだ見つからないなら、時間稼ぎだと思っても構わないから大学に行ってほしい。姉ちゃんだってそう思ってるよ。理人の大学卒業までの学費を稼がなきゃって、理人が生まれたときにそう言ってたの」
理香子を思い出した叔母の声音に懐かしい響きがした。母の願いでもあると諭されると、進学しない選択肢がなくなった。ずっと埋められなかった進路調査票に、「進学」と二文字を書き込むのに気力を要した。
「そろそろできますよ」
廊下から響いてきた声に、綾瀬はローテーブルの上を片づける。
ほどなくして、須加は出来上がった料理を運んできた。
百均ショップで買った藍色のお皿に、白いうどん、くし形に切った赤いトマト、きゅうりの千切りにめんつゆ。さっぱりとした、夏にぴったりの一品。
食事のお供に須加はお茶を好むが、綾瀬は水がいい。それぞれ飲み物を用意し、定位置に落ち着いたあと、いただきますと合掌する。食事の挨拶が気づけば、生活の一部として戻ってきた。
うどんのもちもちとした食感。きゅうりのシャキシャキ。真っ赤なトマトに歯を立てる。口の中に果汁が弾け、慌てて手で口元を押さえる。
向かいを見ると、須加も同じだった。思わずぷっと吹き出して笑い合う。
「トマト、すごかったな」
「うん、びっくりしました」
この一ヶ月間、何度もこうして須加と食事をとっているのに、それでもふとした瞬間、夢心地になる。
食器を片づけたあと、部屋のどこかでもうひとつの「食事」を行う。
ローテーブルの前で、シンクの前で、ベッドの横で、今日は玄関だ。
わざわざ言葉にしなくても、甘い熱を孕んだ目くばせひとつで、自然とくちびるを交わした。
幾度となく続けている行為だが、いまだに慣れそうにない。最近はますますひどくなっているように思える。
須加の顔が近づいてくると、胸が甘く締めつけられる。唾液を流し込まれると、砂糖の海にでも溺れたように頭の奥が痺れる。
「じゃあ、また学校で」
須加を見送ったあと、綾瀬は鍵をかけて部屋に戻る。須加が残した温もりは、人工的な冷たい風に冷まされていく。
エアコンの風が、胸の隙間を通り抜ける。
理香子が仕事で留守するときによく襲ってくるこの感覚が、寂しさと呼ばれていることを思い出す。
ふわりと浮き上がったこの感覚が身体に、心に馴染むまで、綾瀬は口内に残った甘い余韻にしばらく浸っていた。
空が黒紗をかけたように薄暗く、今にも雨を降り出しそうな日曜日の朝。
天気に引っ張られたのか、それとも夢の影響か、綾瀬は目覚めたときからどんよりとした気分だった。
こういう日に、よく昔のことを思い起こす。
さまざまな情景が脳裏に交差し、間近で浴びたフォークの狂気を思い出すと、鎖骨辺りの皮膚がヒリヒリしてかゆくなる。
ピコン、と明るくなったスマホの画面に須加の名前が表示された。ぐるぐると回り始めたおぞましい過去の渦の勢いが弱まった。
服の上から傷跡があるところを押さえ、深呼吸する。幾分平静を取り戻してから、メッセージを確かめる。
今日は、須加兄妹と出かける予定だ。
ピクニックの予定だったが、天気が微妙だから、行き先は公園から須加家に変更、という連絡だった。
待ち合わせ時間が近づき、綾瀬はひと言だけ返して家を出た。
駅へ向かう途中にパラパラと小雨が降り出した。顔に雨粒が落ちてくるまで、傘を持ってこなかったことにすっかり忘れていた。
周りに傘をさす人が増え、広くない歩道がさらに狭くなった。すれ違う人を避け切れず、肩がぶつかり、よろめきながら「すみません」とささやく。
「チッ」
返されたのは舌打ちひとつ。小さな響きに滲む悪意が、嫌な記憶を呼び起こすきっかけとなった。
萎縮した綾瀬はもう一度「すみません」とつぶやき、俯いたまま駅へ向かった。
「理人!」
改札を出て、視線を巡らせる前にかわいらしい声が聞こえた。声がしたほうに向けた視界の先に、大きく手を振っているしずくと須加がいた。
「お待たせ」
「俺たちも今着いたばっかです」
「しずくも来てくれたんだ」
「うん! 理人に早く会いたいの」
満面の笑みを浮かべるしずくの頬がおもちのようにやわらかそうだ。その笑顔を見ていると、荒んだ気分が癒される。
「じゃ行きましょうか。先輩、傘は?」
「忘れた。家を出るとき雨が降ってなかったから」
「じゃあこっちに入ってください。しー、もう行くから手をつなごう」
「や、理人と手をつなぐ」
綾瀬の右側に回ったしずくはぎゅっと綾瀬の手を握った。子供の手が小さくて、あたたかい。
当たり前のように綾瀬と手をつなぐ妹を見て、須加は複雑な表情を浮かべた。
大好きな妹に構ってもらえなくて落ち込んだ彼を見ると、ちょっとからかってみたくなった。しずくの手をぎゅっと握り返すと、しずくがうふふっと笑い、甘えるように綾瀬の腕に縋りつく。
「しー、それだと歩きづらいだろう。普通にしなさい」
「えー」
「先輩、こっちに寄ってくださいね。じゃないと雨に濡れるから」
「もうすでに濡れてるから、別に気にしないよ」
「ダメ! 風邪ひいちゃいますよ」
大きいビニール傘だが、男ふたりで分け合うには狭い。
「もっと寄ってきても大丈夫です」
そう言われると、綾瀬はもう少し内側へ身体を寄せる。肩が須加の傘を持つ腕に触れ、ドキッと胸が震えた。
チラリと横にいる須加を見上げる。
須加の耳を染める赤を認めると、心音がさらにうるさくなった。
「ふん、ふ~ん、ふんっ」
綾瀬の気持ちを知らず、レインコートを羽織ったしずくは鼻歌を口ずさみながら、楽しそうに綾瀬の手を前後に振って帰路につく。
ピクニックを楽しみにしていたしずくは、早起きして須加と一緒にお弁当を作っていた。居間にレジャーシートを敷き、その上にお弁当箱を並べる。少しでもピクニック気分を味わう。
遊んだりおしゃべりしたり、小腹が空いたらおかずを摘み食いする。遊び疲れてうとうとし始めたしずくにつられ、綾瀬のまぶたも次第に重くなってきた。
いつの間にか寝落ちした。起きたとき窓の外は夜の帷に包まれた。小雨は依然と降っている。
帰ってきた須加の両親と二言三言を交わしたあと、お暇する。
止む気配がしない小雨混じりの空を見上げ、綾瀬は鍵をかける須加に振り向く。
「送らなくていいよ。雨降ってるし。傘だけ貸してくれると助かる」
「家まで送りますよ。夜道をひとりで歩かせたくないです」
「女の子じゃないし、大丈夫だ」
言い合いながら、駅へ向かう。
帰りはひとりで借りた傘をさす。開いた傘と傘の分だけ、須加との間に距離ができた。
日曜の夜、雨音だけが響く住宅街。広い歩道にはふたりだけ。いつも多弁な須加は静かだった。
しばらく道を進み、次の角で曲がると駅が見えてくる。人通りが一気に増える。
「先輩」
「ん?」
「お腹、まだいっぱいですか」
傘の柄を握り締め、注いでくる視線を感じる。少し考えてから、頷く。
「そうですか」
須加のささやきに、残念そうな響きがした。
************
次は明日、7/25の夜に更新します
重めのパートに突入します
よかったらまた読んでやってください
宿題を終えた綾瀬はスマホで時間を確かめる。二十五分ほど前に、『今から行きます』と須加からメッセージが届いた。
もうそろそろ着く頃合いだ。綾瀬は急いで窓を閉めてエアコンをつけ、薬を飲む。
ほどなくして、須加がマンションの前に着いた。
「お邪魔します」
外の熱気を纏った彼が白い歯を見せて笑う。首筋を伝う一筋の汗。制汗剤の香りとケーキのにおいが狭い玄関に充満する。
「涼しい! 外すごく暑いですよ」
そう言いながら、須加はパンパンに膨らんだレジ袋を調理台の上に置いた。
「今日は冷やしうどんにします」
買ってきた食材を並べ、調理道具を取り出す。
先輩にご飯を作りたいです。そう宣言してから、須加は数日に一回、ご飯を作るため訪れてくる。
紙パックの野菜ジュースしか入っていなかった冷蔵庫に、須加が買い込んできた食材や作り置きがずらっと並ぶ。キッチンの調理道具も、部屋にある座布団やマグカップも、須加専用のもの。気づけば家のあちこちに、彼の存在を感じさせる形跡が残っている。
三年間も暮らしていた家が今さら、生活のにおいが漂い始めた。
狭い廊下キッチンにいても邪魔になるだけ。綾瀬は部屋に戻り、夕飯が出来上がるまでもう少し勉強を進める。
進路調査票をまだ提出していないことが叔母に伝わり、少し前に電話がかかってきた。
夢もやりたいこともない。未来のことを思い描くと、知らない誰かを襲ってしまう妄想が浮かぶ。新しい環境での集団生活を想像するだけで、不安で胸がざわつく。
「進路はどうするの?」
叔母に問われ、綾瀬は言葉を詰まらせた。
「……進学は、しない」
「それはフォークだから?」
「…………」
「理人の成績ならいい大学に行けるって先生が言ってたよ。もしやりたいことがまだ見つからないなら、時間稼ぎだと思っても構わないから大学に行ってほしい。姉ちゃんだってそう思ってるよ。理人の大学卒業までの学費を稼がなきゃって、理人が生まれたときにそう言ってたの」
理香子を思い出した叔母の声音に懐かしい響きがした。母の願いでもあると諭されると、進学しない選択肢がなくなった。ずっと埋められなかった進路調査票に、「進学」と二文字を書き込むのに気力を要した。
「そろそろできますよ」
廊下から響いてきた声に、綾瀬はローテーブルの上を片づける。
ほどなくして、須加は出来上がった料理を運んできた。
百均ショップで買った藍色のお皿に、白いうどん、くし形に切った赤いトマト、きゅうりの千切りにめんつゆ。さっぱりとした、夏にぴったりの一品。
食事のお供に須加はお茶を好むが、綾瀬は水がいい。それぞれ飲み物を用意し、定位置に落ち着いたあと、いただきますと合掌する。食事の挨拶が気づけば、生活の一部として戻ってきた。
うどんのもちもちとした食感。きゅうりのシャキシャキ。真っ赤なトマトに歯を立てる。口の中に果汁が弾け、慌てて手で口元を押さえる。
向かいを見ると、須加も同じだった。思わずぷっと吹き出して笑い合う。
「トマト、すごかったな」
「うん、びっくりしました」
この一ヶ月間、何度もこうして須加と食事をとっているのに、それでもふとした瞬間、夢心地になる。
食器を片づけたあと、部屋のどこかでもうひとつの「食事」を行う。
ローテーブルの前で、シンクの前で、ベッドの横で、今日は玄関だ。
わざわざ言葉にしなくても、甘い熱を孕んだ目くばせひとつで、自然とくちびるを交わした。
幾度となく続けている行為だが、いまだに慣れそうにない。最近はますますひどくなっているように思える。
須加の顔が近づいてくると、胸が甘く締めつけられる。唾液を流し込まれると、砂糖の海にでも溺れたように頭の奥が痺れる。
「じゃあ、また学校で」
須加を見送ったあと、綾瀬は鍵をかけて部屋に戻る。須加が残した温もりは、人工的な冷たい風に冷まされていく。
エアコンの風が、胸の隙間を通り抜ける。
理香子が仕事で留守するときによく襲ってくるこの感覚が、寂しさと呼ばれていることを思い出す。
ふわりと浮き上がったこの感覚が身体に、心に馴染むまで、綾瀬は口内に残った甘い余韻にしばらく浸っていた。
空が黒紗をかけたように薄暗く、今にも雨を降り出しそうな日曜日の朝。
天気に引っ張られたのか、それとも夢の影響か、綾瀬は目覚めたときからどんよりとした気分だった。
こういう日に、よく昔のことを思い起こす。
さまざまな情景が脳裏に交差し、間近で浴びたフォークの狂気を思い出すと、鎖骨辺りの皮膚がヒリヒリしてかゆくなる。
ピコン、と明るくなったスマホの画面に須加の名前が表示された。ぐるぐると回り始めたおぞましい過去の渦の勢いが弱まった。
服の上から傷跡があるところを押さえ、深呼吸する。幾分平静を取り戻してから、メッセージを確かめる。
今日は、須加兄妹と出かける予定だ。
ピクニックの予定だったが、天気が微妙だから、行き先は公園から須加家に変更、という連絡だった。
待ち合わせ時間が近づき、綾瀬はひと言だけ返して家を出た。
駅へ向かう途中にパラパラと小雨が降り出した。顔に雨粒が落ちてくるまで、傘を持ってこなかったことにすっかり忘れていた。
周りに傘をさす人が増え、広くない歩道がさらに狭くなった。すれ違う人を避け切れず、肩がぶつかり、よろめきながら「すみません」とささやく。
「チッ」
返されたのは舌打ちひとつ。小さな響きに滲む悪意が、嫌な記憶を呼び起こすきっかけとなった。
萎縮した綾瀬はもう一度「すみません」とつぶやき、俯いたまま駅へ向かった。
「理人!」
改札を出て、視線を巡らせる前にかわいらしい声が聞こえた。声がしたほうに向けた視界の先に、大きく手を振っているしずくと須加がいた。
「お待たせ」
「俺たちも今着いたばっかです」
「しずくも来てくれたんだ」
「うん! 理人に早く会いたいの」
満面の笑みを浮かべるしずくの頬がおもちのようにやわらかそうだ。その笑顔を見ていると、荒んだ気分が癒される。
「じゃ行きましょうか。先輩、傘は?」
「忘れた。家を出るとき雨が降ってなかったから」
「じゃあこっちに入ってください。しー、もう行くから手をつなごう」
「や、理人と手をつなぐ」
綾瀬の右側に回ったしずくはぎゅっと綾瀬の手を握った。子供の手が小さくて、あたたかい。
当たり前のように綾瀬と手をつなぐ妹を見て、須加は複雑な表情を浮かべた。
大好きな妹に構ってもらえなくて落ち込んだ彼を見ると、ちょっとからかってみたくなった。しずくの手をぎゅっと握り返すと、しずくがうふふっと笑い、甘えるように綾瀬の腕に縋りつく。
「しー、それだと歩きづらいだろう。普通にしなさい」
「えー」
「先輩、こっちに寄ってくださいね。じゃないと雨に濡れるから」
「もうすでに濡れてるから、別に気にしないよ」
「ダメ! 風邪ひいちゃいますよ」
大きいビニール傘だが、男ふたりで分け合うには狭い。
「もっと寄ってきても大丈夫です」
そう言われると、綾瀬はもう少し内側へ身体を寄せる。肩が須加の傘を持つ腕に触れ、ドキッと胸が震えた。
チラリと横にいる須加を見上げる。
須加の耳を染める赤を認めると、心音がさらにうるさくなった。
「ふん、ふ~ん、ふんっ」
綾瀬の気持ちを知らず、レインコートを羽織ったしずくは鼻歌を口ずさみながら、楽しそうに綾瀬の手を前後に振って帰路につく。
ピクニックを楽しみにしていたしずくは、早起きして須加と一緒にお弁当を作っていた。居間にレジャーシートを敷き、その上にお弁当箱を並べる。少しでもピクニック気分を味わう。
遊んだりおしゃべりしたり、小腹が空いたらおかずを摘み食いする。遊び疲れてうとうとし始めたしずくにつられ、綾瀬のまぶたも次第に重くなってきた。
いつの間にか寝落ちした。起きたとき窓の外は夜の帷に包まれた。小雨は依然と降っている。
帰ってきた須加の両親と二言三言を交わしたあと、お暇する。
止む気配がしない小雨混じりの空を見上げ、綾瀬は鍵をかける須加に振り向く。
「送らなくていいよ。雨降ってるし。傘だけ貸してくれると助かる」
「家まで送りますよ。夜道をひとりで歩かせたくないです」
「女の子じゃないし、大丈夫だ」
言い合いながら、駅へ向かう。
帰りはひとりで借りた傘をさす。開いた傘と傘の分だけ、須加との間に距離ができた。
日曜の夜、雨音だけが響く住宅街。広い歩道にはふたりだけ。いつも多弁な須加は静かだった。
しばらく道を進み、次の角で曲がると駅が見えてくる。人通りが一気に増える。
「先輩」
「ん?」
「お腹、まだいっぱいですか」
傘の柄を握り締め、注いでくる視線を感じる。少し考えてから、頷く。
「そうですか」
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