【完結】新しい我輩、はじめます。

コル

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第四章 悪魔四天王「斬風のバルフライ」VS豪拳

8 『勝負!!』

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 爺さんの踊りを見てるのきつかったが……地面が突然割れたり、切れたり、たまにぶつかり合った時しか2人が見えないほうが苦痛だな。

「いけ! そこだ!」

 くっ……何だか屈辱的だが、仕方がないか。

「なぁエリン」

「ん? なに?」

「我輩達は何がどうなっておるのか分からん、なのでお前が随時状況を説明してくれ」

「了解! わかった! じゃあ実況を開始するね!」

 これで少しは――。

「殴った! 避けた! 斬った! 避けた! 蹴った! 避けた! 何か飛ばした! よけ――」

 って全然ダメではないか!!

「もういい!! そんなので分かるか!!」

「なんだよ! 人がせっかく実況しているのに! ブーブー!」

 そんな抽象的なことで理解しろというのが無理だ、そもそもその言い方ではどっちかもわからんし、何か飛ばしたって何を飛ばしたのか……すごく気になるじゃないか。
 うーむ、どうにか見る方法はないものか……そうだ!

「おい、エリン」

「今度は何!?」

 言葉に棘が……なんだ? 今のは我輩が悪いのか!? そうならな納得いかないぞ!

「おい!」

「だから~な! に!? シャー!」

「――っ!? 悪かった! さっきのは我輩が悪かったから!」

「ならよろしい」

 こえぇ! こいつ今噛み付きそうだったぞ!? つい謝ってしまった……。
 あぁもう! こいつと言い合ってもしょうがない! 本題だ本題!

「このアブソーヘイズに入って我輩を強化させるのだ、そうすればあの戦闘を見れるのではないか?」

「あ~……うんたぶんね~……でもヤダ!」

「そうか、ならばさっそ――なんだって!? さっき謝ったではないか!」

 それも物凄い不本意な形でがだ。

「だって中に入っちゃったらアタシが見られなくなっちゃうじゃん!!」

 そんな理由で拒否だと!? というか謝った意味がまったくないではないか!!

「貴様より我輩が見えたほうが良いではないか! そもそも寒いのは苦手なんだろ!? だったら中に入ったほうが……」

「……」

「おい!」

「…………」

 無反応!

「我輩はお前のマスターだよな!? それなのに……」

「………………」

 駄目だ、こいつ完全に無視を決めこんでやがる。
 何を言ってももう聞きそうにないなこれ、魔王なのに勇者なのになんだこの扱い。

「……あの、デール様……」

「む、どうしたのだ? フェリシア、寒いのか?」

 こんな所でまた倒れられても困るのだが。

「いえ、そのあたりは……ご覧の通り大丈夫です」

 すげぇ服の中に藁という藁をぎっちりと詰め込んである。

「えと、そうではなくてですね。これを使ってくださいです、ベルトラ様もどうぞ」

「私にもですか? 何ですかこれ?」

 これは……何かの根っこか? その先には……っていつの間にかひまわりの様な花が咲いておるのだが。

「それを耳に付けて下さい、この花は特殊な花びらの形をしていまして周りの音を集める事ができるんです、姿は見えなくてもせめて音だけでもと思いまして……」

「ほう、そんな事が出来るのか」

 何かしているような仕草はしておったが、これだったのか。どれどれ?

「ダ――ハハ! 楽し――の! これ――風になる――て事か!?」

「我は、――のしくも、な――!」

 おお! 本当に聞こえるぞ!
 ただ、声以外にも戦闘の雑音が混じってきちんと聞こえん……まぁ贅沢はいっとれんか。

「ダッハ――! そうか! だがわ――は楽しい! 若い――はエドガーと巨大――魔獣くら――しかまとも――相手がいなく――なぁ! まさか――の歳で! ここま――思う存分戦――るとは、思――もせんだわ!!」

「昔話――、聞く、義理――、ない!」

「そうじ――な! 今は今――じゃ!!」

 途切れ途切れだが大体の話はわかった……が、ドーピングしているとはいえバルフライとまともにやりあっている爺さん、その爺さんと互角実力を持つベルトラの爺さんとは一体どんな化け物だったのだ。
 人間界の侵攻がもっと早ければそんな2人と戦わなければならなかったのか? 考えるだけで恐ろしい……いや! 我輩の元の体、魔王デイルワッツではどんな奴だろうと負けはせんがな! チョッハハハハ!!

「あ! 2人の動きが止まったよ!」

 なんだと? 本当だ、2人が距離をとってたたずんでおる。

「ぜぇ~ぜぇ~……ふぅ~、そろそろ体にガタがきたみたいじゃ、どうやらこれが最後の一発になりそうじゃな……」

「そうか、奇遇だな、我も、ほとんど、魔力が、残って、おらぬ」

 2人ともボロボロだな、という事は次の瞬間に勝負が――。

「すぅ~これがわしの全力じゃああああああ!! 行くぞおおおおおおお!!」

「来い! 我の、魔力、全て、をもって、斬る!!」

 ――決まる!!

「ぬおおおおおおおおおおおおお!!」
「はぁああああああああああああ!!」

「「勝負!!」」

 2人の姿が消――え?

「うおおおおおおおお!?」
「ぎゃああああああああああああああああああああ!?」
「くっ!!」
「きゃっ!!」

 2人がぶつかったと思われる瞬間すごい爆音と爆風が!!



「……おさまったか? ……っ2人は!?」

 2人の位置が入れ替わっておる、勝負は決まったのか?……一体……どっちだ?

「ガハッ!」

 爺さんが膝をついた! ……という事は爺さんの負――。

「……見事、だ」

 え?

「我の、敗北、だ」

 ――っ!? バルフライの魔剣が砕けた!!

「やったあぁああ!! ダリ爺!!」

「ダリル様!! お怪我は!?」

 ちょ! おいおい、お前らまだバルフライがいるのに飛び出すなよ!
 ここは冷静な我輩が慎重にバルフライを観察しつつ……ん~奴の動く気配がないようだし……大丈夫……か。

「ぜぇ~ぜぇ~……どうじゃ……倒したぞ……皆……」

「魔剣を折っただけではないか、それにだいぶボロボロな姿じゃないか」

 そしてバルフライの方もだいぶボロボロだ、見るからに激戦だったんだろう……見えていなかったが。

「……勇者よ」

「っな、なんだ!? 今度は我輩とやろうって――」

「我の、首を、取るが、いい」

「なっ」

 ……バルフライ、本気で言っておるのか。
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