【完結】スケルトンでも愛してほしい!

コル

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終章 二人の書~ケビンとコレット~

二人の書~【ケビン】とコレット・1~

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 ◇◆アース歴200年 6月24日・昼◇◆

「あーあ……周囲にバレない様に演じ続けたのに、こんな事でバレるとは情けないっスね。墓穴を掘ってまさにこの事っス」

 いまいち状況がつかめんが、あいつは俺の声が聞こえていたみたいだな。
 という事は、あいつもモンスターか何かだったのか?
 まぁモンスターだろうが何だろうが、俺の声が聞こえていたのならコレット達に説明してくれればいいのに……。

「ん~……なるほど、そういう訳じゃったか」

 ナシャータが何かに気がついたみたいだな。

『そういう訳って、どういう訳なんだ? ちゃんと説明してくれ』

 でないと、一向に話が見えてこない。

「注意深くみれば、あやつの体から2つの気配を感じるのじゃ。1つの気配が大きすぎて、もう1つの気配がかなり分かりづらいがな」

 2つの気配?
 説明はしてくれたが、どういう事だろう。

「……?」

 コレットもわかっていないようで、眉間にしわが寄ってる。
 駄目だぞ、そんな顔しているとしわが残ってしまう。

「……」

 グレイの方は一つ星に剣を構えたまま何もしゃべらない。
 こっちの言葉に耳を傾けている感じはするが……。

「ムガー!」

 ジゴロ爺さんは邪魔だから放置、どの道俺声は聞こえていないし。

『えーと……もう少し簡単に、わかりやすく言ってくれないか?』

「ん? そうじゃな……例えるなら、お前が寄生の鎧に操られた時の様な感じじゃ」

『……あの感じか……』

 俺の体にもう1人いて体の自由が奪われる……あの感触もう二度と体験したくない。
 ああ、なるほど。それであいつから2つの気配を感じるってわけか。

「ただ悪臭男の場合は、肉体だけではなく精神までも乗っ取られておるようじゃがな」

 よくわからんが、精神だけは保てたからな。
 完全に乗っ取られてたかもと思うと怖い物があるな……。

『……ん? じゃあなんで今まで気が付かなかったんだ? あいつは何度も見ているじゃないか』

 今も見ているだけで、その気配を感じたみたいなのに。

「はあ? わしが悪臭男をまともに見ているわけないじゃろう、今日初めてまともに見たのじゃぞ」

 そりゃそうか、ナシャータが逃げ回るくらい避けていたからな。
 あいつに全く眼中になかったのも仕方がない事だ。

「お前らの例えはまったくわからんのだが……早い話マークは何かに乗っ取られている、それでいいんだな?」

 マーク?
 あ、悪臭男の事か。

『そういう事だ』

 その何かが全くわからんがな。
 装備もいたって普通だし、寄生モンスターではなさそうだが……。

「……そうか。おい、さっさとマークの体を開放しろ! さもないと……」

 おおう、グレイの殺気がすごい。

「……さもないと、どうする気っスか? まさか、この身体事斬るつもりっスか? だとしたら、このマークも一緒に斬る事になるっスよ? それでも斬るっスか!?」

「チッ、てめぇ……」

 うわ……なんて典型的な脅し文句なんだ。
 あいつに乗っ取ってるやつは小物だな、間違いなく。

「クックク」

 何だ? 小物が腰に下げていた道具袋から何か取り出したぞ。
 あれは……ガントレット?

「おい、何をやっている!?」

「見ていればわかるっス……よ!」

 出したガントレット付けて、床に手を置いた。

「ふん!」

『――っ?』

 ……んんっ?
 何だ? 今、体に静電気が流れた様な感じがしたような……。

「――今すぐそやつを止めるのじゃ! 両手から強い魔力を発しておるのじゃ!」

「なっ!?」

『はあ!?』

「もう遅いっスよ」

 ――メリリッ

 ちょっ嘘だろ!
 床にヒビが入り始めている!

「っみんな! ここから離れろ! 床が崩れるぞ!」

「えっ? ええっ!?」

 グレイは即座に後退したが、コレットは反応に遅れているじゃないか!
 コレット! 今助けに――。

「――まったく、世話が焼ける小娘じゃな!」
「へっ? ――きゃっ!?」

 ナシャータが一瞬でコレットを担いでこっちに飛んで来た。
 ええ……せっかく、俺がかっこよく助けようとしていたのに。

「ムガアアアアアアアア!」

『……』

 そして、俺の目の前には動けないジゴロ爺さん……。

「ムガアアアアアアアア!」

『……ああ! クソッ!! ――よいしょっと!』

 さすがに、放っておけるわけなっての!
 なんでナシャータがコレットを助けて、俺は爺さんを助けなきゃならんのだ!?


 ――ガシャアアアアアン!

 床が盛大に崩れ落ちた。

「危ないところだったな」

「そうですね……あ、ありがとうございます」

「今度は自力で逃げるのじゃぞ」

 今度があってほしくないな。
 にしても、あの小物野郎は一体何をしたんだ?
 ガントレットから強い魔力をって言っていたが、爆破魔法でも……。

 ――ガッ

『……ん?』

 崩れた床下の穴から、何か出て来た?
 ……あれは……手?

『――があああああああああ!』

『!?』

 床下の穴から、大量のゾンビが出て来た!?

『――カタカタカタ!』

 嘘だろ!? 大量のスケルトンまで出て来た!
 そうか、床を崩したのはこいつ等か!

「なっ!? 何だ、こいつ等は! この! 急に湧いて出て来やがって!」

「変じゃな、わしの家にこんな数の不死者はおらぬはずなのに……とにかく、まとめて吹き飛ばしてくれるのじゃ! ウィンド――」

『わー! 待て待て! 俺まで巻き込む気か!』

「――っと!」

 あっぶねー。
 ナシャータに、他のスケルトンと一緒に吹き飛ばされるところだった。

「そんな所に居るな! 紛らわしいのじゃ!」

『いやいや! ちゃんと区別しろよ!』

「んな事が出来るわけがないのじゃ!」

『いや、出来るだろ。骨格が全然違うじゃないか』

 特に、この鎖骨の形とか。

「うひょー、思った以上に不死モンスターを操れたっスね。さすが魔力のガントレットっス」

『むっ』

 小物野郎は、俺たちの反対側の方へ逃げていたか。
 にしても操る、か……あの小物野郎が、この大量のゾンビやスケルトンを操っているとは驚きだな。
 ますます、中身が気になる。

『おい! お前は一体何者なんだ!?』

「ん? 俺っスか? ふむ……まぁどうせ、ここで全員始末するから言ってもいいっスかね……よく聞くっス! 俺の名はファルベインっス!」

 ファルベイン?
 はて、どこかで聞いた事があるような気がするんだが……。

「ファルベインって……え? もしかして、魔神ファルベイン!? 嘘でしょ!?」

 あーっそうか、英雄五星が倒した魔神の名前か。
 その話はあまり興味が無いから、全然出てこなかったな。

『……へっ?』

 だとすると、中身は全然小物じゃねぇし! すげぇ大物だし!
 なんで、そんな大物が悪臭男の体なんて乗っ取っているんだ!?
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