【完結】とあるポンコツ女神サマの恋愛術!

コル

文字の大きさ
36 / 41
7章 とある女神サマ、運命の文化祭へ

とある少年と少女の昔話(1)

しおりを挟む
 もう夕方の5時半か……なんだかんだで、あっという間の1日だったな。

「もう蓮華祭も終わりか~」

「そうだねぇ~」

 グラウンドでは、キャンプファイヤーをする為に木が組まれ始めている。
 あの組み立てられた木に火がつけば、蓮華祭は終わり後夜祭となる。
 昼間はイベント等に使われたグラウンドにある野外ステージも撤去せずに残っている。
 後夜祭になれば、そのステージも自由に使っていいものだから生徒がたくさんうえに上がり大はしゃぎだ。
 この時ばかりは、先生たちもあちこちで好き勝手に楽しんでいる。
 生徒に囲まれていたり、生徒たちを優しい目で眺めていたり、中には生徒と一緒にステージに上がってはしゃいでいる先生までいる。
 無論、先生たちはお酒を飲めないし、生徒たちも決められたラインがあるから危険な行為はしてはいけないけどな。

「なんか、あっという間に終わっちゃった感じだわ」

「そうだねぇ~」

 そんな様子を窓から眺めながら、神野さんと星木さんが黄昏ている。
 今俺は、義秋、神野さん、星木さんの4人で校舎の2階にある義秋のクラスの教室にお邪魔をしている。
 この教室は校舎の真ん中あたりに位置しているし、高さも丁度いいからグラウンド全体を良い感じで見わたせる。
 しかも、みんなグラウンドに出ているらしく俺たち以外にこの教室はいない。
 まさに特等席だな、教室に案内をしてくれた義秋には感謝しないと。
 ちなみに香夏子は実行員だから、後夜祭の準備の為にこの場にはいない。
 多分、あの騒ぎの中でもみくちゃにされているんだろうな……色んな意味でちょっとかわいそうだけど、こればかりはどうしようもない。
 頑張れ香夏子、ここで応援をしているからな。

「あれぇ? ねぇねぇあの箱ってぇ、もしかしてクジボックスぅ?」

 星木さんが指をさした棚の上に、箱が置いてある。
 箱の上には手を入れる様に穴が空いている事から、間違いなクジボックスだろうな。

「義秋のクラスもクジで決めたのか」

 クジで決めるのが先生達の間で流行っているのだろうか。
 ……もしかして、メイティーの洗脳が他の先生にも感染してしまったのか?

「そうだけど……もって事はお前たちのクラスは」

「うん、私達のクラスもクジで決めたんだよ」

 まぁ仮にそうだとしても、蓮華高校内の流行りだけなら問題は無いか。
 世界中でってなったら大問題だけど。

「おっまだ中にクジが入ったままだぁ」

 いつの間にか、星木さんがクジボックスの中を覗いている。
 興味津々って感じだな。

「ねぇねぇ、中身を見てもいいかなぁ?」

「いいぜ、特に面白い物はないけどな」

 義秋のクラスは何を書いて入れたんだろう。
 そこは俺も興味を惹かれるな。

「やったぁ~。え~と……コスプレカフェ、カレー屋、お化け屋敷、クイズ大会、プラネタリウム、バザー……」

 星木さんがクジボックスの中からクジを取り出し読み上げていく。
 俺達のクラスでも出た奴もあるし、やっぱみんな考える事は一緒なんだな。

「やっぱり、他のクラスもよく似たものばかりだね。けど、お化け屋敷は被らなくてよかった~」

 もし被ったら、各クラスの実行委員がジャンケンで決めることになっていたはず。
 香夏子はジャンケンに弱いからな……本当に今年は被らなくて良かった。

「ん? ……校舎の屋上から告白するぅ? これぇ出し物じゃなくて企画じゃないのぉ」

 ここにメイティーのほしがっていた物があったし!
 誰だよ! メイティーと同じ思考の持ち主は!?

「言っておくが、俺じゃないからな。俺はコスプレカフェって書いたし」

 義秋はメイティー思考じゃなかったようだ。
 が、星木さんが何故お化け屋敷であんな格好になっていたのかはわかった。
 星木さんは義秋を喜ばせるためにコスプレをしていたんだな……けど、お化け役でやる事はないでしょうに。
 相変わらずその辺りはマイペースな人だ。

「そんな事はわかってるよぉ。え~と、他はぁ……街の歴史かぁ。これはこれで面白そうだねぇ」

「あ~街の歴史か~。確かに変化ってすごいよね、この街に戻って街の変わりようにびっくりしたもの」

「戻ってって、神野ちゃんは他に住んでいたんだ」

 義秋は、その事を知らなかったのか。
 星木さんは驚いていないから、その話は聞いていたっぽいな。
 なら、当然香夏子も知っているだろう。

「うん、私が小学生の時にお父さんの転勤で引っ越したのよ。1年前ほど前にこっちへ戻ったの」

「へぇーそうだったんだ」

「そういえばぁ小学生までって言っても、みんなはメイっちの事を知らないよねぇ。隣町の小学校に行っていたのぉ?」

「そうだよ。両親が隣町の小学校に通っていたから、私もそこに行きなさいって言われて通っていたの」

 なるほど、それは初耳だ。
 まぁ特にここでは小学校の指定はないし、距離もそう変わらないしな。

「メイっちがどんな小学生だったのか聞きたいなぁ!」

 ――っ!
 それは俺も聞きたいです!

「え~別に話してもいいけど、私の小学生時代の話を聞いても面白くないと思うよ?」

 それでも俺は聞きたいです!

「わたしはぁ聞きたい~」

「俺も、神野ちゃんの小学生の時の話を聞いてみたいな」

「おっ俺も聞いてみたい……なんて……ははは……」

 タコ公園で遊んでいた事は聞いたけど、それ以外は知らないから興味がある。
 ……後、もしかしたらずっと気になっている神野さんの大切な人の話が聞けるかもしれない。

「そこまで言うのなら……実は昔の私って、活発で男勝りだったんだよ」

 えっ!?
 今と違い過ぎて全然想像が出来ない。

「スカートも嫌いだったからいつも短パンやロングパンツを履いていたし、髪の毛も短くて、よく男の子に間違えられたんだ。あははは」

 今と完全に真逆じゃないか。
 ……あーでも、それなら神野さんと香夏子が仲良くなったのもわかる気がする。

「で、両親の帰りが遅いから遅くまでタコ公園で過ごしていたんだ……何もせず、ただブランコに揺られたり、ベンチに座って本を読んだり、暗くなっていく空を見ていたりしてたな~……」

 そして、急に重い話をぶっこまれた。
 当時の俺は、何故神野さんを見つける事が出来なかったんだ。

「メイっちぃいいい! もう寂しくないよぉ! 今はわたし達がいるからねぇ!」

 星木さんが涙目で神野さんに抱き付いた。
 同性だから簡単にできる行為が羨ましい。

「美冬ちゃん、ありがとうね。でも、そんな寂しい想いをしている時に男の子が話しかけてくれてね。それから引っ越すまで、毎日一緒に遊んでくれたからそこまで辛い思い出じゃないんだよ」

「おお! そんな事があったのかぁ……メイっちったら、おませさんだったんだねぇ」

 今の話を聞く限り、その男の子が神野さんの言った大切な人だ。
 感じ的には恋人ではなさそうだけど……神野さんにとって特別な子には間違いないな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない

朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。 止まっていた時が。 再び、動き出す―――。 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦* 衣川遥稀(いがわ はるき) 好きな人に素直になることができない 松尾聖志(まつお さとし) イケメンで人気者 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』

鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。 だからこそ転生後に誓った―― 「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。 気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。 「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」 ――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。 なぜか気づけば、 ・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変 ・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功 ・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす ・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末 「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」 自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、 “やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。 一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、 実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。 「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」 働かないつもりだった貴族夫人が、 自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。 これは、 何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

処理中です...