【完結】新しい我輩、はじめます。

コル

文字の大きさ
36 / 75
第四章 悪魔四天王「斬風のバルフライ」VS豪拳

7 『力がみなぎってきたぞぉおおおおおおおお!!』

しおりを挟む
 とにかく何を渡していたのかはわかった、わかったのだが……。

「爺さんは効果が切れれば体に負担が掛かることは知っておるのだろう? だとしたら何故そんなものを? フェリシアも躊躇するくらいのもなのに」

 そもそも、爺さんにそんなもの必要なのかが疑問なんだが。

「はい……実は……ダリル様はご自身が老いで体力が落ちてなのを気にしていましたです、なのでこの先で役立たずになってはデール様達に申し訳が立たないとおっしゃられて、いざという時しか飲まないと約束をしてあの薬を渡しましたですが……」

 あれで体力が落ちてきているとか……その時点で嘘を言っているようにしか思えぬぞ。

「見事に約束を破っておるな、すでに飲んでおったし」

「……はい……」

 本当に自由だな、あの爺さんは。

「……なんか……すみません、フェリシア殿……」

「え!? 何故ベルトラ様が謝るのです!?」

 あ~そうか、2人が身内だという話はしておらんだな。
 しかし……意外だ、爺さんがそんな事を気にしていたとは、少し見直したぞ、ほんの少しだが。



「うおおおおおお!!」

 う~む……バルフライの方は変わらず見えないから爺さんがただただ叫んで踊っているだけが続いているこの状況はあまりにもシュールすぎるぞ、かといって我輩達は手が出せないからな~……ん? 気のせいか、爺さんの踊りがさっきより鈍くなってきているような。

「なぁ、我輩には爺さんの動きが鈍く見えてきたのだが……気のせいか?」

「いえ、私もそれを思いました。先ほどより踊りのキレがなくなってきています」

 おいおい……今踊りって言い張ったぞ、こいつ。

「確かに私の目でも踊りのキレが……もしかして、ダリル様の薬の効き目が切れ始めているかもしれないです」

 あ~やはり気のせいではなかったか。というか踊りと言ってやるなよ、あれでも真剣勝負なのだぞ……あれでも。

「ダリ爺!! もっと腰にキレを!! こうだよこう!」

 お前が腰振ってどうする、もはや何の応援だそれ。

「ちっ! もう効き目が切れるとは――くっ!」

 ああ……爺さんがどんどん傷が付いていっておる、このままだと――。

「……おいおい、あれだけ啖呵を切っといてもう我輩たちの出番か?」

「っ!? こらぁ! 勇者殿! 心の声が漏れておる――っとあぶな!」

 おっと、変な事言って爺さんの邪魔をしてしまった。というか今ボソッと言ったと思うのだが聞こえてしまったか。

「我を、無視し、仲間と会話、とは、余裕、だな!」

 あ、今一瞬バルフライの姿が見えたが、少しキレてたぞ……あいつは怒ると目が赤くなるからな。

「お前をっ無視する余裕なんぞ、ないわ! くそっ集中が乱れた! 恨むぞ、勇者殿――っ!」

 と文句を言いつつ避け続けているではないか。

「あ~すまんすまん」

「本気で! そう思っておるっのか!? わっと! くそ!!」

 何とか持ち直した……か?
 しかし、最近つい思った事を口に出してしまうクセが付いてしまった気がする、これは治さないといつかポロっと我輩が魔王関係である事を言ってしまいそう――いやいや! ちょっと待て! そもそも魔王関係ではなく我輩は魔王ではないか! ……最近その自覚も薄れてきておる気がするぞ。
 とりあえずそれは置いといて――。

「フェリシア、あの薬の効果時間は短いのか? 戦い始めて時間はほとんどかかっておらぬと思うのだが」

「えと……何時飲んだのか分からないので正確には……ただ半日は効果が続くはずなのですが……」

 ふむ、それはおかしいな話だな。

「半日だと部屋にこもっていた時に飲んだ事になるが……そんな訳あるまい、あの薬を渡しておったのは日が落ちてからだしな」

「はい……そうなんです」

「ん? あの薬ならデール達来るちょっと前に飲んでえったぁあ!! なんでまた頭を叩くの!?」

「さっさと言わない貴様が悪いわ!」

 まったく、こいつときたら先に言えっての!

「とにかく、そうだとするとかなり効果時間が短いぞ。一体どういう事だ?」

「恐らくですが豪魔の篭手のせいだと思うです」

 あの豪魔の篭手が原因?

「わかるように説明してくれぬか」

「えと、豪魔の篭手は魔力消費と体への負担が相当と言っていましたですよね、恐らくですが薬の許容範囲を超えてしまってそれで効き目が早く切れたのだと思いますです」

「許容範囲を超えた……か、なるほどな」

「それはありえない話ではないと思います。ダリル様の若い頃も極力使わないようにしていたらしいですし」

 極力とはいえ、あれを普通に使っていた若い頃の爺さんってどんな化け物だったのだ。

「……薬の効き目が切れるとなると爺さんはどうする気なのだ?」

 やはり我輩達の出番に――。

「出番なぞないわ!!」

 今のは口にしてないのに心を読まれた!?

「ええい! 効果が切れたのなら……こうするまでじゃああああああ!! んぐんぐんぐんぐ!!」

「ちょ!」

 爺さんの奴!! ビンに入っていた薬を全部飲みやがった!!

「――っ!! ダリル様、それな事をなさってはだめです!!」

「おいおい! あんな事して大丈夫なのか!?」

「大丈夫なわけないです! あんな事をすればもう薬ではなく毒です!」

 そうだよな、素人が見ても問題ありとしか思えん。

「今でさえ体の負担がかなり大きいのに切れると更に、か……それは毒どころかもはや劇薬だな」

「かは~~~力がみなぎってきたぞぉおおおおおおおお!! ウリイイイイイイイイイ!!」

 何か爺さんの口から煙が出てきておるし目が充血しておるし! 台詞もなんかハイテンションな悪役っぽいし!!

「いくぞおおおおお!! おりゃぁ!!」

 っ!! 爺さんの姿が消えたぞ!?

「ダ~ッハハハハ! やっと貴様の動きについてこれるようになった!」

「っ! なん、だと!?」

 バルフライの動きについて行ってとうとう爺さんの姿も見えなくなってしまった……本当に人間なのかあの爺さん……。
 すごい……確かにすごいが、そのせいで誰もいない場所を見るだけになってしまったのだが。

「いけ! そこだ! ああ! 危ない! ダリ爺がんばれぇ!!」

 ……こいつがうらやましく思えてきた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

処理中です...